幼少期 森へ行こう②
キノコは素人判断してはいけないのだ。
今夜はここでこのまま野宿って事はなく、
今現在キノコ採りの真っ最中だ。
荷物背負いカゴだけで、9ヶ月半の妊婦1人に、5才児と3才児が浅いとは言え、魔物が出る森で野宿をするはずは無いのだ。
そして順調にキノコを背負いカゴに入れながら収穫し、母は今度は鎌を持って草が生えている所に行き、何やら刈り取り始めた。
「ママ、何してるの?」
「ん〜、これはね、ワラビと言ってね、灰汁を抜かなくては食べられないのだけど、独特の香りがする食べられる草なの」
僕が母に聞くとそう答えてくれた。
ワラビって葉が開く前の小さな物しか食べられないんじゃ無かったかなぁ、母はダイナミックな動きでワラビを刈り取っているので疑問を覚えたが、よくよく見ると、葉が開く前の小さな物だけを収穫していた。
でもワラビって確か3月頃の春のものだった気がするけど、まぁここは異世界、細かい事は気にしない方が良いかな。
とここで僕は母の前面に動く何かを見てしまった。
イノシシだ、大きさは軽トラくらいある。
母はそれに気がついていないのか、ひたすらダイナミックな動きのままワラビを刈り取っている。
「ねえママ、ママの目の前に大きなイノシシみたいなのがいるよ!襲って来ないかなぁ、気をつけて」
「ん〜、大丈夫よ」
イノシシとの距離は10メートルくらいだろうか、僕が母に注意する様に言ったのに、母は呑気に答えた。
「アレックス、あの魔物はね、イノシシでは無くボアよ、良いあれはボアよボ・ア」
「うん、わかったけど本当に大丈夫?何かボア、ママの方を見てるんだけど」
母は大事な事なので2回言ったと言う様な感じで、僕に言ったのだけれど、僕はそれよりも、今の事に目を向けて欲しいと、願いながら言った。
しかし母はワラビを採る手を止めない。
ボアはず〜〜と母を見ている。
するとボアは痺れを切らしたのか、前足で地面を打ちつけた後、母に向かって突進して行った。
「危ない!!」
僕はそう言い、この間習ったオーラをボアに向けて放つが、ボアはそよ風でも吹いたのだろうぐらいの勢いで無視をして母に向かって行く。
ボアが母に追突する前に、ドン!!と言う音が鳴った。
するとボアはその音と共に突然倒れた。
すると母は、ワラビを収穫するのをやめ、倒れたボアの方に近づいて行く。
「ウインドカッター」
母がそう言うと、見えない何かがボアの首をチョンパした。
「ママ、今のは何?オーラ?」
「今のは魔法よ、最初のドン!!て言うのは違うけどね」
僕は母がボアの首をチョンパした事に驚き、疑問に思った事を聞くと、母は普通に答えてくれた。
「ねえママ、教えて教えて、僕に魔法を教えてよ」
「アレックス、焦らないでね、どの道魔法はアレックスはできる様になるでしょうから」
「だから言ったでしょう、ママは強いって以前もアレックスがお腹にいた時も、同じ事をしたもの」
僕は魔法を見て、オーラだけじゃ無く魔法まであるのか〜この異世界は、と思った。
「ねえママ、魔法とオーラは同じものなの?それとも違うもの?」
「魔法とオーラは同じようなものよ、後はアンブレア様に聞いてね」
僕は魔法の事をもっと知りたかったのだが、母からは色良い返答が無かった。
「今日は大物が手に入ったわ」
そう言うと母は背負いカゴから小さく束ねられたロープを取り出すと、そのロープでボアの足を括っていった。
「さて、大物が手に入ったから今日はこれで帰りましょ」
『うん』
母がそう言うと、足を括られたボアを引き摺り出す。
「僕が持って行くよ」
「え〜、アレックス大丈夫?オーラは使うだろうけど、とっても重いのよ?アレックスは昨日オーラの使い過ぎで気を失ったじゃない」
「うん、でも僕が持って行く、オーラが切れそうになったらやめるから」
「そう、アレックスありがとう、ママに気を使ってくれているのね、無理そうだったらすぐに言ってね、ママが代わるから」
僕は母が妊娠9ヶ月半という事もあり、軽トラぐらいあるボアを引き摺るのは負担が掛かるだろうと思い、ボアを引きずる役目を買って出た。
「私、まだオーラを使えないから無理」
リタリアがちょっと残念そうに言った。




