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週末だけ冒険者のおっさん達  作者: 小雅 たかみ
第四章
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第96話 道中

「……と、まぁこんな感じだな。」


 前回のノリスと同様、次の目的地まで荷馬車でのんびり移動しながら、改めてイドは自分の過去を話した。



「イド!あの時にも言ったが、俺達のせいにし過ぎじゃね?」


 イドが話す内容に不満を持って、ノリスは文句をブー垂れた。


「……なら、僕らもノリスのせいだね。」


「アハハッ。そう考えれば私達もそうかもしれませんね。」


 しかし、何故かエストとサウルがイドに追従した。


「ちょっ!?エスト?サウルまでもか!

ていうか、厳密に言えば俺じゃねぇだろ!この前言ったが、王『生ゴミ』のせいだ。」


「フッ。『四神獣』の崩壊は全て『玄武』から始まった。だが、結成は俺らの『青龍』からだからな。差程恨んでなどいないさ。」


「当たり前だ!

セガル達が勝手に俺をアテにして崩壊しただけじゃねぇか。それを好き勝手に俺のせいだと恨まれたら、たまったものじゃねぇ!」


「そうだな。ノリス達じゃなくとも、いつか別の『玄武』が出てきただろう。そうなれば一緒だったかもしれん。

エストとサウルも俺らの流れだったとはいえ、後悔しておらんのだろう?」


「こうしてエストと一緒になれるなんて思っていませんでしたから、逆に私は良かったかもしれませんね。」


「……僕もそう。」


 意味ありげにイドは二人へ振ると、サウルとエストはやはり意味ありげに同意した。


 『四神獣』は、【英雄】になるまではバラバラなのだが、解散はほぼ同時期であった。

 イドの言う通り、『玄武』が始まりで、直ぐに『青龍』が、そして次に『白虎』が、最後に『朱雀』が……トントン拍子で解散に至った。

 『玄武』と『青龍』の理由はそれぞれが話した通りである。勿論、『白虎』と『朱雀』にもある種の問題を抱えていた事もあったが、そうして出来た解散の流れに『白虎』と『朱雀』は巻き込まれていたのだった。


「そういえば、二人になってから、すぐにエストのところへ向かったのですか?」


「……それにしては少し時間がかかってたような。僕らを探すの大変だった?」


 サウルとエストは、イドとノリスが『週末のひととき』を結成してから、それぞれ自分のところへ合流するまでが気になった。


「ああ。それか……お前らと合流する前に俺らは既にイドとノリスだっただろ?だから登録とEランクまでのランク上げを適当な街でしてから、向かったのでな。」


「アーロンとブルースのまま移動していては、色々面倒だからな。割とすぐに再登録したんだ。」


「……確かにそうかも。」


「それでは前に言っていた、ノリスが大丈夫だった受付嬢もその時に?」


 サウルはある事を思い出して、イド達に聞く。

 以前、ゴブリンのダンジョンでアレクが居た組合で『豪雨』達と話し合った、ノリスが唯一生ゴミと認識しなかった受付嬢の話だ。エストやサウルが知らなかったので、イド達二人の時期に出会っているのは確定していた為、その頃だろうとサウルは予想し、イドも肯定するように頷いた。


「その通り。再登録の際だな、サウル。

フッ。懐かしいな。アレは本当に酷かった。」


「そんなに酷かったか?普通だっただろ!」


「アレのどこが普通なものか!

俺もそこまで欲がある方では無いがな。確か【ジェシカ】と言う、まさに組合の受付嬢らしく、俺が見ても美人で出来る女だったな。だから、再登録の時も一目で俺の正体がバレたし、俺らの会話の内容でノリスのことも気づいたようだった。まぁ、賢い女かと問われると微妙だな。その後が大惨事だったからな。

やたらとノリスへ手取り足取り、ほぼゼロ距離で再登録の手順を説明しだしたのだ。直後、盛大にノリスのゲロを頭から被って、取り乱すわ、泣き出すわで、更にその後の説得やら事情説明が本当に大変だった。」


「アハハッ。その光景が目に浮かびますね。」


「……でも、そのお陰で再登録も出来たし、Eランクまでは上げれたんだね。」


「ま、そうだな。翌日からは普通になったから、Eランクまでは毎日通うことも出来たんだ。」


「だから、お前が普通って言うな!まるで鋼鉄の仮面を被った女を普通と言える方がどうかしてるぞ。

彼女は最初の数日間、ノリスへの対応と他の冒険者への対応を都度変えていたらしいが、次第にずっとノリスの時で固定されるようになったのだ。俺らがEランクに上がる頃には『氷のジェシカ』と他の冒険者達からも呼ばれていた程だな。可哀想に……アレじゃ組合内で出会いもへったくれもないだろうに。」


「……本当に可哀想。」


「よくソレで責任問題に発展しませんでしたね?」


「ああ。なったぞ?だが、結婚という形では責任とれんだろ?相手はノリスだぞ。

だから、Eランクに上がって俺らがその街から出て行く時に、彼女が一生働かなくても良い分の金を渡したのだ。」


「痛い出費だったが、俺達の素性を知っても黙って偽名で再登録してくれたし、Eランクまでなるべく早く上げれるように手配もしてくれたからな。かなり助かったんだ。」


「……それって……早く出て行って欲しかったんじゃ?」


「その通りだな。だが、残念ながら彼女の期待に応えられなかったのだ。

俺らが出て行く時、「泣いて喜びたいのですが、どうやって泣いたら良いのか分からなくなりました。」と言われたな。」


「アハハッ。すでに遅かったのですね。」


「まぁかなりの額を渡したから今頃は組合も辞めて、悠々暮らしているだろう。なので、感情も取り戻しているのではないかとは思っているがな。」


「……僕も心から願うよ。でも、何処かで鉢合わせたらヤバそう。」


「それは確かにあり得そうですね。」


「待て待て。俺も嫌だからな?」


「だから、お前が言うな!」




すみません。のんびりしすぎて、まったく書けてません。

なので、まったりと宜しくお願いします。

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