表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第一章 クローズドβ
7/94

仲間

 リアル時間で二日目。俺たちは森と草原を往復していた。狼と戦っているせいなのかもしれないが、このゲームのモンスターはマップが切り替わるところまでは追いかけない。そのため、一体倒したら草原まで逃げて、常に一対一で戦えるようにしている。


 とりあえず、今の目標はレベル十だ。狼を狩る方が効率は良いようなので、もう少しで達成できそうだ。


 草原に戻って回復して、もう一度挑む。が、なかなか一匹でいる狼を見つけられない。仕方ない。二匹の狼を狙おう。


「強化STR、強化AGI、付与麻痺術。ユキ、あの狼に突進してくれ」

ユキの突進が狼を襲う。倒しきれなかったものの、体勢を崩せた。痛みと麻痺でしばらくは動けないだろう。


 もう一匹の狼はユキに向かって鋭い爪を振り下ろした。ユキはその攻撃を余裕を持って躱す。何度か戦っているおかげで、一対一なら戦えそうだ。


「強化STR、強化AGI」

強化が解けないように掛け直す。起きあがろうとしている手負いの狼は短剣を投げてとどめを刺しておく。


 戦闘はユキがCTが終わった突進を使って終わった。狼が煙に変わって消えるのを見届け、投げた短剣を回収する。どこからか遠吠えが聞こえる。仲間がいなくなったのに気づいたのかもしれない。俺たちは急いで草原まで戻った。


リック

種族:人間ヒューマン Lv.10

HP:20/20

MP:50/50

STR:5(+1)

VIT:5

INT:25

AGI:10

【スキル】

使役 瞑想 回復魔法Lv.3 強化魔法Lv.5 付与魔法Lv.2 麻痺術Lv.1 鑑定Lv.5 格闘術Lv.1

【装備】

初心者の短剣 STR +1  耐久:∞

残りポイント:12


ユキ

種族:角兎 Lv.10

HP:25/25

MP:0/0

STR:10

VIT:6(+1)

INT:1

AGI:14

特性:跳躍

【スキル】

突進 庇う

【装備】

青いリボン VIT +1 耐久:97


 草原でステータスを確認する。俺もユキも無事にレベル十になったようだ。使役はプレーヤーのレベルが十上がるごとに使役できるモンスター数が増えたので、モンスターがレベル十となったら何か変化があるかと期待したがなかった。


 ユキは庇うスキルの影響かHPとVITが伸びるようになってきた。すでに俺よりも数値が高くなっている。複雑な気持ちだ。……役割分担だと思うようにしよう。



 ログアウトするために一度街へ戻る。ログアウトは敵に襲われない環境でしか出来ないのだが、次のログインは夜になるため、森のセーフティーポイントに行くのはリスキーすぎる。


 町に戻ると、ログインしやすい時間だったからか、街は人とモンスターで溢れかえっていた。露店で売り買いするプレイヤーの姿も見える。俺もギルドじゃなくて店にアイテムを売ってみようかな。



 露店を見て回っていると、あるプレイヤーを見つけた。ワイルドウルフを連れた金髪の男プレイヤーで、小さな机の上で作業しながら話をしているようだ。瓶を渡している。ポーションを作っているだろうか。


 ちょうど人がいなくなったところだったので、覗いてみた。


「次の方どうぞ。素材を受け取って作った回復薬を渡してます」

調薬をしているプレイヤー――Brassさんに持っていた薬草を渡して作ってもらう。彼のモンスターも調薬を手伝っているようだ。爪を使って、薬草を細かくしている。


「これって調薬できますか?」

俺は森で採取した毒消し草を取り出した。


「できると思います。スキルレベルが上がってレシピが手に入ったので」

彼は失敗するかもしれませんが、と前置きをして作り始めた。基本的な順序は回復薬と同じらしい。


 五枚あった毒消し草は二つの毒消し薬に変わった。


「毒消し薬に慣れていなくて、成功率が低かったです。すみません」

「気にしないでください。俺は加工するスキルを持ってないので持っていても上手く使えません」

「毒消し草はギルドでそこそこの価格で買い取ってもらえると聞きましたよ」

……。過ぎてしまったことは仕方がない。毒消し薬も役に立つはずだ。


 俺は一通り店を見て回ってからログアウトした。



 ゲーム内時間が夜になる頃、もう一度ログインした。


 俺が狙うモンスターは夜限定の蝙蝠のモンスター。空を飛ぶモンスターがいれば、索敵がしやすくなると考えた。


「来た! 使役(テイム)

一度目の使役は失敗に終わった。だが俺のMPはまだまだある。


「使役、使役、使役……」

本来はモンスターのHPを減らしたり、状態異常にしたりして弱らせることで、使役の成功率を上げるのだが、ユキも俺も上空への攻撃は難しい。ここで俺たちが取れる選択とは何か? そう、ゴリ押しである。俺のMPは五十ある。これが何を意味するか分かるな?


