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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第三章 ヴォークルール初訪問/ヌフシャトーとトゥールへ/ヴォークルール再訪

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3.6 ヴォークルール再訪:ジャンヌの予言「息子を3人産む」

 再びヴォークルールを訪れたジャンヌは、ついに王太子が住んでいる町に足を踏み入れた、つまり王の控えの間に入るのだと想像した。[386] だが、それは間違いだ。


 1428年8月の初め、ヴォークルールの司令官ロベール・ド・ボードリクールは敵将アントワーヌ・ド・ヴェルジーに城塞を明け渡す約束をしていたが、まだ完全に引き渡していなかった。


 これは、一定期間が経過したら降伏(開城)する約束のひとつだった。

 当時、このような期限付きの約束は珍しいことではなく、降伏期限までに救援が来た場合、約束は無効になる。[387]


 ジャンヌは9カ月前と同じように、ヴォークルールの司令官の城へ行き、ロベール卿にこう告げた。


「神は再び私に知恵を授けました。真のフランス王である優しい王太子のところへ行くようにと何度も命じました。彼は私に兵士を与え、私はその兵でオルレアンの包囲を解き、彼をランスでの塗油式へ連れて行きます」[388]


 今回は、オルレアンを救うことが自分の使命だと宣言した。

 そして、この任務の第一段階が達成されるまで、塗油式は行われないと告げた。


 聖人たちの「声」が、その場の状況に応じて、以前に発した命令をいかに臨機応変に、いかに巧妙に変更したかを、私たちは認識せざるを得ない。


 ロベール卿のジャンヌに対する態度は完全に変わっていた。

 もはや、耳を叩いて両親の元へ送り返せとは言わなかった。

 ジャンヌを邪険に扱うことはなく、ジャンヌの話を信じてなかったとしても、少なくとも前向きに耳を傾けた。


 ロベール卿との会話の中で、ジャンヌは奇妙なことを語った。


「メシエから与えられた命令を達成したら、私は結婚して息子を3人産みます。長男は教皇に、 次男は皇帝に、三男は国王になるでしょう」


 ロベール卿は陽気に答えた。


「おまえの息子たちがそんなに偉大な人物になるなら、私に一人もらいたい。そうすれば私自身も名誉にあずかれるだろうから」


 ジャンヌはこう答えた。


「いいえ、優しいロベール卿、違います。まだその時ではありません。聖霊がふさわしい時を定めるでしょう」[389]


 現在まで伝わっているジャンヌのいくつかの言葉から判断すると、使命に促されて活動を始めた初期の頃、この若い女預言者ジャンヌは2つの異なる言語(文意)を交互に話していたようだ。


 ジャンヌの言葉遣いは、二つの異なる「源泉ソース」から流れ出ているように見える。


 ひとつは、素朴で率直、無邪気で簡潔、田舎風に飾り気がなく、無意識に皮肉っぽく、時には荒々しく、騎士道的で神聖なもので、主に「王太子の王位継承と塗油式について」と「イングランドとの戦いについて」を語っていた。これはジャンヌの「声」の言葉であり、ジャンヌ自身の魂の言葉だった。


 もうひとつは、より巧妙で、寓話や修辞レトリックに富み、学者っぽい優美さで批判的であり、主に「教会について」語っている。これは、聖職者の影響を示唆しており、外部からの影響を裏付けている。


 ジャンヌがロベール卿に告げた話は、後者のタイプである。

 これは寓話だ。三人の息子の誕生とは、ジャンヌの働きかけによってキリスト教世界に平和が生まれること、つまり、ジャンヌが神聖な使命を果たした後、教皇、皇帝、国王——神の三人の息子たち——がイエス・キリストの教会に愛と調和をもたらすことを意味している。


 この寓話は、非常に単純明快であるが、意味を理解するにはある程度の知性が必要だ。

 ロベール卿はそれが寓話だと理解できず、言葉通りに解釈して答えた。なぜなら彼は素朴で陽気な男だったからである。[390]


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