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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第六章 シノンのラ・ピュセル/予言

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6.10 シャルル七世と謁見(2)秘密の会談

 ジャンヌが素朴なお辞儀をすると、王は彼女の名前と望みを尋ねた。


「美しい王太子さま、私の名前はジャンヌ・ラ・ピュセルです。天国の王が、私を通してあなたに語りかけています。あなたはランスで塗油式を受けて(聖別されて)戴冠し、フランス王である天国の王の代理人となるだろうと告げています」


 ジャンヌは「オルレアンの包囲を解放する」と約束し、仕事に取り掛かる許可を求めた。[675]


 王はジャンヌをつれていき、しばらく尋問した。

 シャルル七世は生まれつき穏やかな性格で、貧しい人や身分の低い人にとりわけ親切だったが、不信感や疑念がないわけではなかった。


 このプライベートな(秘密の)会話の中で、ジャンヌは天使のように親しみをこめて国王に話しかけ、奇妙なことを告げたと言われている。


「私の神は、あなたにこう告げるようにと命じました。あなたは、間違いなくフランスの後継者であり、王の息子です。あなたをランスへ導き、そこで戴冠させ、聖油を注がれるように。神はそのために私を遣わしました」[676]


 のちに、ラ・ピュセルの従軍司祭は、「ジャンヌ本人からこの言葉を聞いた」と報告した。


 確かなことは、アルマニャック派がこの言葉を、百合の血統(フランス王家のこと)に有利な奇跡に変えるまで、それほど時間はかからなかったということだけだ。

 彼らは「無垢な少女の口を通して、神自身が語ったこの言葉は、王のひそかな苦悩に対する返答だった」と主張した。


 かねてより、イザボー王妃の息子(シャルル七世)は、「自分の体には王家の血が流れてないかもしれない」という考えに心を乱され、悲しみに暮れながら、「出生に関する疑いが天からの光によって払拭されない限り、王国を手放し、自らを簒奪者と宣言する」覚悟ができていたと言われている。[677]


 彼がフランスの真の後継者であると明らかになったとき、王の顔は喜びに輝いていたと人々は語った。[678]


 疑いなく、アルマニャック派の説教者たちは、イザボー王妃を「大食らいの女」とか「淫蕩のヘロディアス」などと呼ぶのが常だった。


 しかし、彼女の息子がどこからそのような奇妙な疑念を抱くようになったのか知りたいものだ。彼が王太子になった時点では、そのような出生の疑いはなかった。


 もし、必要であれば、シャルルを支持する党派の法学者たちは、法律や慣習を根拠に「彼は生まれながらにして亡き国王の真の相続人であり、正当な後継者である」と証明しただろう。


 なぜなら、血統(継承権)とは、隠された理由によってではなく、誰が見ても明らかな理由によって公正に証明されなければならないからだ。そうでなければ、王国であろうと土地1エーカーであろうと、法定相続人を指定することは不可能になってしまう。


 とはいえ、当時の王は、きわめて不幸な生い立ちだったことを心に留めておかなければならない。

 度重なる不幸は良心を揺さぶり、疑念を抱かせる。

 神に見捨てられたと感じ、何が正しいのかわからなくなった結果、彼が自分の大義の正当性を疑うようになったのも無理はない。


 しかし、もし王が本当に痛ましい疑念に取り憑かれていたとしたら、気が狂っているか敵から送り込まれたかもしれない少女の言葉ひとつで、それほど簡単に疑念が晴れるものだろうか?

 彼のような疑り深い人物が、軽々しく他人を信じるだろうか。


 王の脳裏に最初に浮かんだ考えは、「聖職者の誰かが都合のいい話をするように指示したのではないか」という疑念だったに違いない。


 ジャンヌを解放した後、国王はゴークール卿をはじめとする評議会のメンバーを集め、たった今聞いたばかりの話を報告した。


「彼女は、『神が私を助けて王国を取り戻すために遣わした』と言った」[679]


 なお、国王は、「自分だけが知っている秘密をジャンヌが明かした」とは付け加えなかった。[680]


 王の顧問官たちは、その少女についてほとんど知らなかった。彼女の生い立ちと信仰について調べるために、自分たちの前に彼女を呼んで尋問する必要があると判断した。[681]

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