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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第二章 サービス開始
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雑貨屋の悩み1

 カランコロン。心地よい音が鳴る。俺は少し込み入ったところにあるこぢんまりとした雑貨屋に来ていた。


 店には、アクセサリー、小物、魔道具のようなものが置かれている。


「いらっしゃいませ! あ、あの時のお兄ちゃん!」

店番をしていた、薬草を渡した女の子が駆け寄ってくる。


「お兄ちゃん、これ、あげる!」

彼女はカウンターの上に置かれていた石を俺に渡した。青みがかった石だ。


「それは水の石って言って、ひんやりするんだよ。森の奥の方に行かないと採れない、貴重なものなんだよ」

「大切なものじゃないのか?」

「大切だけど、お兄ちゃんはママを助けてくれたから良いの」

「……ありがとう。そういえば、君のお母さんが森に行けなくて困ってるって聞いたけど、何が必要かわかる?」

彼女は指を折りながら、名前を挙げていった。


「火の石、水の石、ワイルドウルフの毛皮もいるかな。あと、バースベリーもあったらいいな!」

風の石がセーフティーエリアで手に入ったから、火と水もセーフティーエリアにありそうだな。あとの二つは森で活動していたら自然と集まるかな。


「いつまでにいくつあると良い?」

「石と毛皮は十個ずつくらいかな。ベリーはいっぱい! 期間は……急がなくていいよ!」

期間がないのは困るな。急がなくて良いのは事実だろうけど、遅すぎても意味がなさそうだ。でも、ログイン時間はかなり取れるから、大丈夫かな。


 女の子に別れを告げて店を出る。早速東の森へ向かおう。



「強化STR、強化AGI!」

強化魔法を使ってから、狼を突く。狼の行動パターンはある程度分かっている。出会ってすぐに一撃を入れてすぐに離脱、その後の攻撃はサイドステップで避ける。


(バースト)突き(スタッブ)

レベル五で覚えたアーツを使用する。槍を引いて勢いよく突く。狼はHPが減ると遠吠えで仲間を呼ぼうとする。――させるか。動きが鈍っている狼の首に向かって槍を振り下ろす。


 何度か狼と戦いながら、北西のセーフティエリアについた。


「鑑定」


風の石


 ここのセーフティーエリアじゃなかったな。風の石だから、βテストの時に最初に来たところか。と、いうことはここでしばらく待っていたら妖精が現れるかもしれない。


 瞑想や採取、ステータス確認をして時間を潰していると淡い緑色の光が俺の前に飛んできた。妖精は何かを待っているかのように俺の前にいる。試しに掴もうと手を伸ばすと手がするっと通り抜け、脱力感があった。ステータスを確認する。


リック

種族:人間ヒューマン Lv.11

HP:20/20

MP:1/40

STR:10(+3)

VIT:5

INT:25

AGI:10

【スキル】

使役 槍術Lv.5 回復魔法Lv.1  強化魔法Lv.3 毒術Lv.5  麻痺術Lv.5 鑑定Lv.3

【装備】

初心者の槍 STR:+3  耐久:∞

残りポイント:15


「MPを吸い取れるスキルを持ってるのか。このMPだと使役か鑑定しか使えないな……。また瞑想しないと」

妖精が一瞬強く光った。俺が何かのトリガーを引いたのだろうか。妖精の距離が縮まった気がする。


「鑑定。……使えないな」

ないとは思いつつ、提示と唱えた。


〈名称未設定〉

種族:風の妖精 Lv.1

HP:-/-

MP:30/30

STR:1

VIT:1

INT:15

AGI:10(+5)

特性:魔力生命体 飛行

【スキル】

魔力吸収 風の加護


【魔力生命体】

物理攻撃によるダメージを受けない。MPが0になると死亡する。

【魔力吸収】

対象のMPを吸収する。触れていると効率が良い。

【風の加護】

仲間のAGIを5上げる。重ねがけあり。


 あれで反応するのか!? マジかよ! 反応しちゃったものは仕方ない。レベルを二十まで上げればパートナーの枠がもう一つ増えるし。


「名前は息吹(イブキ)ね」

名付けがテキトーになったのは許してほしい。俺たちは瞑想で減った分のMPを回復してから次のセーフティーエリアに向けて出発した。



 次の目的地は南西のセーフティーポイントだ。火か水の可能性は三分の二。次こそはいけるはず。


 イブキが仲間になったと言っても、AGIが上がったことで、戦闘の際に強化魔法を使わなくても戦いやすくはなっただけだ。イブキも流石にセーフティーエリア外で魔力吸収を使わなかった。良かった。


「鑑定」


火の石


 当たりだ。他の素材は風の石があったセーフティーポイントと同じようだ。瞑想でMPを回復して、火の石を取ったら次のセーフティーポイントを目指そう。


 MPが回復するどころか減り続けている件。イブキのせいか。MPが減ってないのにどんどん吸収しやがって……。機嫌が悪いのかと思ってバースベリーを差し出してみたが食べない。魔力生命体だからユキたちとは違うのだろうか。それとも俺が嫌われている?


「イブキ。これからこのエリアの外に出るんだ。MPを吸い取るのをやめてくれないか」

なんとなくしょんぼりした気がする。とはいえ、聞き分けてくれたようでMPを吸われることはなくなった。


 イブキがMPをガンガン吸い取るならMP自動回復を取ったらかなりレベルを上げられそうだ。必要ポイントは五十だから取れそうにないが。



 次のセーフティーエリアはここからではなく、町から向かうことにした。ゴブリンに挑むにはまだ不安だったからだ。


 南東のセーフティーエリアに行くにはトレントがいる森を抜ける必要がある。そのため索敵を取得する。十ポイントのスキルだから、ギルドでの取得も考えたが、溜まった素材を売るとしても千オルに届きそうにないためやめた。



索敵サーチ

木が増えてきた所で索敵を発動する。ゆっくり歩きながらできるだけ敵の少ない方へ歩いていく。目の前の木に反応があった。


「強突き」

槍技のアーツを使用する。やはり、突き技はダメージが低そうだ。槍技は体感突きの方が補正が入りやすいが、トレントを斬るようなイメージで戦った方が良さそうだ。


 トレントは攻撃を与えられたことで俺の存在に気づき、攻撃を始める。木の枝を鞭のようにしならせて攻撃してくる。β版と似たような感じだな。トレントの攻撃は適当に振っているだけのように感じるが、実際は規則性のようなものがある。それに気づけば後は縄跳びの要領で避けるだけだ。慣れるまでは何度も攻撃に当たってしまったが。


 攻撃が当たらない。と言うよりは、当たる距離まで近づけない。困ったな、イブキは魔力を持っていない相手には無力だ。逆に攻撃されることもないようだが。


「あれ、イブキ?」

気がつくとイブキは肩の上からトレントの側まで移動していた。イブキがトレントにペタッと触れるとトレントが枝を操る速度がゆっくりになり、やがて止まった。トレントはMPを使って枝を操っていたのか。……よく考えると、木の枝が動くとかおかしいもんな。確かに魔法だ。


 イブキにトレントを無効化してもらい、俺が倒す。イブキとの連携でサクサクと進むことができた。


 南東のセーブポイントには土の石という微妙な名前のアイテムが、北東のセーブポイントには水の石があった。早速届けに行こうと思ったが、トレントがサクサク倒せるので、夢中になってしまい、町へ帰る頃には辺りが暗くなってしまっていた。


 依頼主は小さな女の子だからな。夜に訪ねるのは良くないだろう。


 草原でしばらくナイトバットと戦った後、ログアウトした。

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