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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第三章 時の神殿
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神殿探索4

「やった。二個目ゲット!」

「早いな、ナル」

「早速インベントリに入れてみるぞ」

俺たちは固唾を飲んで見守った。インベントリ内では合体するのだろうか。


「あー。一個に変わっているな。取り出してみるぞ」

ナルが取りだした欠片は拾ったものより大きくなっていた。問題なく? くっついているようだ。


「インベントリに入れても変化するなら問題ないのかもな」

「だな。拾いながら進もうぜ。床に落ちたままだとゴブリンとかが現れるかもしれないし、インベントリの中が安全だからな」

「待ってください。袋の中に入れたらどうなるか調べましょう。確か、アイテム表記が変わったはずです」

ハヤテが食べると思って買った食べ物のゴミならあるな。汚くは……ないな。汚れた状態は継続しないみたいで良かった。


「実は僕も見つけたんです。入れてみてもらって良いですか?」

実験のためと、渡された欠片を受け取る。袋に入れて欠片をしまってみた。


 袋を再度取り出す。中を確認すると、しまったときと同じ状態だった。


「大きくしたくない時は袋にしまうと良さそうです。書き込んでおきますね」

「なあリック、袋なんてどこに売ってたんだ?」

ナルは戦闘に必要ないものとかは一切買わないんだろう。俺はゲームで拠点の内装や外装にこだわるタイプだから少し勿体無いと思うけど、遊び方は人それぞれだもんな。


「商品の袋だよ。雑貨屋さんとかなら売っているのかもな。行ってみるか」

「へえ。雑貨屋なんてあるのか。俺は全然町を探索してないんだな」

「二人とも、楽しそうな話をしていますね? どんなものが売っていたんですか?」

「アクセサリーとか発火する魔道具、ポーチみたいな小物だったかな。売り物かは分からないが、ぬいぐるみも置いてあったな」

思い出しながら列挙する。ぬいぐるみはあの女の子のための物の可能性はあるな。でも、あの店じゃなくても売っている店は存在しそうだ。


「ぬいぐるみ……。幽霊が憑依すれば使えそうだな」

「ゴースト系の魔物か! 先に進めば出てくるのかもな」

「リックさん、それだけではありませんよ。妖精が入ったり、動かしたり、遊んでくれるかもしれません! 幽霊と同じで実体はありませんし!」

「武器防具を買い揃える以外にも色々あるんだな! 俺もイベントが色々見てみたいな」

「それが良いと思いますよ。思わぬ発見があるかもしれませんから」

俺の知らないクエストもまだまだありそうだから、イベントが終わったら、ゆっくり観光も良いかもな。とはいえ、今は目の前のイベントに集中しよう。



 そこそこ集められたため、明日も同じ時間に約束して別れる。


 袋の数が少なくて、欠片が欠片と呼べないくらい大きくなってしまったから、袋を買いに行く。


「お兄ちゃんだ! 久しぶり! でも魔石はまだないよ?」

「魔石?」

「魔石はね、復魂祭で神様に捧げるキラキラした石だよ。錬金術師が作るんだ。ママ、じゃなかった、母も少しは作ってるよ。位階は低いんだって!」

位階……。魔石にはランクみたいなものがあるのか。……そもそも魔石って何なのか全く分からないが。


「あ! 接客の練習だった! お兄ちゃん、早く買い物して!」

急かされて小物入れを六つほど買う。彼女はゆっくりとそろばんのようなものを弾きながら計算した。


「えっと……五百四オルです!」

「あ、惜しい。四の位置が少しズレてるね」

「本当だ! 五四〇オルだった!」

彼女にぴったり渡す。彼女は丁寧に数えてお金があることを確認すると、商品を手渡してくれた。


「ありがとうごじゃいました! あう、噛んじゃった……」

しょんぼりする彼女を励ましてから外に出る。そしてそのままログアウトだ。



「ねえお兄ちゃん。ボスってどんな感じだった?」

「ボス? どこのだ?」

夕飯の時、凛が聞いてきた。凛が聞くとなるとイベント関係だとは思う。エリアボスのゴブリンはイベントとは違う気もするから、リビングアーマーだろうか。


「それは勿論レイドボス! ってあれ、知らなかった!?」

「うん。ログアウト中に出てきたのか?」

