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週末だけ冒険者のおっさん達  作者: 小雅 たかみ
第三章
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第72話 特訓後Ⅱ

 ノリス達がやった特訓は、ほぼ練習に付き合ってあげただけだった。


 クロード達の中で、何かを教わったと言うならばエマだけだ。それすらもある程度普及している一冊の本を元にしているので、サウルでなくても一人で出来る。


 一番大変だと思われたクロードでさえ、何をどうやれば良いのか最初にノリスは教えただけであり、具体的な盾の使い方は全く教えていない。クロードは自分で考え、行動し、身につけてきた。


 ケイトとメリルに至っては、本当に何も教えていない。ただ模擬戦をしていただけ。



 そうして、自分達一人一人が色々考え、仲間を想い、言葉を交わし、成長した。



 五人の集団だった頃と比べれば、今のクロード達四人は、冒険者パーティとして立派になっている。強いのも当たり前だった。


「なるほどな。

確かに、俺は教育係として色んな若いヤツらを見てきたが、パーティで纏まってるヤツらが一番成長が早かったな。」


 ノリス達の説明を聞いて、ジャンは落ち着いて過去を振り返り納得した。


「……クロード達は元々土台があった。だから僕らじゃなくても良かった。」


 クロード達はハーレムパーティ。男女の仲で纏まっていた。その中心は当然クロードだ。

 そのクロードが先頭に立って、戦い方の体制を変えた。目指す道が見えず、クロード達は当初混乱してしまっていたが、きっかけさえあれば、一気に成長するだろうとノリス達は思っていた。


「それに、クロード君達は素直で良い子達でしたからね。

貴方達だって、【クロ坊】とまで慣れ親しんで呼んでいるなら、分かりますよね。

純粋に彼らが自身でその力を開花させたのですよ。」


「そういう事ですか。いえ、そういう事にしておきましょう。

……本当は、あのクロード君達を育てあげた貴方達を勧誘したかったのですがね。」


 代表は苦笑しながらも本音をさらけ出した。


「フッ。それでココへ来たのか。ようやく納得した。

だが、サウルの言う通り、アイツらはアイツらの力でここまで来た。他の者だったら俺らでも無理だったかもしれん。」


「だな。それにクロード達もまだまだだ。

一応、オーク三体ぐらいまでなら、ギリギリでなんとかなるだろうが、集団や連戦に脆い。

更に対人では奇策に弱いだろう。クロード達の構成そのものが奇策なんで、王道には強いがな。」


「グハハッ。それを俺らで鍛えさせる腹づもりか?」


「……『肉屋』なら可能でしょ?」


「貴方達なら色んな冒険者が居ますからね。」


「後は経験だけだ。アイツらも課題は理解している。まだまだこれからだよ。まだ一人足りてないみたいだしな。」


「そこも聞いておきたかったのです。

我々の中から一人入れさせてみようかとの案も出ました。彼らは猛反対しましたが、やはり火力不足はいなめません。あの戦いを見れば尚更そう思う者が居ても仕方がありませんでした。」


「それも分かるが、クロード達の意志を尊重した方が良いだろうな。

確かにアンジェが居ないので、バランスは悪い。合流したところで、良いとも言えんがな。

……だが、それで良いのだ。」


 イドの言い分には代表もジャンも渋い顔を浮かべる。もどかしい気持ちが過剰に顔に出ていた。

 そんな二人を見て、サウルとエストは安心させるように笑う。


「アハハッ。『肉屋』さんには分かりませんか?いえ、『肉屋』さんだからこそ、分からないかもしれませんね。」


「……クフッ。【英雄】達は意外とバランス悪いよ。」


「っ!?」


「そ、そうなのか?」


「俺らも長く生きてきたから、色々見てきたのだ。

構成が歪なパーティは意外と上にゴロゴロ居るぞ?寧ろ、普通に考えて一般的と言われる構成の方が少ないな。

恐らく、超えてきた壁の差だろうな。

例えば遠距離攻撃を持たないパーティは幾度となく壁にぶち当たって、それを色んな方法で跳ね除けてきた。だから逆境にも当然強くなる。

魔物との戦いは生死を賭けるから、それが活きてくるのだろう。」


「ま、クロード達がそうなるのかは分からんがな。

弱点を知っていれば克服しようとする……人であれば当然だな。」


「なるほど。確かに考えてみれば、そんな気がしますね。分かりました。クロード君達の教育は我々が引き継ぎます。クロード君達の想いを尊重してですね。」


「……うん。ありがとう。

でも、もっと傲慢でも良いんだよ?」


「街一番の冒険者組織がこんな風に低姿勢だと舐められませんか?」


「グハハッ。そういうのには俺らが居るぞ?」


「本当によく出来た組織だな。知れば知る程、適いそうにない。」


「フフッ。それにこうして良好な関係を築けば、それ以上のものが返ってきますからね。」


「そうだな。俺らが他の街に行った時、アンタらの素晴らしさを広めるだろうな。いや、俺らがしなくても、他の冒険者達もすでにしてそうだ。」


「ええ。我々の評判を聞いて、人や情報、物など、様々な交流が活性化しています。

組合からの評価も高すぎて、問題児ばかり送り込まれて困っていますがね。」


「アハハッ。それは確かに大変そうですね。」


「……手伝える事があれば言ってね。」


「『生ゴミ』は勘弁だがな。」


「ノリス。良い機会だ。この際、女嫌い克服に協力してもらったら良いのではないか?」


「ふざけんな!

そういうイドこそ、アレをどうにかしろよ。

戻ってくるセガルの弟子を暖かく迎えられるのか?無理そうじゃね?」


「お前と一緒にするな!」



 結局イドとノリスはじゃれ合いを始めて、他の者達から呆れられた。


「はいはい。またいつものですね。」


「……ホント、飽きないよね。」


「グハハッ。お前らは面白ぇな。」


「フフッ。そうですね。」

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