 使役を使い続けること二十数回、ついに使役が成功した。


「提示」


〈名称未設定〉

種族:ナイトバット Lv.1

HP:10/10

MP:0/0

STR:5(+1)

VIT:3

INT:3

AGI:7(+1)

特性:夜行性 飛行


【夜行性】

【夜間能力上昇】と【夜目】が統合されたスキル

【夜間能力上昇】

夜の間、HPとMPを除いた能力が上がる

【夜目】

暗い空間でも昼間のように見える

【飛行】

空を飛べる。ただし、高度には限界がある。


 レベルが十になったユキと比べるとステータスは高くないみたいだ。スキルがないのは残念だが、飛行能力を活かして戦ってもらおう。


「名前は"小夜(さよ)"だ。よろしくな」


 モンスターに名前をつけて、使役は完了である。



「強化STR、強化VIT、強化AGI。あのナイトバットに攻撃してくれ!」

強化魔法を三つ使って、サヨに戦ってみてもらう。相手は同族であるナイトバットだ。強化魔法を使っているから負けることはないはずだ。


 サヨが足の爪を使って先制攻撃をする。が、敵は翼でうまくとめて蹴りを喰らわす。体制を崩したサヨに敵は噛み付く。サヨは外そうと暴れるが、相手の牙が突き刺さっているようで外れない。


「ユキ、落ちてきたところにとどめを刺してくれ」


 戦いはユキが終わらせた。サヨのステータスを確認するとかなり消耗していた。回復魔法をかけてから、街のそばへいく。


 サヨは戦いが苦手なのか、サヨだけで戦うのはまだ厳しそうだ。夜が得意なサヨには悪いが、明るくなってから森で狩りをすることにした。



 朝、俺たちは森へ向かった。サヨには索敵を頼んでいる。しばらくすると、三匹の狼を連れてサヨが帰ってきた。


「ユキ、強化STR! 確実に一体倒してくれ。サヨ、強化AGI、強化VIT、付与麻痺術! 攻撃したらすぐに退避! 狼を麻痺状態にしてくれ」

ユキとサヨがそれぞれ一体ずつ戦ってくれているので俺は最後の一匹と向かい合う。俺に噛みつこうと向かってくる狼に対してカウンターを叩き込む。STRが高くないため時間はかかったが被弾なく倒すことができた。


 ユキとサヨの方も問題なく倒しているようだった。二匹ともダメージを受けていたため回復をしておく。サヨの方は強化VITがなければ倒されていただろう。危なかった。


「サヨ、モンスターに見つからないように気をつけてくれ。敵が居たら教えてくれ」

サヨは元気に頷いた。


 今度は四匹の狼を連れてきた。



 ユキに頑張ってもらい、なんとか四匹とも倒すことができた。この戦いでMPを使い切ってしまったので、俺たちは草原に戻ってきている。今は頑張った二匹にバースベリーを与えて休憩中だ。


 サヨに森は早かったのかもしれない。慣れない索敵をさせようとしたのもいけなかった。MPを回復させたので、今度は草原で索敵と戦闘の練習をさせることにした。


 薬草を採取しながらのんびりと特訓する。レベルはあまり上がっていないが、サヨの索敵技術は上がったような気がする。サヨが敵を倒すたびに餌付けをしていたのもあってか、最初よりも懐いてくれたようだ。



 試しに森へ行ってみたところ、最初の頃のように多くのモンスターを連れてくることはなく、見つかる前に報告してくれていた。二匹でいる狼を見つけたので、戦いを挑む。


 サヨの動きからはぎこちなさが抜け、被弾することなく倒せるようになっていた。ユキが敵を引きつけ、サヨが攻撃するといった連携もしているようだ。


「ユキ、サヨ、良くやってくれた」

この調子なら森で狩りができそうだ。


 しばらくの間、俺たちは狩りを続けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