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週末だけ冒険者のおっさん達  作者: 小雅 たかみ
第一章
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第9話 連携強化

「おぉ!綺麗に決まったな。」


「エスト!凄い!」


 イドとエストの連携に、ノリスとサウルは素直に感心した。


「うむ。多少不格好だが、近接の連携である【スイッチ】だな。」


「何が「うむ。」だ、イド?ほぼほぼエストの手柄だろ!

そういえば、そうか。エストの昔のパーティは近接が2人居たな。」


「……うん。僕らも今は皆、剣士。連携するなら絶対に必要。」


「でも、エスト。どうしてゴブの腕をわざわざ攻撃したんだい?

君なら初撃で真っ二つに出来たじゃないかい?」


「サウル……出来るけど……連携じゃなくなる。

スイッチは……攻撃で繋げる。体だと倒しちゃうから、腕にした。」


「なるほどな。ここでもゴブの弱さがネックになるのか。

もうこの際だから、難易度上げて他の街へ行かないか?」


「う~ん。どうしようか?」


 イドの提案にノリスが悩んでいると、珍しくエストが方針を主張してきた。


「……まだココで良い。

さっきのはイドと僕だから簡単だった。……僕ら、少しだけ似てるから。

でも、他の組み合わせだと……難しいはず。」


「あぁ。確かに!

よくよく考えてみたら、イドとは長い付き合いだが、こういう連携はした事が無いな。」


「そうだな。ノリスと一緒だと、先程のように出来る気が全くしないな。」


「なんだと!?」


「あぁ?その通りだろ!」


「ハハッ。まぁまぁ、二人共落ち着いてください。

そっちの連携はバッチリなんですから、これから特訓ですね。

私もエストと連携は取りづらいのかな?」


「……僕が合わせれば大丈夫。でもサウルからも合わせられると僕も嬉しい。」


「そうだね。エスト。頑張ろうか。」


「……うん!」




 それから、ノリス達は二人一組になって連携しながらゴブリンを倒す練習をした。


 当たり前の事なのだが、中々難しかった。

 今までの彼らは趣味というか、遊びに近かった。相手はゴブリンである。彼らにとっては例え単独だろうが、複数のゴブリンに囲まれたとしても楽に対処出来るのだから、今までは分担こそ決めていたが、それぞれが自由に好き勝手に蹂躙していた。


 更には連携を困難にしていたもうひとつの理由もあった。


「クソッ。また一撃で倒してしまった……なぁ。盾持っていいか?」


「阿呆か?それでは何の意味も無いだろ?俺だってちゃんと剣を使っているぞ。」


「イドはまだマシだろ?」


「いや、そうでも無いな。投げ捨てたい衝動がキツい。」


「あぁ。お前はそうなるのか。

というか、俺が打った剣を捨てたいなんて言うなよ……。」


「すまんな。でも、これはこれで新鮮だな。」


「まぁそうだな。こうして上手くいかないのも楽しいものだ。」


「そうだな。どの道、そんな簡単に出来るものでもないだろ?なまじ今までの癖があるのだからな。」


「それもそうだな。時間はあるし、やれる事があるだけ、楽しく続けられるものか。」



 更にはサウルとエストも……。


「エスト。受けて……」


「……ダメ。さっきノリス達も言ってた。」


「うぅ。エストは厳しいね。」


「……大丈夫。ずっと一緒に頑張る。」


「そうだね。じゃあエスト先生、宜しくお願いしますね。」


「……うん!まかせて。」


 結局、その週末ではロクな連携は取れずに終わりを迎えた。

 しかし、終わって恒例の酒場で過ごす時間はいつもよりも会話が弾み、会話の内容もなんだか冒険者パーティらしくなっていた。


 次の日からまたいつもの仕事。そして、週末になればダンジョンに潜って連携の練習。


 イドとエストは過去のスタイル的に頑張ればどうにか形にはなったが、ノリスとサウルは正反対だったので、本当に少しずつしか出来るようにならなかった。

 勿論、ダンジョンへ潜る回数を増やせば上達も早かっただろう。しかし、彼らはいつも通り平日は普通に働き、週末にしかダンジョンへ潜らなかった。


 先週覚えた事を、今週になって忘れてしまう。そんな事もあるあるだったが、イドやエストでさえも笑って許していた。寧ろ、いじって遊んですらいた。


 ノリスとイド、サウルとエスト。四人居ればこの組み合わせだけでは無い。他のメンバーとも連携しなければならないし、何も二人でする必要も無い。最終的には四人全員で連携して敵を倒すのが遠い目標でもあった。


 楽しさを求めるのも、何かしら目指すものがあった方が良い。だけど、あくまで楽しむのが絶対。


 ノリス達は、ひたすら同じ日々を過ごした。

 再び冒険証の期限が切れて、アレクに更新してもらっても、未だに連携は覚束なかった。



 そんなある平日のお昼過ぎ。


 小さな地震の後、ダンジョンが咆哮した。

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