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Aの革命  作者: r_SS
第3章
16/28

海原亮太の近況

「あ~あ、つい最近までのクソ暑さが嘘の様に快適だぜ!!!」

「まぁな。だけど俺らは相変わらず小汚ねぇドクズっぷりだろうけどよwwww」

「オイオイ、それを言ったらおしまいだぜwwwwww」

「それよかお前らまだ仕事中じゃねぇのかよ?大丈夫なのか?真昼間から酒飲んだりしてよwww」

「平気平気!だってオイラの工場、社長自ら朝っぱらから酒臭ぇ息吐きながら仕事してんだぜ?」

「ハァ?マジかよ????マジやばくねぇ?お前ん所の工場大丈夫かよwwwwwww」

 ある昼下がりの日、数人程の若者集団が昼間から飲酒と喫煙をしながら路上で騒いでいた。その中には海原あいりの実弟である海原亮太も加わっていた。

「なぁ亮太、お前次の仕事見つかったのかよ?」

 仲間内の1人が尋ねると

「いや、特に決まってねぇけど…。」

 未だに定食に就いていない亮太がこう答えた後、手に持っていた缶ビールを一気に飲み干した。

「おいおい、マジかよ?でもまぁお前ん所家族と同居だし、そうそう金に困る事はねぇけどよ。それにしても自宅暮らしうらやましいよなぁ。俺なんか高校卒業した途端ソッコーで親父から『一人暮らししろ』って家から追い出されたからな。」

 別の仲間がこう言うと、再び煙草を口に咥えた。


 10月も下旬に差し掛かり、秋もそろそろ終わりに近づいたとある火曜日、、海原亮太は未だに無職である現状に向き合いもせず、この日も昼間から地元の仲間達と昼間から大騒ぎしながら路上飲みをしていたのだ。

 仲間内の大半は中学なり高校なり卒業してから食肉処理工場や特殊清掃業など、所謂『一般市民層、若しくはそれ以上の階級層』の人間が就く事は『稀』な職業に就いていた。

「亮太、お前結構男前なんだからよ、いっその事容姿を売りにして金持ち女の相手をするのはどうよ?俺、紹介してやってもいいぜ?」

 それまで被差別コミュニティ出身者の女子特有であった『ご奉仕業』も最近では男子でも就く事が多くなり、最近一般市民階級以上の女性間で流行っている『女性用風俗』で、『セラピスト』として働いている仲間が亮太を『スカウト』したのだが、

「ハァ?そんなモン興味ねぇよ。何が悲しくてババアの相手なんかしなきゃなんねーんだよ?」

 亮太は面倒くさそうにセラピスト職の誘いを拒否した。

「オイオイ亮太。もったいねぇなあ。俺らみたいなのって何やっても世の中から拒絶されるんだからよ、いっその事俺らの立場を逆手にとって、金持ちババアから金ふんだくればいいんだよwwww」

 セラピスト業に就いている仲間が、開き直った表情で言い放った。

「だよな。いちいち奴らの言う事なんざ間に受けねぇでよ、適当に利用させてもらえばいいんだよwww」

 他の仲間達も一斉に言い出した。

「お前ら、本当に『金・金・金』だよな…」

 亮太は仲間達に対して冷笑気味な反応を示したが、一方で彼らの言う事にも一理あると感じていた。


「アレ?あそこにいるの、お前の姉ちゃんじゃね?」

 向こう側から自転車に乗っている1人の女性が近づいてきた。例によって出版会社へ原稿を届けに行った後、そのまま井田あきよの店でアルバイトに向かう海原あいりだったのだ。

 (あ~あ、嫌だ嫌だ。真昼間から路上飲みしちゃってさ。ここの人達ってどうしてあんなのばかりなんだろう?)

