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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第七章 ポワティエのラ・ピュセル

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7.2 最初にジャンヌを審理した人(2)奇跡か異端か

 羊飼いの少女ひとりを尋問するために、大勢の博士が集められた。


 しかし、当時の神学は、厳格で柔軟性がなく、あらゆる人々の知識をコントロールし、世俗の権力にその判断を実行させていたことを忘れてはならない。


 無知な少女が「神、聖母、聖人、天使を見た」と信じられるようになると、その少女は、①あらゆる言動を「奇跡」として飾り立てられた末に、啓蒙的な死を経て、殉教者として列福されるか、あるいは、②あらゆる言動を「異端」として断罪された末に、教会の牢獄を経て、魔女として火刑に処されるか、どちらかであった。


 また、聖なる審問官たちは「悪魔は女に乗り移りやすい」と頑なに信じていたため、不幸な少女は神聖な香りに包まれて死ぬよりも、生きたまま焼かれる可能性のほうが高かった。


 しかし、ポワティエの博士たちの前に立ったジャンヌは例外で、信仰上の問題で疑われる危険性はなかった。


 トゥールーズで執拗に異端者を追い詰めていたピエール・トゥレルル修道士でさえ、ジャンヌの中に異端を見つけるつもりはなかった。


 著名な学者たちは、ジャンヌに対して「神学的な爪」を引っ込めていた。

 彼らは聖職者ではあったが、(シャルル七世を支持する)アルマニャック派であり、ほとんどが実業家や外交官、王太子時代からの老臣(古参の顧問・評議員)だった。


 聖職者として教義と道徳を重んじ、信仰上の問題を判断する規範を持っていた。だが今、優先すべき問題は、異端の病を治すことではなくイングランド人をフランスから追い出すことだ。


 ジャンヌは、アランソン公とオルレアンの私生児に気に入られ、オルレアンの人々はラ・ピュセルに救いを求めていた。


 ジャンヌは国王をランスに連れて行くと約束した。

 そして、フランスで最も賢く、最も権力のある人物で、王国の宰相であるルニョー・ド・シャルトル卿が、ランス大司教兼伯爵だったことが、大きな影響力を持っていた。[740]



 もしジャンヌの言う通り、神が本当にフランス王家を救うために彼女を遣わしたのなら、理性(分別)と学識のある人にとってそれは驚くべきことではあるが、信じられない話ではなかった。


 神が王国の問題に直接介入することを否定する者はいなかった。

 なぜなら、神自身が「私を通して王が統治する(Per me reges regnant)」と言われたからである。


 神聖で分離不可能なはずの教会において、ポワティエの学者たちは「神はシャルル王の陣営についている」と宣言したが、パリ大学では「イングランドとブルゴーニュ派陣営についている」と宣言していた。


 神の使者は必ずしも天使である必要はない。

 神は、預言者エリヤを養ったカラス(レイブン)のように、人間であろうとなかろうと被造物(生物)を使うかもしれない。


(⚠️エリヤを養ったカラス:旧約聖書『列王記』に登場する。イスラエルが大飢饉のとき、カラスが朝晩2回、預言者エリヤに食事を運んできた)



 また、「戦う女性」の是非については、女傑カミラやアマゾネスの女王ペンテシレアなどの前例が書物に書き残されており、イスラエル救済のために神に引き上げられた女丈夫のデボラ、ヤヘル、ベツリアのユディトなどの「強い女性」についても聖書に書かれていることと一致する。


「かの力ある者が倒れたのは

 壮者によるのではない。

 タイタンが彼を打ったのでも、

 巨人族が襲ったのでもない。

 メラリの娘ユディトが

 その容姿の美しさによって彼の力を奪ったのだ」[741]


(旧約聖書『ユディト記』第16章6節)


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