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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第七章 ポワティエのラ・ピュセル

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7.6 ラ・ローズ邸にて(4)修道士セガンとの論争

 セガン家のセガン修道士もまた、順番にジャンヌに質問した。

 彼は、フランス南西部のリムーザン出身で、話し方に独特の訛りがあったため出身地が明らかだった。また、ジャンヌの出身地であるロレーヌやシャンパーニュでは知られていない表現を使った。

 おそらく彼は、あの鈍重で重苦しい雰囲気をまとっており、(シノンやオルレアンがある)ロワール川、(パリがある)セーヌ川、(ドンレミ村がある)ムーズ川の住民の目にはいくらか滑稽に映ったのだろう。


「あなたの『声』はどんな言語で話しているのですか?」


 セガン修道士のこの質問に対して、ジャンヌは次のように答えた。


「あなたの声よりも上手な言語で」[766]


 聖人といえど、我慢の限界がある。

 セガン修道士はこれまで知らなかったとしても、この日それを学んだ。


 フランス陣営に味方している聖カタリナと聖マルガリータが、フランス語を話していることを疑う理由がどこにあるのか?


 そのような疑いをかけられたことに、ジャンヌは我慢できず、この質問者に「リムーザン訛りの人間が、天上の聖女たちの言語についていちいち尋ねるべきではない」と理解させようとした。


 ジャンヌの辛辣な態度にもかかわらず、彼は平然と質問を続けた。


「あなたは神を信じますか?」

「はい、あなたよりももっと信じています」


 ジャンヌはそのように(皮肉たっぷりに)答えた。

 彼女は、この善良な修道士について何も知らなかった。自分は彼よりも信仰に根ざしていると自負し、やや性急すぎるところがあった。


 ジャンヌは、自分を遣わした神への信仰を疑われていると感じて腹を立てた。

 もし、ジャンヌの返答を好意的に解釈するなら、信仰に対する熱意を証明するものとなっただろう。


 セガン修道士は、どう考えただろうか?

 同時代の人々は、彼を「やや辛辣な性格」と評していたが、それどころか、彼はジャンヌに好意的な人物だったと考えられる。[767]


「しかし、結局のところ」


 セガン修道士は、「《《神の意志》》だと言うが、私たちが信じるに足るだけの兆候(しるし)が現れない限り、あなたを信じることはできない。あなたの言葉だけで、『ジャンヌに武器と兵士を与えよ』などと王に申し上げる訳にいかない」と言った。


「神の名において」


 ジャンヌは、「私がポワティエに来たのは、兆候を見せるためではありません。私をオルレアンに連れて行ってくれたら、私が神に遣わされた兆候を見せます。私に兵士を与えてください。人数は問いません。そうすれば、私はオルレアンに行きます」と答えた。


 そしてジャンヌは、いつも言っていることを繰り返した。


「イングランド人はすべて追い払われ、滅ぼされます。私が天の王の名において降伏を命じれば、オルレアンの包囲は解かれ、町は敵から解放されます。王太子はランスで聖別され、パリの町は国王への忠誠を取り戻し、オルレアン公はイングランドから帰ってきます」[768]


(⚠️リムーザンの言葉について:フランス南西部にあるリムーザン、シャラント、ドルドーニュの農村地域の方言。現在のフランス政府は「単一言語政策」に基づきリムーザン語を認めていない。フランス革命当時、革命政府に反対した地域が弾圧され、地域住民・文化・言語の絶滅が企図された名残りだが、ジャンヌの反応から察するに、中世時代からこの地域を見下す風潮があったと思われる。なお、ジャンヌの故郷ドンレミ村は北東部の農村地域である)


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