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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第二章 サービス開始
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雑貨屋の悩み2

「こんにちは」

雑貨屋に入る。今日は母親の方も店にいるようだ。


「お兄ちゃんだ! 材料、集めてくれたの?」

俺は頷いて頼まれていた材料を取り出した。バースベリーは今のところ使い道がないので、入っているだけ渡す。


 彼女はバースベリーが好きなようで、大量のベリーを前に目を輝かせている。


「こんなに素材をいただいて良いんですか? ありがとうございます。これで商品作りを再開できます。何か返せれば良いのですが」

彼女は店の奥に引っ込んで行って、両手で抱えるほどの大きさの箱を二つ持ってきた。あまり使われていないようで、少し埃を被っている。


「中古品で申し訳ないのですが、簡易錬金キットと簡易料理キットです。どうぞお使いください」

「かなり高価なものでは?」

簡易がどれほどの料理ができるものなのか分からないが、金属製のものも入っていそうだ。


「そうですね。新品なら三千オルはします。ですがそちらは中古ですので売り物にできず、捨てるのも勿体無くて困っていたんです。良ければ貰ってください」

三千……!? 渡した物は高価ではないのに、そんなに良いものを貰ってしまったことに申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、くれるならありがたく貰っておこう。


「錬金ギルドも料理ギルドもこの町で聞いたことがないのですが、場所を知っていますか?」

「あっすみません。錬金スキルは珍しいスキルですよね。無いのも当然です」

彼女は地図を取り出して町や村を指差しながら言った。


「料理ギルドも錬金ギルドもマイナーなギルドですが、もっと大きな街ならあるはずです。遠いですけど。料理ギルドはこの町の西にある村にもあるそうです。錬金は、私の師が隣の村に住んでいるので、もしかしたら教えてくれるかもしれません。ただ、どこに行くにしても凶悪なモンスターがいるので、私のような一般人は通れないですけどね」

彼女はため息を吐いた。これは遠回しにボスモンスターを倒してくれって言われてるな。


 一般人が通れないってことは、長い間ボスモンスターが倒されないと、物流が滞ったりするのか? プレイヤー以外にも戦える人はいるだろうし、あっても値段が高くなるくらいか?


「素材が手に入ったら、ぜひうちの店に売ってください。多すぎると買い取れませんが、ギルドよりも高い値段で買い通りますよ」


 ここには冒険に役立つ商品もあるし、常連になってしまうかもな。俺は礼を言って店から出た。


【雑貨屋の悩み1】…clear


 メニューを開いたら、新しい称号が手に入っていた。取得を知らせる機械音声はオフにしていたから気づかなかった。


【妖精の加護】

妖精に加護を与えられた証。

取得条件:妖精を使役すること

ボーナス:INT+1


 ボーナスは少ないけど、塵も積もれば山となると言うし、良く使うINTだから良いな。増えたINTを確認してみよう。


リック

種族:人間ヒューマン Lv.17

HP:20/20

MP:10/40

STR:10(+3)

VIT:5

INT:26

AGI:15

【スキル】

使役 槍術Lv.8 索敵Lv.4 回復魔法Lv.1  強化魔法Lv.4 毒術Lv.7  麻痺術Lv.7 鑑定Lv.3

【装備】

初心者の槍 STR:+3  耐久:∞

残りポイント:24


 称号による上昇は()で表すのではなく、そのまま加算されるみたいだな。ポイントも順調に溜まっているし、スキルも伸びてきている。


 そうだ、忘れないうちに簡易錬金セットと簡易料理セットが買えるって書き込んでおかないと。生産板で良いかな。ギルドもなく、困っている人も多そうだし。


 stringsさんに妖精がいればトレントが楽に倒せるって教えようかな? いや、その前にエリアボスを倒そう。やっぱり、一番乗りになれたら嬉しいからね。



『ボスエリアに入りました。エリアボスとの戦闘が始まります』


「頼んだ! イブキ!」

イブキに魔力吸収を使うように頼み、俺は相手の魔力が切れるまで回避に専念する。魔力で動かしているとは言っても、枝の攻撃は物理攻撃扱いだ。イブキはボスの近くまで行って魔力吸収を始める。


