再戦
短いので二話投稿です。
俺たちは再戦のための準備をしていた。
集めた素材をギルドで買い取ってもらい、その金で杖を買った。杖はINTを上げてくれる武器だ。STRには期待していない。INTに全振りだ。
手に入れたポイントはMPに振って魔法の使用回数を増やしておいた。HPもMPも満タン。準備はできている。
「リベンジマッチだ。強くなったところを見せつけてやろうぜ。強化STR」
ユキとサヨが頷く。二匹の様子を確認してボスエリアに足を踏み入れる。
『ボスエリアに入りました。エリアボスとの戦闘が始まります』
狼は木の影から出てくる。その出てきたところをユキが最大火力で攻撃する。
「効いたよな、狼野郎! サヨ、強化STR。爪に気をつけて攻撃してくれ」
ユキの攻撃で怯んだ隙に拘束する。ボスモンスターなだけあって長い時間止めることはできないが、狼が戦いづらくなるのは間違いない。
前回戦った時のAGIでも攻撃は避けることができていたため、強化をSTRだけに絞ってMPを節約する。――十秒経過。ユキが二度目の強攻撃を繰り出す。狼は苦しそうな声をあげ、ユキを睨みつける。効いている。だが、次は躱されてしまいそうだ。
「ユキ、強攻撃のCTが終わったら突進と強攻撃で攻撃。サヨ、ユキがスキルで攻撃できるよう、気を引いてくれ。強化AGI、付与麻痺術」
付与麻痺術の効果は現時点では四秒。麻痺は多少は効くが、すぐに回復されてしまう。強攻撃のCTが残り四秒となったタイミングで発動する。
狼は痺れながらも突進後のユキを引き裂こうとする。
「させるか! 拘束」
すかさず拘束で動きを止める。ユキの強攻撃の突進は大ダメージだが、リスクは大きい。少しずつ削るのが良さそうだ。
強化魔法の光が弱まってきたところに掛け直す。MPを増やしておいてよかった。増やしていなければ、倒す前に尽きてしまっていたかもしれない。
――狼が吠えた。
「サヨ、子分を狙ってくれ! ユキはサヨが倒し終わるまで耐えてくれ! 強化VIT」
俺の方へ来た狼は杖を使って追い払う。素手の方が高い威力ではあるが、そもそものSTRは五なので大差はない。やっぱり、武器があった方が戦いやすいな。格闘術は俺と相性がいいスキルとは言えないな。
サヨは二回の攻撃で狼を倒している。いいペースだ。背後から襲い掛かろうとする狼を拘束し、サポートするだけで子分は倒せそうだ。
子分を倒し終えたサヨがユキに合流する。二匹の連携はかなり良くなってきていた。被弾もほとんどない。対して狼は全身傷だらけだった。狼は最後の力を振り絞って吠える。
目が赤く光った。暴走状態ということだろうか。攻撃のキレが増している。
「最後だ! 頑張ってくれ! 強化――」
強化魔法はあと一歩だけ遅かった。狼はユキを丸呑みにした。
焦りが視野を狭くする。俺は狼の攻撃に気づくのが一歩遅れた。目の前に迫ってきた鋭い爪は俺の前に出てきたユキを切り裂いた。その隙に俺は狼を拘束する。ユキは丸呑みにされたはずでは……? そうか、庇うを使って口の中から出てきたんだ。
「回復。ナイスだ、ユキ! サヨ、とどめを!」
サヨが急降下して体重を乗せた攻撃を繰り出す。狼は地面に倒れ、動かなくなった。
『エリアボスの討伐を確認しました』
「やった! ありがとう、ユキ。サヨ」
ゲーム初日、あんなにも大きく見えたエリアボスを、誰も欠けることなく討伐した。成長を実感する。
「少しはかっこいいところ見せられたかな?」
二匹は俺の言葉に答えるように頷いた。
リック
種族:人間 Lv.23
HP:20/20
MP:4/64
STR:5
VIT:5
INT:39(+2)
AGI:10
【スキル】
使役 瞑想 回復魔法Lv.5 強化魔法Lv.10 付与魔法Lv.4 妨害魔法Lv.3 麻痺術Lv.2 鑑定Lv.5 格闘術Lv.3
【装備】
初心者の杖 INT +2 耐久:11
残りポイント:2
ユキ
種族:ポーンラビット Lv.4
HP:70/70
MP:0/0
STR:16
VIT:21(+1)
INT:2
AGI:20
特性:跳躍
【スキル】
突進 庇う 強攻撃
【装備】
青いリボン VIT:+1 耐久:7
小夜
種族:ココウモリ Lv.2
HP:32/40
MP:0/0
STR:21
VIT:8
INT:6
AGI:24
特性:夜行性 飛行
【スキル】
精密動作 索敵




