異世界魔女、親子の絆を紡ぐ
紙に手をあて目を閉じて魔力を注ぐ。
すると脳内に映像やら情報が入って来た。
「……分かったわ、まだ絆は切れていない」
「それって、居場所がわかった、という事!?」
「えぇ、結婚して子供もいるし幸せに暮らしているわ、でも1つだけ悩んでいるみたい」
「やっぱり喧嘩別れしたお父さんの事ですか?」
「そうみたいね、彼には自分の夢があって、でもお父さんに理解してもらえなくて喧嘩してそのまま出て行った、その事を後悔してるみたい」
「という事は、仲直り出来るチャンスがある、という事よねっ!?」
「そこはノゾミの腕次第じゃないかしら? とりあえず必要な情報を書いておいたから」
私は希に紙を渡した。
「リリア、ありがとう! 早速行ってみる!」
そう言って希は出て行った。
「仲直り、できると良いですね」
「絆は繋がっているから時間はかかるけど修復できると思うわ。普通の家族なら、ね」
「そういえばリリア先生の家族って」
「私は修復不可能だったわよ。最初からバラバラだった物」
そう言って私は寂しく笑った。
私の両親は所謂政略結婚で最初から愛情なんてこれっぽっちも無かった。
両親と過ごした思い出も1つも無いし殆ど乳母や使用人と過ごした記憶の方が多い。
だからこそ、私が婚約破棄された時、両親の冷たい視線を見た時、『あぁ、この人達と分かり合う事は無理なんだな』と思った。
それも私が魔女になったスイッチになったのかもしれない。
その後、希から無事に親子の再会が出来たらしい。