 あいりは自転車に跨りながら、路上飲み中の若者軍団を遠目で苦々しく眺めていた。

 (嫌だ、亮太も一緒じゃん!!!!冗談じゃない、あいつとは絶対に関わりたくないから、他人のフリしてさっさと通り過ぎちゃおうっと。)

 その集団内に実弟である亮太の姿を目にしたあいりは速攻で他人のフリをしながら、自転車の速度を上げてその場を即座に立ち去ろうとした。

 しかしそういう時に限って運悪く、自転車のバランスを崩してしまい、危うく転倒しそうになったのだ。

「キャアアアアア!!!!ああ、危なかった~!!!!!」

 幸い転倒してケガする事もなかったので、再びその場を立ち去ろうとしたが、よりによって自身のバッグが自転車のカゴから飛び出してしまい、中身ごと亮太達の目の前に落ちてしまったのである。


「おっと、あっぶねぇ~!!!!!!ちょっと亮太の姉ちゃん!バッグ落としたよ~!!!!!」

 見るからしてガラの悪そうな集団であったが、その場にいた皆があいりが亮太の実姉である事を知っていたので、特段絡んだりする事もせず、落ちたバッグを拾い上げ、そのまま持ち主であるあいりに返そうとした。

「あ、ああ…。どうもありがとう。」

 あいりは自身のバッグを受け取ってお礼を言ったが、

 (ちょっとちょっと!!!何なのこいつら!!酒臭いし煙草の吸殻も道端に放置してるし!!!!)

 路上に放置された大量の酒の空き缶と煙草の吸殻に苦々しい目を向けた後、即座にその場から立ち去ろうとした。


「ん?コレ何だよ?はにしな…、とおる?おいコレ、男の名刺じゃねーの?」

 亮太が1枚の紙を拾い上げた。事もあろうに、先日埴科透から受け取った名刺だったのだ。バッグを落とした時の衝撃で内ポケットからその名刺だけが飛び出てしまったのである。

 (しまった!!!!!!埴科さんから受け取った直後にそのままバッグに入れたままだっただ!!!)

 あいりは名刺を受け取った当時、すぐに仕事に取り掛かってしまった為に財布など密閉された場所へ保管せず、しかもその後萩田正平の事件など諸事情でバタバタしてしまい、そのままバッグの内ポケットの中に入れてから名刺の事を失念していたのだ。

「ええっ?マジ?男名義の名刺って…????もしかして亮太の姉ちゃん、男が出来たとか???」

「わわわわわ、マジやばくね?亮太の姉ちゃん堅そうに見えて結構やるじゃんwwwwwww」

「やっべぇ!!!!!!亮太、その名刺見せろや。わぁお!連絡先書いてあるし!!!!」

「本当だ!!!俺、亮太の姉ちゃんの彼氏に電話しちゃおうっとwwwwwwwww」

 あいりの目から見て、明らかに『まともな人間』とは思えない亮太とその仲間達は、その名刺をネタにからかい出したのだ。


「ちょっとアンタ達、馬鹿な事言ってないで名刺返しなさいよ!!!!!!」

 あいりは力づくで亮太からその名刺を奪い返した。そして速攻で自転車に乗り、足早にその場を立ち去った。

「おい、テメェ痛てぇじゃねぇかよ!!!!!オメーみてぇなブス、誰が本気にすると思ってんのかよ?どうせここらの女共と同じように騙されて身ぐるみ剝がされて終わるだけだよ、バーーーーーーーーーーーーーーカ!!!!」

 あいりから力づくで名刺を奪い取られた亮太は泥酔状態で足元をふらつかせながら、あいりの背中に向かって暴言を吐いたのだ。


 (本当にあいりの奴馬鹿じゃねぇの?俺らみてぇな底辺のクズがまともな人生なんて遅れる訳ねぇの分かってる癖して、なまじっか正平の奴がエリートだったモンだから、テメェだけは特別だと勘違いしてんじゃねぇのか?)

  亮太は自虐なのか自身でもよく分からないが、とにかく自分達の様な出自はこの先どんなに努力をしても明るい将来が待ち受けているとはとても思えなかったのだ。  



 

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