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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第三章 ヴォークルール初訪問/ヌフシャトーとトゥールへ/ヴォークルール再訪

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3.1 ヴォークルール初訪問:ロベール・ド・ボードリクールに接触

 当時、王太子シャルル(シャルル七世)のためにヴォークルールの町を統治していた司令官ロベール・ド・ボードリクールは、故リエボー・ド・ボードリクールの息子だ。


 父親のリエボーはかつてバル公ロベールの下で侍従を務め、ポンタ・ムッソンを統治していた。また、彼の母親は、バシニーのブレーズ領主であるマルグリット・ドーノワだ。


 14~15年前、ロベール卿は叔父2人、ポワティエの庶子ギヨームとジャン・ドーノワの後を継いで、ショーモンの代官(Bailie)およびヴォークルールの司令官(Commander)となった。


 最初の妻は裕福な未亡人だったが、彼女が亡くなった後、1425年に最初の妻と同じくらい裕福な未亡人、アラルド・ド・シャンブレと再婚した。

 なお、結婚祝いに注文したケーキを載せた荷車を、ウルフとジボーメの農民が盗んだ話は事実である。


 ロベール卿は、当時、あの地域にいた大多数の戦士たちと同じように、貪欲で狡猾だった。

 敵の中に多くの友人がおり、友人の中に多くの敵がいた。

 ある時は味方のために、またある時は敵方で戦ったが、常に自分の利益のために戦った。

 それ以外の点では、彼は仲間たちと大差なく、最も愚かな人間のひとりだった。[328]


 ジャンヌは、みすぼらしい赤いガウン[329]を身にまとっていたが、心の中は神秘的な愛に輝きながら、町と谷を見下ろす丘を登った。

 城門は祭日のように自由に開放されていたので、ジャンヌは難なく城に入ることができた。

 そして、ロベール卿が兵士たちとともにいるホールに案内された。


 ジャンヌは、「あれが彼だ!」[330]という声を聞いた。

 すぐに、まっすぐにロベール卿のところに行き、恐れずに話しかけた。

 おそらく、最も緊急と思われることから話し始めたのだろう。


「私はメシエから遣わされてあなたのところに来ました」


 ジャンヌは続けた。


「王太子に使者を送って、『準備を整えるように、しかし敵と戦わないように』と伝えてください」[331]


 ジャンヌは、自分の「声」からの新たな啓示に促されてこのように話した。


 ここで注目すべきは、ジャンヌはこの時、75年前にヴォークルールからほど近いシャンパーニュ地方のある農民(農奴ではなく自由民)が言ったことと「一言一句」同じ内容を繰り返していたという事実である。


 この農民の(啓示を受けた預言者としての)経歴は、ジャンヌと同じように始まったが、ジャンヌよりもはるかに早く、短期間で終わりを迎えた。


 ジャンヌ・ダルクは、この戦争(百年戦争)に関する啓示を受けた最初の人物ではなかった。大きな苦難の時代には、霊感を受けた神がかりな人物がよく現れる。


 百年戦争初期、黒死病(ペスト)と黒太子の時代に、シャンパーニュ地方のある農民は光線の束から発せられる「声」を聞いた。


 彼が畑で働いているとき、「声」が彼に語りかけた。


「フランス王ジャン(ジャン二世・シャルル七世の曽祖父)に会いに行き、警告しなさい。敵と戦わないように」


 それは、ポワティエの戦いの数日前のことである。


(⚠️この戦いで、ジャン二世はイングランド軍に捕らわれて捕虜となり、フランスは莫大な身代金を払わされた)


 以前の助言は賢明だったが、1428年5月の(ジャンヌの)助言はあまり賢明だったとは言えず、当時の情勢にほとんど関係ないように思われた。


 ヴェルヌイユの戦いで大敗して以来、フランス軍は敵に立ち向かう気力を失っており、敵に戦いを挑もうとは考えてもいなかった。

 いくつもの町が奪われ、消滅し、小競り合いが起こり、対処が試みられたが、激しい戦闘をしてなかった。


 当時、生まれつきの性格と運命によって、王太子シャルルは冒険心を失っていたため、わざわざ「敵に戦いを挑むな」と警告して抑える必要はなかった。[333]


 ジャンヌがロベール卿の前でこれらの話をしていた頃、フランス北部を占領しているイングランド軍は遠征の準備をしており、アンジェに進軍するかオルレアンに進軍するかを決めかねていた。[334]


 ジャンヌは大天使と聖女のささやきに従って言葉を発したが、戦争と王国の状況について、彼ら(声)が知っていることはジャンヌより多くも少なくもなく、ほとんど何も知らなかった。


 しかし、神に遣わされたと信じる者が、自分が行くまで「待つように」と求めるのは不思議ではない。


 フランスの騎士たちが、再び《《自分たちのやり方》》で戦いを挑むのではないかと、ジャンヌが恐れていたのは、いかにも民衆らしい健全な常識が大いに関係していた。騎士の戦い方をよく知っていたからだ。

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