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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
完訳プロジェクトについて:序文の比較、原著者と旧翻訳者の大きな違い

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解説:原著者と旧翻訳者の大きな隔たり

 アナトール・フランスの原著書と吉江氏の翻訳版には、明確な違いが見られます。


 フランス氏がジャンヌの人間らしさを強調し、聖人伝の枠組みを超えようとしている一方で、吉江氏は聖人ジャンヌを日本に紹介することを目的としており、そのために原文の一部を省略しています。


 吉江氏は「日本人として見る上であまり必要とも思われない原文の箇所を省略」と断ってますが、原文と照らし合わせると、省略されているのは主に、


 ①聖人らしくないジャンヌの姿

 ②ジャンヌ以外の人々の功績


 である点が興味深いです。

 これは、吉江氏が聖人ジャンヌのイメージを損なわないように、また、日本人に受け入れやすいように配慮した結果と言えるかもしれません。


 言い換えれば、吉江氏の翻訳は「ジャンヌを聖人にしたいカトリックの意向に沿った内容」と言わざるを得ません。省略された箇所は、ジャンヌの聖人像を揺るがす可能性があり、吉江氏はそれを意図的に排除したとも考えられます。


 これは、原著者フランス氏の意図を完全に反映しているとは言い難く、むしろ、吉江氏自身の解釈や意図が強く反映されていると言えるでしょう。


 翻訳における省略の是非については、様々な意見があると思います。


 原著者の意図を忠実に再現することの重要性を重視する人にとっては、吉江氏の翻訳は受け入れ難いものかもしれません。しかし、一方で、聖人ジャンヌを日本に紹介することを目的とした、吉江氏の翻訳の意義を評価する人もいるでしょう。


 最終的に、どの翻訳が「正しい」のかは、読者それぞれの判断に委ねられると思います。重要なのは、それぞれの翻訳がどのような意図を持って作られたのかを理解し、その上で、自分にとって最も適切な翻訳を選ぶことです。


 本シリーズでは、吉江版で省略された内容を含めて全文を翻訳・完訳することをめざしています。

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