表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第一章 クローズドβ
2/94

パートナー

 ブーブーブー。雨で濡れた髪を乾かしているとき、スマホのバイブレーションが鳴った。


「迷惑メールか? 今日はツイてない日だからな……」


 遅刻しそうになって傘を忘れたり、高校生初めての体育が雨で保健に変更になったり、廊下で何度か滑ったり……最悪の日だった。そのため、警戒しながらメールを開いた。送り主はBPO運営と書かれている。


『天野 律様

おめでとうございます。あなたはBrave and Partners Onlineのβテストに当選しました━━』


「よっしゃあ!」

思わずガッツポーズ。今日の不運もβテスト当選のためだと思えば辛くない。むしろ良くやったと言いたいくらいだ。


「お兄ちゃんうるさい。……嬉しいことでもあったの?」

「ごめん、凛。でも、喜んでも良いだろ? あのβテストに参加できることになったんだぜ」

メールを見せつけるように前に出す。凛は興味なさそうに画面を覗き込んだ。


「ふーん。ってえ? マジで!? 倍率千倍って聞いたよ。今年の運、使い果たしたんじゃない?」

「そうだな。実際今日も散々な目にあった……」


 悲しいことは忘れて楽しいことを考えよう! βテストの期間はゴールデンウィークの間だけだが、キャラメイクは当選通知が来たらできるのだ。俺は早くダイブして……モフモフと冒険する! 家で飼えない分、ゲームで癒されるんだ!


「あっ、お兄ちゃん! 足元危ない!」

自分の世界に入っていた俺は、妹の忠告も意味をなさず、コードに足を引っ掛けて盛大に転んだ。妹のため息が遠くで聞こえた気がした。



 早速ヘッドギアを起動する。応募時に自分のヘッドギアのアカウントの情報を入力しているため、アプリはすでにインストール済みである。

「【Brave and Partners Online β版】起動!」



『こんにちは! Brave and Partners Onlineのβテストにご参加いただきありがとうございます。━━開催時間外です。キャラクターメイキングを行いますか?』

真っ白な空間にYesとNoが表示されているウィンドウが表示される。俺は迷わずにYesを選択した。


『これから、キャラクターメイキングを始めます。まずヘッドギアに記録されている情報をもとに仮アバターを作成します。━━作成しました。微調整を行ってください。また、キャラクターネームの設定を行なってください』

設定通りのよく使っているアバターが現れる。現実の顔をもとにイケメンになるようにキャラメイクした。テレビCMには赤や青のような髪色の人物は出てこなかった。俺は髪色を青から青みがかった黒に変更し、目の色も髪に合わせる。名前は普段使っているままで良いか。


『……リック様のアバターの設定が完了しました。続いて最初のパートナーとなるモンスターを決定します。こちらは初期エリアに出現する十四種類のモンスターからランダムで選ばれます……決定しました。あなたのパートナーはホーンラビットです。対象物に手をかざし、提示(オープン)でステータスを確認して、名前を付けてください』

俺のアバターの隣に角が生えた兎が表示された。フワフワの毛並み、つぶらな瞳に丸いフォルム。この子と冒険できると考えると胸が躍った。

「提示」


〈名称未設定〉

種族:ホーンラビット Lv.1

HP:10/10

MP:0/0

STR:3

VIT:3

INT:1

AGI:9

特性:跳躍

【スキル】

突進


【跳躍】

自身の身長の二倍の高さまで飛ぶことができる。

【突進】

助走して体当たりする。CT(クールタイム):10s


スキルはタップすると詳細が見えた。この子は高いAGIで敵を翻弄して突進でダメージを与えるアタッカーになりそうだ。


「特性について教えてください」

『特性は種族によって異なり、常時発動のスキルとなります』

なるほど。この子は兎だからジャンプ力が高いってことだな。


 次は名付けだ。名前は見たときから決めている。

「お前の名前は"(ユキ)"だ!」

『名付けが完了しました。続いてプレイヤーのステータスを表示します。プレイヤーには開始時にポイントが割り振られます。このポイントを使用してスキルの取得、ステータスの変更を行ってください』


リック

種族:人間ヒューマン Lv.1

HP:20/20

MP:10/10

STR:5

VIT:5

INT:5

DEX:5

【スキル】

使役


残りポイント:100


 取得可能スキルの一覧を見ると百以上のスキルが並んでいた。スキルは戦闘技能系、魔法系、戦闘補助系、生産系、採取系、その他の六つに分かれている。ユキが物理アタッカーみたいだし、魔法でサポートできるようにしよう。


リック

種族:人間ヒューマン Lv.1

HP:20/20

MP:50/50(20P)

STR:5

VIT:5

INT:25(20P)

AGI:5

【スキル】

使役 回復魔法Lv.1(10P) 強化魔法Lv.1(10P) 付与魔法Lv.1(10P) 麻痺術Lv.1(5P) 鑑定Lv.1(25P)


【使役】 

モンスターを使役する魔法。

最大使役数:自分のレベル/10+1 MP消費:1

【回復魔法】

HPを回復する魔法。INTの値で回復量が決まる。レベル上昇で新たな魔法を覚える

【強化魔法】

自分や仲間の能力を上げる。INTの値とレベルで効果量が変わる。

【付与魔法】

自分や仲間、持ち物に効果を付与する。INTの値で効果量が変わる。レベルが上昇すると効果時間が伸びる。付与する効果によってMP消費が変わる。

【麻痺術】

自分の攻撃が当たった相手を確率で麻痺状態にする。レベルが高いほど成功率が上がる。

【鑑定】

鑑定したものの名称などが分かる。レベルが上がると成功率、読み取れる情報量が分かる。相手のINTが低いほど成功しやすい。MP消費:1


 サポートに使えそうなスキルを取って、残ったポイントはINTとMPに全振りしたため、サポート特化のビルドになってしまった。戦闘はユキに任せるしかなさそうだ。ごめんね、ユキ。

『ステータスが決定しました。これで事前設定を終了します』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