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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第一章 クローズドβ
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プロローグ

第一章は午前九時に毎日投稿します。

 城壁都市の外に一面に広がる緑が、様々な動物をその身体に隠しながら、静かに揺れている。葉についた露は暖かい日に照らされてキラリと輝いた。


 城壁の側では少女が角が生えた兎――モンスターと戦っている。その目は少女を獲物として見ており、赤く光っていた。


拘束(バインド)

少女がモンスターに手を向けて呪文を唱える。魔法陣から現れた魔法の蔦がモンスターを捕まえる。


 少女は深呼吸するように息を吐くと、祈るように胸に手を当てた。覚悟を決めて言葉を紡ぐ。


使役(テイム)

呪文を唱えるとモンスターの目が緑色へと変わり、拘束が解けた。モンスターは少女に駆け寄り抱きついた。少女はくるくるとその場で回り喜びを表した。



 一人の男が草原を駆ける。フードを深く被ったその男はモンスターの突撃を最小限の動きで躱し、鬱蒼とした森の中へ入っていった。


 薄暗い森の中、男は足をとめた。目の前に三匹の鬼――人型のモンスターが立っていたからだ。それらは哀れにもモンスターに囲まれた男を、ニヤニヤと嘲笑っているようだった。


 男が剣を抜くと同時に血が舞う。モンスターのものだった。首を斬られたその個体は煙となって消える。


 仲間を殺され、怒り狂った二匹は一斉に男へ襲いかかる。が、木と石を組み合わせただけのお粗末な武器を持ったモンスターと剣を持った男のどちらが強いかは言うまでもない。一匹は武器ごと斬られ、もう一匹は強烈な蹴りを食らい、煙となって消えた。



 森の最深部。その開けた空間に男は立っていた。男の背丈の十倍はある大きな木とハスの花が咲く美しい池があった。池は夕日に照らされ、妖しく輝いている。


 ひらり。大樹の葉が足元に落ちた。それを合図とするように森が揺れ、木の影から銀色に輝く狼が飛び出し、唸り声をあげて男に襲いかかる。それを見て男は懐から緑色に輝く石を取り出す。


召喚(サモン)

男が握りしめた石から兎型のモンスターが飛び出した。


 そのモンスターの突進に狼は体勢を崩された。その隙を男は逃さない。狼はモンスターと男の連携に翻弄される。


 攻撃が当たらないことへの苛立ちからか、狼が雄叫びをあげた。歯を剥き出しにして威嚇する狼の様子を、一人と一匹はじっと何かを待っているかのように見ている。


 遥か上空から鳥のようなモンスターが落ちた。その隕石のような攻撃は狼に大きなダメージを与えた。


(バースト)斬り(スラッシュ)

男は作り出したチャンスをモノにした。


 狼はゆっくりと地へ倒れ、煙となって消える。男は功労者である二匹のモンスターに好物を与え、労った。



 この世界は美しいだけではない。危険なことと隣り合わせ。町の外には恐ろしいモンスターが居て、油断は命取りである。それでも、彼らがこの世界に行くのは――パートナーがいるからだ。パートナーと共に世界を旅するゲーム、それがこの【Brave and Partners Online】、通称【BPO】だ。



 このゲームの発表に日本は沸いた。これまでのものとは比較にならないグラフィック。()N()P()C()に使われている高性能な学習型AI。そして三倍速に加速する世界。開発会社会社である、株式会社Partnersに大きな期待がかかる中、クローズβが始まろうとしている。

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