「夕飯の少し前くらいだったから、そうなるかな。ボスはすっごく強くて、中でも……ってごめん。ネタバレは好きじゃないよね」

ボスの行動パターンを言おうとしてやめたみたいだ。前情報を見てプレイするのはあんまり好きじゃないから、その配慮はありがたい。


「神殿の広いところにいるみたいだよ。イベントムービーは後で見れるらしいから、見ることをお勧めするよ! あ、メニューから見られるからね」

「ありがとう。見てみるよ」

「ふふ。律も凛もそのゲームが好きなのね。楽しそうで良かったわ」

口いっぱいにご飯を放り込もうとしていた凛は返事の代わりに親指を立てた。俺は頷いて答えた。


「でも、ゲームをやりすぎないように。特に凛は」

「うっ。わ、分かってるよ……」

凛は母からサッと目を逸らした。


 ふははは。良いぞ、もっと苦しめ。俺が受験の時にゲームをし、その上、ウチの子可愛い自慢をしてきた恨みは忘れんぞ……!



 メニューから見られるんだったな。あ、あった。二人と合流する前に見ておこう。



『異界からの勇者諸君。時の神殿奪還作戦への協力、感謝する。皆のおかげで神殿内の魔物は確実に減ってきている』

ムービーに出てきたのは告知と同じ人だった。彼は前置きもせず、用件から話し出した。


 彼が軽く咳払いをすると横から別の人物が現れた。彼は長いローブをきた男性で、髪は手入れされていないのかボサボサしている。分厚い眼鏡からも、彼が熱中するとそれ以外気にならないタイプということが分かる。


『そして、新たな事実も発見した。君たちがいくつか提供してくれたこの謎の欠片だが、魔物と同じ魔力を放っていると分かった。いや、魔物がこの欠片と同じ魔力を放っていると言うべきか。……今はこんな話をしている場合ではないな。これは私の悪癖だな。気をつけなければ』

予想通り、彼は欠片を研究していたようだ。眼鏡をクイっと上げながら独り言を言うように話し続けた。


『この欠片の性質は主に二つだ。一つ目は魔物を出現させることだ。この欠片は周囲の魔力を取り込み、魔物を出現させる。二つ目は欠片同士を近づけると融合するということだ。また、大きな欠片はより強い魔物を出現させる。私のまだそれらメカニズムは分かっていないがな』

『そのせいで研究室が大変な目にあったな』

『おっと、それは言わないでくれるかな、ウィルソン。私のイメージが下がるではないか』

『もう既に悪い、安心してくれ』

『酷いなあ。昔馴染みというのに』

研究者の男性はかなりマイペースなようだ。周りの人はいつも振り回されていそうだ。ウィルソンさんとか。


『すまない。話が逸れてしまったね。ここからが本題だ。先ほどまでの話は世間話だと思ってくれ』

うーん、マイペース。ムービーは動画だから尺が分かるんだが、ここまでで半分以上の尺を使っているぞ。


『少々イレギュラーが発生してね。強力な魔物が出現した。私たちはこの魔物を"闇の結晶"と呼ぶことにした。通常では見られない魔物だ。場所は時の神殿内部、礼拝所。今は王都から送り込んだ魔術師で抑えているが、持って一時間だろう。手の開いている者は向かって欲しい。この魔物は一人、いやパーティーでも太刀打ちできない。だから、できるだけ多くの者で挑んでほしい』

これがレイドボス……。結晶とあるが、どのような見た目だろうか。雪の結晶みたいな感じだろうか。戦い方が分からないな。


『こちらでも、敵の情報は不十分だ。異界の勇者たちには無理させることになってしまうが、頼みたい。よろしく頼む』

騎士団長の締めの言葉でムービーは終わった。研究者の人は騒がしい人だったな。俺も王都に行くことになったら出会うのだろうか。



「あ、リック! 今日は先を越されたか!」

「おはよう、ナル。イベントムービーを見るために早く来たんだ」

「え、イベントの進展があったの!?」

「ああ、昨日の夕方頃にあったみたいだ」

「よし、俺も見てくるわ! ちょっと待っててな」

ナルはムービーを見始めた。ちょうどその頃、アオイも合流した。


「二人はもうムービー見ましたか?」

「ああ、俺は見たよ。ナルは今見ているところ」

「そうでしたか。ではナルが見終わったら神殿へ向かいましょうか」

「そうだな」

ムービー再生中は周りの音が多少遮断されるみたいだ。俺たちが話していてもナルは特に気がついた様子はない。



「見終わったぜ! レイドボス討伐に行くぞ、二人とも!」

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