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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第二章 サービス開始
14/94

ゲームスタート

七時投稿に変更しました。

 今日は前期中間テストの返却日だった。母にこのテストで赤点を一教科でもとったら【BPO】はやらせない、と言われてしまったので、返ってきた結果にホッとしている。これでVR世界にダイブができる!


 数日前に届いていた【BPO】のパッケージを開け、ヘッドギアのカードスロットにセットする。βテストと同じようにサービス開始前にステータスの事前登録ができる。β版との変更点も確認し終わっている。さっさと始めよう。



『――お久しぶりです。キャラクターネーム、アバターの変更は行いますか?』

Noをタップする。


『はい。ではリック様、ようこそお越しくださいました。ステータスについての説明は省かせていただきます。中には効果や必要ポイントが変更になっているスキルもあります。ご確認ください』


リック

種族:人間ヒューマン Lv.1

HP:20/20

MP:30/30(10P)

STR:10(5P)

VIT:5

INT:25(20P)

AGI:10(5P)

【スキル】

使役 槍術(10P) 回復魔法(10P)  強化魔法(10P) 毒術(5P)  麻痺術(5P) 鑑定(20P)


【槍術】

槍を扱う時にSTRとAGIに補正がかかる。レベル上昇でアーツを覚える。

【毒術】

自分の攻撃が当たった相手を確率で毒状態にする。レベルが高いほど成功率が上がる。


 サポート重視のスキルを取ると決めていたので、強化魔法、回復魔法は確定していた。付与術は便利だったが、序盤の必須スキルではないと感じたから取得しなかった。妨害魔法も後で良いな。しばらくはモンスターを使役する予定はないし。


 後衛寄りの中衛を目指そうと思っているため、剣よりも遠くに攻撃できる槍術を取った。麻痺術、毒術は攻撃した相手を確率でその状態異常にするスキルだ。STRを伸ばすつもりはないので、貴重なダメージソースになってくれるはずだ。


 残ったポイントはステータスへの割り振りだ。最初の方は魔法を使わずとも戦えると思ったのでMPに割り振るポイントは少なめにする。逃げる時にも役立つAGIはホーンラビットのAGIが十弱だったので、それよりも早くした。近接戦闘がしやすくなるSTRにも五を振る。器用貧乏という言葉が頭によぎるが、特化しすぎてなにもできないよりは良い。


 鑑定の取得に必要なポイントが減ったのは嬉しい誤算だった。そのおかげでINTに多くのポイントを振ることができた。

『ステータスが決定しました。これで事前設定を終了します』



 サービス開始の日。もちろん深夜待機である。


『行ってらっしゃいませ、リック様』

機械音声が俺を【BPO】の世界に誘う。


 ――これから俺の冒険が始まる



 約二ヶ月ぶりの【BPO】。βテストの時と同じように、南門の前に立っていた。違うのは、隣にパートナーがいないことだけ。


 説明をするかどうか問われたので断る。メニューからクエストを確認する。流れは大体同じみたいだ。


【チュートリアル ログインしよう】…clear

【チュートリアル 町に入ろう】…clear

【チュートリアル ギルドに登録しよう】…clear


 MP切れを起こして、瞑想を覚えるのも忘れない。とりあえず、チュートリアルクエストを消化しよう。次は【チュートリアル4 依頼を完遂しよう】だ。薬草の採取依頼を受けておく。


 町の外に出ると、草原はプレイヤーで溢れかえっていた。戦ってレベルを上げている者、モンスターをパートナーにしようとする者、黙々と採取を続ける者……。β版とは母数が違うため、深夜からはじめ、町の外に出るプレイヤーも多いのだろう。しかし困ったな。モンスターと戦えないかもしれない。


 薬草とモンスターを探しながら歩いていると、地面を這いずる影が見えた。ホーンラビット。そいつの突進に合わせて槍を突き出す。クリティカルヒットの判定が出たのか、一撃で仕留めることができた。槍でならある程度一人で戦えそうだ。


 薬草を多めに集め、町に帰る。戦いながら集めたので、レベルも上げることができた。



 門のそばで幼稚園生くらいの女の子が俯いて泣いていた。ヘッドギアは幼い子は使えないようになっているためNPCだろう。


「どうしたの?」

膝をついて目線を合わせる。女の子は俺に気づくと顔を袖で拭いてから話した。


「ママが怪我をしちゃって、薬草をとりに行きたいの。でもね、小さい子は外に出ちゃダメなんだって」

なるほど、これがクエストか。何枚必要か聞くと、女の子は指を三本立てた。三枚なら、今すぐに出せるな。


「お兄ちゃん、良いの? ……ありがとう」

女の子は薬草を大事そうに持って、走り去った。クエストの報酬はないな。これはクエストじゃないのか? 報酬はなくてもあの子が喜んでくれてよかった。



 依頼の達成報告をして、今終えられそうなチュートリアルクエストは終わりだ。クエストは狙って受けられる物じゃなさそうだし、チュートリアルのために死に戻るのも嫌だ。


 依頼を受けてみようと思い、見て回っていると気になるものを見つけた。


「ワイルドウルフの毛皮の納品?」

解体スキルを持っているとドロップする種類と量が増えると聞いた。そのスキルを持っている人専用の依頼だろう。スキルが必要なためか、報酬がそこそこ多い。


 解体スキルを使うにはそれを持っている人がとどめを刺す必要がある。チュートリアルで貰ったポイントとレベルアップで貰ったポイントがあるから取ることはできる。どうしようか。


「リックさん、その依頼を受けるんですか?」

悩んでいるとギルドの職員に声をかけられた。素直に頷く。


「でしたら、ギルドで行っている講習会に参加するのはいかがでしょう」

「講習会?」

「はい。当ギルドは講習会で冒険に役立つスキルを伝授しております。ギルドに登録している方は二割引の八百オルで受けられますよ」

「五百ちょっとしかない……」

「初心者の方には難しいかもしれませんね。でも受けといて損はないですよ。……後払いというのはどうでしょう。ワイルドウルフの毛皮が十枚あれば、三百オルになりますよ」

うっ。借金みたいだ。でもスキルも欲しいし……。


「……お願いします」

「はい。解体の講習会は今日午後六時から行っております」

解体スキルが手に入ったらすぐに毛皮を狩りに行けるようにレベル上げをしよう。今からレベル上げをしても良いが、今からやると昼間に遊べなくなってしまう。俺はログアウトをすると目覚まし時計をセットしてから仮眠した。

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