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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第五章 オルレアン包囲戦:1428年10月12日〜1429年3月6日

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5.9 フランス軍とイングランド軍の攻防:砲手の活躍

 ソールズベリー伯の死後、イングランド軍は内部分裂によって麻痺し、脱走兵が後を絶たず、勢力が弱まっていた。


 冬が近づいていた。当面何もできないと考えた指揮官たちは、陣営を解散し、残った兵士たちとともに、ムンとジャルジョーの城壁の背後まで後退した。[527]


 11月8日の夕方、オルレアンの前に残っていたのは、ウィリアム・モリンズとウィリアム・グラスデールが指揮するノルマン騎兵500騎からなるレ・トゥーレルの守備隊だけだった。


 フランス軍が包囲して捕らえることもできたかもしれないが、彼らは動こうとしなかった。

 オルレアン総督である老齢のゴークール卿は、オテルリー通りの石畳で倒れて腕を骨折したばかりで、身動きが取れなかった。[528]


 しかし、残りの守備兵は何をしていたのか?


 実のところ、誰も何をすべきか知らなかった。

 これらの戦士たちは、包囲された町を救うためにさまざまな戦い方を知っていたに違いないが、それらはすべて奇襲作戦だった。[529]


 作戦と呼べるような技能は、索敵、待ち伏せ、小競り合い……その他、勇敢さを誇る武勇だけだった。奇襲による包囲解除に失敗した場合、彼らは次に何をすべきかわからず、活動を停止して無作為に過ごし、アイデアも資源も尽きていくのが常であった。

 経験豊富な隊長たちでさえ、共通の努力、連携した行動、継続的な精神努力、全員の力をひとつにまとめて遂行するような事業を立案も実行もできなかった。

 誰もが、自分の手柄のためだけに動き、戦利品(略奪)のことしか考えていなかった。


 オルレアンの防衛は、彼らの知性をはるかに超えていた。


 イングランド軍のグラスデール隊長は、21日間、ノルマン騎兵500騎とともにレ・トゥーレルの崩れた城壁の下——ル・ポルトロー側の土塁(まだそれほど強固ではなかったはず)と、ちょっとした火花で簡単に燃えそうな橋上の木造の防塁(バリケード)の間——に陣取り、静かに待っていた。


 その間、オルレアンの市民たちは作業に取り掛かっていた。

 イングランド軍がいなくなると、彼らは大規模で困難な仕事を遂行した。


 敵は今度はソローニュからではなくボースから戻ってくるだろうと予想し(実際それは正しい判断だった)、ル・ポルトローと同様に、西、北、東のすべての郊外にある施設を破壊した。


 市民の手で、22の教会と修道院を焼き払い、取り壊した。その中には、サン・テニャン教会とその修道院、サン・ユヴェルテ教会、サン・ローラン・デ・オルジェリル教会などがあり、その美しさから破壊されるのを見るのは惜しまれるほどだった。


 彼らは「町をイングランド軍から解放してくれたら、もっと美しい教会を新しく建てる」と町の守護聖人たちに約束した。[530]


 11月30日、ジョン・タルボット卿が大砲、臼砲、その他の戦力を備えた兵士300人を連れてレ・トゥーレルの砦に到着し、グラスデール隊長に合流した。


 それ以来、以前よりも激しい砲撃が再開された。屋根は突き破られ、壁は打ち砕かれたが、効果よりも騒音のほうが大きかった。

 プティ・スーリエ通りでは、5人が食事をしていたテーブルに砲弾が落ちたが、けが人はいなかった。これは、町の守護聖人である聖エニャンのとりなしによる神の奇跡だと考えられた。[531]


 オルレアンの人々は、包囲軍に対抗する手段を持っていた。

 町の砲兵隊は、70門の大砲と臼砲で構成され、砲手の専門職12人と彼らに仕える従者を用意していた。


 ギヨーム・デュイジーという非常に有能な創設者が、臼砲を鋳造した。

 それをシェノーの裏門の曲がり角、または細い尾根にあたる位置に設置して、重さ120リーブル(60キロ)の石弾をレ・トゥーレルに撃ち込んだ。


 この臼砲の近くには大砲が2門あり、ひとつはモンタルジの町が貸し出していたため「モンタルジ砲」と呼ばれ、もうひとつは非常に人気のある悪魔にちなんで「リフラール砲」と名付けられた。[532]


 アンジュー在住のロレーヌ人ジャン・ド・モンテスクレールという男は、国王の肝いりでオルレアンに派遣されたカルバリン砲の名手で、そこで月給12リーブルの報酬をもらっていた。[533]

 彼は当時、砲手として最高水準の達人だとみなされていた。

 巨大なカルバリン砲を担当し、イングランド軍に大きな損害を与えた。[534]


 メートル・ジャンと呼ばれるこの男は、ゆかいな人物だ。

 たまたま近くに砲弾が落ちると、彼は地面に倒れて動かなくなり、町に運ばれたため、イングランド軍は「あいつは死んだ」と信じて大喜びした。

 しかし、喜んだのもつかのま、メートル・ジャンはすぐに持ち場に戻り、以前と同じように彼らを砲撃した。[535]


 彼のカルバリン砲は、鉄製の「込めラムロッド」を使って、鉛の弾丸を装填した。小型の大砲、あるいは車輪付きの砲台に搭載した「大型の銃」といった代物で、簡単に移動させることができた。[536]

 そのため、メートル・ジャンのカルバリン砲は、必要な時にはどこにでも運ばれていった。


(⚠️メートル・ジャン:日本人には馴染みがない言葉ですが、フランス語のメートル(Maître)は英語のマスター、ドイツ語のマイスターと同じ意味)


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