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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第一章 クローズドβ
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βテストの終わり

 エリアボスは倒したが、その先へは行けなかった。おそらく、正式版から行けるようになるのだろう。その後、俺たちは何事もなく町に帰れた。


 町に帰ってすぐにログアウトした。強敵との戦闘でかなり疲れていたからだ。



 βテストの残り二日は町の人と話したり、まだ行っていなかった東の森へ行ったりした。小夜が索敵スキルを手に入れたので、戦いは比較的楽だった。


 東の森のエリアボスは大きな木のモンスターで、防御が高いタイプと聞いたので行っていない。戦闘ガチ勢ではないからね。俺はパートナー達と触れ合っているだけで幸せだ。



『お疲れ様でした。これから、βテストに関するアンケートを行います。所要時間は五分から十分です』

選択肢が表示されたのでYesを選択する。スキルの使い心地やシステムが快適かどうかなどを聞かれた。


『最後に、正式版に対する希望、要望、改善点などはありますか?』

「スキル選択をやり直す機能とスクリーンショット機能が欲しいです。ゲームバランス的に難しいとは思いますが、β版のモンスターと正式版でも冒険したいです。あと、料理スキルのメリットが全く説明されていないので、取る人がほとんどいないと思います」

『ありがとうございました。βテスターの皆様には後日、Brave and Partners Onlineのパッケージ版を配送いたします。また会う日を楽しみにしています』



「ん。お兄ちゃん、今日は戻ってくるの早いね」

「ああ。今日はアンケートに答えただけだからな」

「ふーん。楽しかった?」

「最高だったぜ」

俺は凛に世界の美しさ、リアルさ、そしてパートナーの可愛さを力説した。特にユキの話には力が入った。


「それで、お兄ちゃん! スクショは! ユキちゃんのスクショはないの!?」

興奮した凛に体をゆすられる。


 妹もモフモフが大好きだ。俺とは違って戦いには興味がないので、【BPO】から戦闘要素を抜いたようなゲーム、【もう1つの日常】のユーザーだ。【BPO】と同じくPartners社が作ったゲームで、本物のようなペットと暮らすほのぼのゲームだと聞いている。が、課金要素が多く、学生には辛いんだとか。


 スクショの機能がないと伝えると、凛はがっくりと肩を落とした。


「スクショがないなんて……」

「俺だって、可愛さを伝えたかったさ」

「は? 目の前で見てきたよね? 自慢か?」

妹が恐ろしい。人を豹変させるモフモフの業は深い。


「まあ、いいよ。私もそのゲームをプレイする。そして私だけのモフモフに出会う」

「それなら、βテスター特典で貰えるソフトあげるよ。俺、やるつもりないし」

「は? なに? 今更良いお兄ちゃんのフリ? ゲーム好きのお兄ちゃんが自分のソフトくれるとかキモ」

「キモいは酷くないか? ……変だとは思うんだけどさ、モンスターたち、生きてるんだよ。正式版をプレイしちゃったら、ユキと小夜を過去のものにしちゃう気がして。裏切るみたいだなって」

凛はその感覚が分からないようで、微妙な顔をしている。


「逃げてるだけだよ、それは。本当に会いたいなら、好きなら、可能性は低くてもその世界で待っていてあげるものじゃないの?」

はっとした。もう会えないと決まったわけではない、か。そうだな。ほんの少しでも可能性があるなら……。


「うん。やっぱ【BPO】やる。ごめんな、ありがとう」

「どういたしまして。ところで感謝してくれるなら、ソフト買ってくれない? 半額出してくれるだけで良いからさ?」

ちょっと感動したのに……。



 後日、微妙な気持ちになりつつも、プリペイドカードを送った。夏に凛の誕生日があるので、誕生日プレゼントということにしておいた。凛は困惑しながらも感謝して受け取った。

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