 おかしいな、もう三十秒は経っている。考えられる可能性としては、MPがとても多いか、MP自動回復のようなスキルを持っているか。無限のMPを持っていることはないはず。イブキに無くなるまで吸い続けてもらおう。


 しばらくすると枝の動きにキレがなくなってきた。


「助かった、イブキ! 強化STR」

俺はボストレントに突撃する。



『エリアボスの討伐を確認しました』

辛かった。苦戦はしなかったが、相手はとにかくHPが多かった。もしかしたら回復していたのかもしれない。


 毒術がなかったら、もっと多くの時間がかかっていただろう。それ以外では、戦闘中でもスキルレベルが上昇したのも大きかったと思う。槍術のレベルが十になり、新しいアーツ(クイック)突き(スタッブ)を覚えた。普通に攻撃するよりは威力は高いはず。


 エリアボスを倒したことだし、称号が手に入ったかもしれない。期待して見てみると、二つの称号が増えていた。


【大樹の解放者】

エルダートレントを最初に討伐した証。

取得条件:エルダートレントを最も早く討伐する。

ボーナス:2ポイント


【毒使い】

毒を使って戦う者の証。

取得条件:HP5000以上のモンスターの総HPの8割を毒・猛毒を使って削る。

ボーナス:3ポイント


 あいつ、HPそんなにあったんだな。それにやっぱり槍の攻撃はほとんど通ってなさそうだ。二割以下って……。


 【大樹の解放者】が取得できたのは運が良かったな。狼の方が単純で倒しやすいから、ほとんどの人はそっちに行っているんだろうな。MMOなのに、東の森では人とあまり会わなかったし。



 索敵を発動させながら、ボスエリアの先へ向かう。エリアの先もトレントが居た。索敵をしといて正解だった。今までと同じようにサクサク倒していく。トレントが倒しにくくなっている気がする。トレントのレベルが上がっているのだろうか。


 突然、索敵に反応が出てきた。その反応はこちらに近づいてきている。咄嗟に槍を構える。動いていることから、トレントではないのは確実だ。


 鳥のようなモンスターだった。そいつが俺の肩を掠る。避けきれなかった。速い。HPを確認すると今の一撃で半分近く持って行かれている。直撃だったらやられていた。だが、速くて攻撃が強いなら、相手もVITが低いはず。回復をして、相手の様子を伺う。


「今だ! 速突き!」

鳥が向かってくるよりも速く、突きを繰り出す。ヒット。予想通り、VITが低かったのか強化魔法なしでも一撃で倒せた。ドロップはクイックバードの羽と肉か。あの鳥はクイックバードのようだ。


 俺たちは二種類の魔物と戦いながら、森の先を目指した。



 森を抜けると、湿地が広がっていた。環境が変わると、出てくるモンスターも変わるだろう。


「索敵」

モンスターの気配は水の中だ。動きはないな。人が通るのを待っているのかもしれない。先手必勝!


「強突き!」

水の中のモンスターに先制攻撃を仕掛ける。STRが足りないのか、攻撃は耐えられてしまった。出てきた敵はどう見てもスライムだな。


スライム


 鑑定結果でもスライムだった。だから、攻撃が効きにくかったのか。スライムの体の中に色が違う部分があるのを見つけた。核だろうか。


 スライムは飛びかかってきた。動きはゆっくりだから、余裕を持って避けられる。飛び上がった時に、色が違う部分を攻撃できそうだ。


「速突き」

狙い通りの場所を攻撃できた。すると、スライムの体が弾け飛んだ。スライムの体液が体にかかる。スライムの体は水でできているのか、かかった液体は水のようだった。アシッドスライムとかじゃなくてよかった。


 ドロップを確認しておこう。……ドロップがない。倒し方が悪かったのか、そういう魔物なのか。倒した時に破裂したし、あれでは素材は手に入らなさそうだな。積極的に戦う必要はないな。


 第二エリアのモンスターというだけあって経験値もそこそこ美味しい。もうレベル二十になった。無事に辿り着いたので、村に入ってログアウトしよう。あ、妖精が居れば簡単に倒せるって情報を伝えておこう。

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