幼少期 春休みの前に③
「こんにちは、工場長さん、ポータブルトイレの時はありがとう、そしてまた作って貰いたいものがあるのだけど、良いかしら」
「これはキャシー先生、ポータブルトイレの時はありがとうございました、おかげで仕事が出来て嬉しい限りです、そしてまた作って欲しいものがあるんですか?」
「えー、今度もまたこのアレックス君が考えた、自転車と言うものを作ってもらいたいの、実物を持って来たから見て貰えるかしら、建物の外に置いてあるわ」
そう言うとキャシーは工場長を引き連れて、建物の外、さっき自転車を停めた場所にまで来た。
「これよ、工場長さん、これはこうやって乗る乗り物なの」
キャシーはそう言うと、自転車にまたがり工場の周りを走り出した。
「こんな感じで、乗るには最初、コツがいるけどコツさえ掴めば誰でも乗れる様になるわ、多分ね、工場長も乗ってみて下さる?最初は補助輪をつけて乗りましょうか」
そう言うとキャシーは補助輪をバッグから取り出し、さっき乗っていた自転車に取り付けた。
「これに乗って良いんですか?それじゃ遠慮なく」
そう言うと工場長は補助輪付きの自転車に乗り、走り出した。
「おー、これは面白い、そして早い、歩いているより疲れなくて3〜4倍も早く進めるなんて素晴らしい、曲がる時に大変だけど」
「今度は工場長さん、この補助輪を取って乗ってみましょう、倒れないコツは、漕ぎ続ける事です、曲がる時は曲がる方向に体重を傾けるのよ」
工場長は自転車を気に入った様だ、キャシーは今度は工場長に対して補助輪無しで乗ろうと言い出した。
「わかりましたキャシーさん、やってみます」
そして補助輪を取り外した自転車に、工場長はまたがり、漕ぎ出し、最初足を何回か着くが、すぐにコツを掴んでスイスイと進み出した。
「これは不思議だ、補助輪無しの方が速く感じるし、曲がる時もスムーズだ」
「そうなの、補助輪がない方が早いし、曲がる時も曲がりやすいの、不思議よね」
工場長は初めて自転車に乗って、そんな感想を言い、キャシーもその通りだと言う。
「これの作成、販売を委託したいのだけど、良いかしら」
「もちろんです、是非うちにやらせて下さい」
「ありがとう、では早速手続きを始めましょうか」
そう言って僕達は、キャシーと工場長とともに、事務所らしき場所へと入って行った。
僕達はこの間、一言も喋らずキャシーだけが話している、キャシーはさすが大人だなぁ、と思った。




