幼少期 春休みの前に
その後、僕は一週間、1時間早く起きて食堂にパンを仕込みに行き、ようやくパン作りの伝授を終えた。
天然酵母の作り方は、煮沸消毒した瓶に、切ったりんご丸々と、砂糖大さじ1に対し、水180gを入れたものを教えた。
パン作りの伝授を終えながら、ハンバーグとウインナーの作り方を教えて、ようやく食堂でハンバーガーとホットドッグが出る様になった。
「これ、ハンバーガーにホットドッグ、本当に美味しいよね、ありがとうアレックス君、おかげで毎日食事が楽しみになったよ」
「そう思っている学生は多いんじゃ無いかな、今まで毎回私もそうだったけど、食堂に特別な想いが無かったから、ただ食べるだけの毎日だった、食堂に来る学生達は明らかに笑顔になっているよ」
クロードはハンバーガーとホットドッグが食堂に出る様になって嬉しがり、毎日の楽しみと言った。
アーサーに至っては、周りまで笑顔になったと言った。
僕も毎日一週間早く起きて、食堂に通った甲斐があったと言うものだ。
これだけみんな喜ぶのなら、食堂でもっと出せる料理を増やして貰おうかな、とも思ったけれど、この頃、米が恋しくなって来てしまった。
食事は終わり、いつも通り教室で。
「アレックス君、この1週間自転車を作り続けて、ついに100台になったわ、そろそろ売りに出す?」
「そうですね、でも100台ぽっちじゃどうにも出来ませんから、町工場に丸投げにしませんか?」
「そうね、それが良いわね、じゃあ今日は錬金術クラブはお休みにして、町工場に見学に行きましょうか」
「キャシー先生、それは良いんですけど、お昼ご飯はちゃんと出るんですよね?私も町工場には行って見たいので、行くのは賛成ですけど、お昼が不安です」
キャシーが錬金術クラブで自転車100台作ったと言ったが、僕は100台ぽっちじゃ全然足りないと言い、 それに乗っかりキャシーは町工場に見学に行こうと言い出し、
ロレッタは以前銀行に行った時にお昼を抜かされてしまった事を覚えており、今回は昼ご飯はちゃんと出るのか、確認をして来た。
「大丈夫よロレッタさん、今日はちゃんとお昼はお店で食べるわよ、なんて言っても、この前のポータブルトイレのおかげで、錬金術クラブはお金持ちになったから、お昼ぐらいお店で食べても大丈夫なのよ」
「わー、そうなんですね、お昼、僕楽しみになりました」
「アレックス君が楽しみにしている所悪いんだけど、そんなにお店のご飯は美味しく無いから、あまり期待しない方が良いよ」
「確かに・・・、アレックスが作ったおでんの前だと、はっきり言って期待はずれだから、あまり期待しない方が良いよ」
キャシーがロレッタとみんなにお昼ご飯はお店に行くと言い、僕は期待したのだが、クロードとアーサーが期待しない方が良いと声を揃えた。
期待しない方が良いとは言うが、僕は少しだけ、この異世界でも美味しいものを食べたいので、期待してしまうのだ。




