異世界魔女、潜入する
「離婚後、元奥さんと子供と連絡がつかなくなった、ですか……」
私の事務所にやって来たのは明らかに憔悴しきった30代くらいの男性だった。
「えぇ、1年前に離婚して月に1回は子供と面会があったんですが半年が経った時点で連絡が取れなくなってしまい……」
「因みに離婚の原因は何でしょうか?」
「それが私にも見当がつかないんです、浮気なんてした事も無いし子育てもしてます、生活にも困ってはいないぐらいの収入もあります、それがある日一方的に……」
(依頼主は見た感じ真面目そうな人だ、と言う事は問題は奥さん側の都合……)
「わかりました、居場所がわかり次第ご連絡いたします」
「ありがとうございます! 離婚したとしても大事な家族なんです!よろしくお願いします!」
私はこの依頼を引き受ける事にした。
「先生、なんだか不思議な話ですねぇ」
「そうね、今の所問題は消えた奥さん側の方にあるみたいだけど……」
私は依頼主に書いて貰った紙に手を当てた。
「うん、絆は消えていないわ……、奥さんも不本意的に消えたのかもしれない……」
「えっ、と言う事は第三者の介入、と言う事ですか?」
「そうね……、アキナ『真言教』って聞いた事ある?」
「真言教……? あっ! 聞いた事あります。 色々今話題の新興宗教ですよ! 色々訴えられていてワイドショーとかネットニュースとかで取り上げられてますよ! もしかして今回もその宗教が関係してるんですか!?」
「かもしれない……、どうも奥さんの両親がその宗教に嵌っていて離婚もその教祖の指示みたいね」
「他人の関係に介入してくるなんてやり過ぎじゃないですかっ!?」
「そうね、私もちょっと腹立つから行ってくるわ」
「行くって、真言教の所にですか?」
「えぇ、それが手っ取り早い解決方法よ」
ついでにそのインチキ宗教も跡形もなく潰しておきますか。