幼少期 春休み
僕はとりあえず食べてみる事にした。
「美味しそうですね、パク、モグモグ、美味しいですね、でもちょっと塩気が足りない気がしますが」
僕は素直に今まで食べていた肉のかたまりと、野菜のかたまり、固いパンに比べて、正直に美味しいと思った、ちょっと塩気が足りないけれども。
しかしチーズまで塩気が足りないものを作るなんて、器用な事をするなぁと思った。
「僕はアレックス君が作る料理に比べたら、味気ないものに思えて来ちゃったけれど、以前はこの料理、すごく美味しく感じたんだ」
「私もよ、ちょっと前に出来たおでん屋、そこに行って食べて来たけど、おでんって食べ物、最初はこれ何?って思ったんだけど、食べてみたら本当に美味しかったわ、あれもアレックス君が作ったのね、なぜか納得だわ」
「私はおでんはまだ食べた事無いけど、最近になって食堂で出る様になった、ハンバーガーやホットドッグ、あれは本当に美味しいわ、アレックス君が作ったんでしょ?」
クロード、キャシー、ロレッタは僕が作った料理が美味しくて、今まで食べていた料理が味気なく感じている様だった。
何はともあれ、僕は王都の料理を初めて食べて、この国の料理のレベルがあまり高く無い事が改めてわかった。
「明日からは春休み、みんな気をつけて行って来てね」
『はい』
こうして、初めての春休みを迎えるのだった。
季節は3月下旬、寒い冬は終わり、ぽかぽかと暖かい季節がやって来た。
今日から春休み、みんなそれぞれ領地に帰っていくのだろう、馬車が沢山トットリカ学園に集まっていた。
僕は朝一番にクロードとアーサー王子、それからロレッタとキャシーにしばしの別れの挨拶を済ませ、自分が乗るべき馬車を探す。
しかし、自分は平民だったので、専用の馬車がない事を思い出し、今度は自分の領地に帰る馬車を探して、なんとか見つけた。
「すいません、御者さん、この荷物を乗せてもらって良いですか?」
「ずいぶんと小さい坊やだね、1人で乗るのかい?荷物は乗せても構わないよ」
「そうです、僕1人で乗ります、あ、僕トットリカ学園の学生なんで、大丈夫ですからね?」
「トットリカ学園の学生さんかい?見かけによらずしっかりしてそうだし、確かに大丈夫だね」
僕は馬車の御者さんとこんなやりとりはしたものの、不審がられずに帰りの馬車に乗る事が出来た。
この馬車に乗って2泊3日、僕は何事も無く僕が住んでいた領地に帰って来た。
本当に何事も無かったのだ。
馬車は領地に着くと、見知った顔の人が僕を待っていてくれた。
「アレックス、久しぶりだね、今日あたり帰ってくる頃だと思って、みんなで待っていたよ」
僕が家の馬車の駅に着き降りると、僕の父であるカーマインが一番に言って来た。
「久しぶり、パパ、ママ、リタリア、リタルダ」
こうしてなんとか、僕は領地に帰って来て、久しぶりに家族と会えたのだった。




