作戦開始3
道を塞ぐ蜘蛛をハヤテに倒してもらいつつ先に進む。蜘蛛の巣が張り巡らされたゾーンを抜けると少し広い空間に出た。
そこには何十匹ものゴブリンが居た。
「これは……すごいな」
「ゴブリンの拠点、でしょうか……」
二人も呆気に取られているようだ。部屋の中の様子を、扉の影に隠れて様子を伺う。
「死んでも復活できるし、突撃するか?」
「作戦は立てましょう。ただ突っ込むだけでは何も得られません」
「あの奥にある扉、怪しいな」
「じゃあ、あの扉まで走るかー」
アオイは呆れたように笑った。神殿の中に入った時のようにするのは少し無理があるか。敵を掻い潜って扉まで行くのは難しそうだ。
「他の道がないか探してみましょう」
アオイが提案したように、別の道がないか探す。
「やっぱり、突っ切るしか道はないか!」
「なんで嬉しそうなんだ……」
他の道の先は行き止まりか外に続いており、扉の奥に繋がりそうな道はなかった。
「……ナルの言う通りになりそうですね。非常に不本意ですが」
「そんなに嫌そうにするなって。頼りにしてるんだからな?」
「……。まあ良いでしょう。MPは回復し終わりました。先ほどと同じような手順で良いでしょうか?」
俺とナルは頷く。
「いきますよ……」
アオイが合図と共に、走り出しながら魔法を発動する。俺たちはそれに置いていかれないように走り出す。
部屋の真ん中くらいでアオイの魔法が切れた。すかさず、アオイのパートナーが魔法を発動する。だが、今回は上手くいかなかった。ゴブリンたちは魔法の後ろをついて行く俺たちを呆気に取られ、見ていることしか出来ていなかったが、だんだん慣れてきたようで、連携して横から攻撃してくるようになった。
攻撃を受けたり避けたりすると、スピードは遅くなる。やがて俺たちは広場に取り残されてしまった。
「魔法、全然足りませんでした。すみません」
「俺らが上手く援護できれば良かったな」
話しつつも、手を動かし、敵を倒す。可能なら、全てを倒して、扉まで進みたいのだが。
俺たちだけで四方八方から迫り来る敵を倒すのは無理があった。なす術なく、全滅してしまった。
「あ、バースに戻されるんだ」
「最後に寄った場所ですからね」
「神殿前に戻されたら一番良かったけどなあ」
死亡時のアナウンスが流れた。βテストで一度聞いたので聞き流す。
「あれ、突破することを考えていない難易度だったよな?」
「そうですね。どこかに抜け道があるか、あの奥は今は行けないようにしているかですね」
「敵の弱体化イベントみたいなのがありそうってことか?」
可能性を話しても、解決はしない。俺はどうすれば行けるのかという話題に変えた。
「やっぱり、神殿内を隅々まで探索すれば、どこかに奥に繋がる道があると思います」
「でも、神殿ってかなり広そうだったぞ? 隅々までってかなり時間がかかるなあ」
「地図があれば良いのですが……」
「誰もマッピングできないのが悪い」
「そうではなくてですね……。損壊前の地図ですよ。壊れる前なら抜け道とかも載っているのかなと」
二人の話を聞きつつ、俺なりに考える。隅々まで探索するのが今のところ良さそうだな。俺はダンジョンを隈なく探索したいタイプだ。ナルはそうではないみたいだし、時間は有限だから、最短で行けるような道があれば良いのだが。
アオイが言っていたように、壊れる前でも後でも地図があれば楽になりそうなんだけどなあ。他のプレイヤーは地図を持っていてもくれなさそうだよな。NPCなら奪還のためと言えばくれそうな気もする……。
「なあ、壊れる前の神殿の地図は町の人にもらえたりしないか?」
「「それだ!」」
二人は声を揃えて言った。
「神殿って公共施設みたいなものですからね。地図の一つや二つあるはずです!」
「どこで手に入るんだろう? 店か?」
冒険者ギルドで聞いてみたところ、地図があったので、その写しを貰うことができた。
「これで探索が捗りますね」
「早速行こうぜ!」
「デスペナがあるのを忘れたのですか?」
「ああ、そっか。まず一時間は町から出られないし、CTは二十分あるもんな」
前の時よりも伸びている気がするな? 確認すると、ハヤテもイブキも二十分だったみたいだ。
「召喚してからの弱体化期間でも、僕たちが戦えば神殿の入り口くらいには行けるでしょう。二人はこの後暇ですか?」
「暇だぜ」
「イベントのために時間を開けているので」
「では、ゲーム内時間で一時間程度、現実世界で二十分、休憩しましょうか」
「それが良いな」
アオイ、ナルはログアウトした。俺もログアウトする。一時間、一人で町に居るのもなんか嫌だし、トイレにも行っておきたいからな。




