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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第七章 ポワティエのラ・ピュセル

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7.4 ラ・ローズ邸にて(2)聖女と聖職者の関係

 3月22日、ピエール・ド・ヴェルサイユとジャン・エローがラ・ローズ邸を訪れた。

 ジャンヌがシノンで会ったことのある従騎士ゴベール・ティボーも同行した。

 彼は非常に純朴な若者で、何も証拠を求めずに信じるタイプだった。

 彼らが到着すると、ジャンヌは迎えに行き、従騎士の肩を親しげに叩きながら「あなたみたいに、進んで信じる人が大勢いたらいいのに」と言った。[749]


 ジャンヌは、兵士たちと一緒にいるときは気楽だった。

 しかし、神学者たちは我慢できず、彼らが議論しに来ると苦痛を感じた。

 神学者たちはジャンヌに大きな配慮を示したが、彼らの果てしない質問はジャンヌを疲れさせ、彼らのゆったりした重苦しさに苛ついた。


 ジャンヌは神学者たちを恨んだ。

 彼らは明らかな証拠がなければ、なかなか信じてくれない。聖ミカエルも聖カタリナも聖マルガリータも尋問中に現れなかったため、ジャンヌには示すことのできない証拠を求められたからだ。


 隠れた場所や礼拝堂、人気ひとけのない寂しい野原では、天からの訪問者が群れをなしてジャンヌのもとにやって来た。天使や聖人たちが天から降りてきて、ジャンヌの周りに群がった。


 しかし、神学者たちが来ると、すぐにヤコブの梯子はしごは引き上げられた。


 それに加えて、彼らは「神学者」で彼女は「聖女」だった。


 地上の教会(Church Militant)の指導者たちと、勝利の教会(Church Triumphant、天国の境界)と直接交信する信心深い女性たちは、常に緊張をはらんでいる。


 ジャンヌは、自分に与えられた啓示がすばらしすぎるせいで、もっとも好意的であるべき審問官たちが自分を疑っていると感じ、不信感を抱くようになった。

 

 ジャンヌは、自分の声の神秘について、あえて彼らに打ち明けなかった。

 しかし、教会関係者たちがいないときには、美貌のアランソン公に、「あの書記官たちに話したことよりも自分は多くのことを知っており、多くのことができる」と語った。[750]


 ジャンヌは彼らのために遣わされたのではなく、彼らのために来たのでもない。


 彼らの前にいると居心地が悪く、彼らの態度は、ジャンヌのいくつかの返答にはっきり見て取れるあの苛立ちの原因となった。[751]


 時には、彼らが質問している第中に、ジャンヌはベンチの端まで後退してあからさまに不機嫌になった。


 ピエール・ド・ヴェルサイユは、「私たちは王に命じられてここに来ているのだ」と言った。


 ジャンヌは不機嫌そうに答えた。


「あなたがまた私に質問しに来たことはよくわかっています。私にはAとBの区別がつきません」[752]


 だが、「何のためにここへ来たのか?」という質問には熱心に答えた。


「私は天の王から命じられて、オルレアンの包囲を解き、ランスで王を戴冠させて聖油を塗るために来ました。ジャン・エローさま、インクと紙を持ってますか? 今から言うことを書き留めてください」


 ジャンヌは、イングランドの隊長たちに向けて短い声明文を口述した。


「汝ら、サフォーク伯、グラスデール、そしてラ・ポールよ。私は天の王の名において、汝らにイングランドへ帰るように要求する」[753]


 ジャンヌの言葉を書き留めたジャン・エローは、他の書記官たちと同様にジャンヌに好意的で、さらに独自の考えを持っていた。


 ラ・ガスクという異名を持つマリー・ド・アヴィニョンが、シャルル六世に忘れがたい真実の予言を語ったことを思い出したのだ。


 ラ・ガスクは「フランス王国は多くの悲しみに見舞われる」と告げ、「空に武器を幻視した」と語った。彼女が見た幻視について、次のような言葉で締めくくられている。


「私は、これらの武器を取るように求められていると思い込んで恐れたが、声が私を慰めてこう言った。『これらはあなたのものではなく、乙女のためのものだ。乙女が来て、この武器を携えてフランスを救うだろう』」


 ジャン・エローはこの驚くべき啓示について熟考し、「ジャンヌこそがマリー・ド・アヴィニョンに予言された乙女である」と信じるようになった。[754]


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