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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第二章 声

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2.7 ドンレミ村:聖レミの伝説

 ジャンヌの生まれ故郷の村は、聖レミ(レミギウス)にちなんで名付けられた。[308]


 教区の教会は、ガリアの偉大な使徒の名前を冠していた。聖レミはクロヴィス王(フランス王国の前身フランク王国の初代国王)に洗礼を授け、トロイアの偉大な王プリアムの血筋を受け継ぐ尊いフランス王家で最初のキリスト教徒に聖油を注いだ。


 聖レミの伝説は、聖職者によって語り継がれてきた。


 当時、ラオンの地に住んでいた敬虔な隠者モンタンは、天使の聖歌隊と聖人たちの集会を目撃し、豊かで甘美な声を聞いた。


「主は地上に目を向けられた。鎖に繋がれた者のうめき声を聞き、殺された者の子らを解放する。民が集まり、王たちが主に仕えるとき、彼らがシオンで主の名を、エルサレムで主の賛美を宣言するためである。[309] また、キリニアは民を救うために一人の子を産まなければならない」


 キリニアは高齢で、夫のエミリウスは盲目だった。

 しかしキリニアは身ごもり、男児を産んだ。赤ん坊に与えた乳で父親の目をこすると、すぐに彼の目がひらき、見えるようになった。


 天使によって誕生が予言されていたこの子どもは、レミと名付けられた。

 レミとは「オール」を意味する。彼の教えによって、切れのいい櫂のように、神の教会、特にランスの教会を人生の荒波を越えて導き、その功績と祈りによって、永遠に救済される天の王国に連れて行くからである。


 キリニアの息子レミは、隠遁してキリスト教の聖なる戒律を守りながら、ラオンで敬虔な若年期を過ごした。

 彼が22歳になったばかりの頃、ベナード(ベナデ)司教の死により、ランスの司教座が空席となった。

 大勢の人が、レミを「群れを導く羊飼い」に指名した。

 レミは「自分のような若輩には重すぎる」と言って辞退した。

 しかし突然、レミの額に天から光が降り注ぎ、神聖な液体が彼の髪に注がれ、不思議な香りが漂った。

 そこで、ランス地方の司教たちはためらわず、すぐに一致してレミを自分たちの司教に任命した。


 司教座についたレミは、惜しみなく施しを行い、いつも慎み深く、熱心に祈り、完璧な慈善活動を行い、教義は素晴らしく、聖なる言葉を話した。山上に建てられた都市を仰ぐように、レミはすべての人から賞賛されていた。


 当時、フランス王クロヴィスは、仲間の騎士たちとともに異教徒だった。

 しかし、王はキリストの名を唱えて、ゲルマン人に対して大勝利を収めた。

 そのため、彼の妻である聖なるクロティルド妃の懇願により、王はランス司教の手で洗礼を受けようと決意した。


 王の敬虔な願いが伝えられると、聖レミは王と臣民に、サタンとその虚飾とその行い(業)を放棄し、神とその子イエス・キリストを信じなければならないと教えた。


 厳粛な復活祭が近づくと、聖レミは彼らに、信者の慣習に従って断食するように命じた。


 主の受難の日、つまりクロヴィスが洗礼を受ける日の前夜、聖レミは早朝、王と王妃のもとへ行き、使徒たちの王である聖ペテロに捧げられた礼拝堂へ彼らを連れて行った。

 突然、礼拝堂は太陽の光が影に見えるほど明るい光で満たされ、その光の中から声が聞こえてきた。


「あなたがたが安らかであるように。安らぎとは私である。恐れるな、私の愛の中にとどまるように」


 これらの言葉の後、光は消えたが、礼拝堂には言葉にできない甘美な香りが残った。聖なる司教レミは、モーゼのように神の輝きで照らされた顔で、預言を告げた。


「クロヴィス王とクロティルド妃、あなたたちの子孫は王国の境界を押し戻すだろう。彼らはイエス・キリストの教会を建立し、異国の敵に勝利するだろう。ただし、徳から堕落せず、救済の道から外れず、滅びにつながる罪深い道や、帝国を転覆させ、ある国から別の国へと支配権を移すような大悪徳の罠にはまらないことを条件とする」


 その間に、王の宮殿から洗礼堂への道が準備された。豪華な「垂れ幕」が掛けられ、通りの両側の家は「吊るし飾り」で覆われ、教会は飾られて、洗礼堂にはバルサム(香油)やあらゆる種類の甘い香りのハーブが敷き詰められた。


 神の恵みに圧倒された人々は、すでに天国の喜びを味わっているかのようだ。


 行列は宮殿から出発し、聖職者は十字架と旗を持ち、賛美歌や聖なる歌をうたいながら先導し、次に司教が王の手を引いて進み、最後に王妃が民衆と共に続いた。


 道中、王は司教に「あそこに約束された神の王国があるのか」と尋ねた。

 聖レミは「いいえ」と答えて、「しかし、ここは神の王国につながる道の始まりです」と言った。


 彼らが洗礼堂に到着すると、司祭は群衆に邪魔されて聖水盤にたどり着けず、神の定めたとおり、祝福する聖油がなかった。

 そこで、司教は天を見上げ、沈黙して涙ながらに祈った。

 すると、雪のように白い鳩が降りてきて、そのくちばしに天から送られた聖油入りの小瓶をくわえていた。

 天の油は芳しい香りを放ち、群衆はそれまで経験したことのない喜びで酔いしれた。

 聖なる司教は小瓶を手に取り、洗礼の水に聖油を振りかけると、すぐに鳩は消えた。


 このような偉大な恵みの奇跡を目撃して、王は喜びに満たされ、サタンとその虚飾とその行い(業)を放棄した。

 王はすぐに洗礼を受けたいと願い、いのちの泉に身をかがめた。[310]


 それ以来、フランスの王たちは、鳩が天から運んできた聖油で油を注がれてきた。

 聖油を収めた聖なる小瓶は、ランスの(サン)レミ教会に保管されている。

 そして、神の恵みにより、王の塗油式の日になると、この小瓶は常に満杯になっているのだった。[311]


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