表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
週末だけ冒険者のおっさん達  作者: 小雅 たかみ
第三章
52/104

第52話 再会

「お疲れ様でした。」


「……お疲れ。」


「ああ。待たせたようで、すまんな。」


「いえ、そんなに待っていませんから。」


 【カーシーの串屋】でクロード達と合流するノリス達。

 ガンダルが気を利かせてくれたのか、奥まった良さげなテーブル席を用意してくれていて、少し先に来ていたクロード達が迎えてくれた。


 クロード達は、『肉屋』であるガンダルからの教育中だったので、ダンジョンを出てからも色々仕事もあった為、ノリス達は一緒に戻らず、ある程度ダンジョン探索を楽しんでから、串屋に向かった。

 ガンダルが更に気を利かせたのか?予想以上に早い終わりだったようで、クロード達の様子を見れば、完全に食後だった。


「あれから色々あったようだな。」


「……一目で分かる。」


「でも、酷く落ち込んでるようでもないですし、ちゃんと話し合いは出来たのでしょうね。」


 クロード達を見て、イド、エスト、サウルは口にする。



 テーブル席を囲む七人。


 そもそも人数がおかしかった。


 ちなみに、ノリス達側もノリスが居ない。

 クロード達のようなハーレムパーティと一緒に食事は流石に無理だと悟り、一人で輪を外れカウンター席に座ってチビチビと酒を楽しんでいた。


 対するクロード達もクロードと女性三人しか居なかった。



「すまんな。俺らはお前らを解散させたくて説教した訳じゃないのだが、結果的にこうなってしまったか。」


「いえ、今こうして学び、あれは必要な事だったと思います。

だけど、脱退した訳じゃないので。ぼ……俺は戻って来てくれると信じてます。」


「そうよ!アンジェはただ修行し直すと言ってただけ。必ず戻ってくるわ。」


 以前、ノリス達が説教した時に居た、槍使いのアンジェの姿が無かった。アンジェと仲の良さそうだったケイトもクロードに同意した。


 魔法使いのクロード、剣士のケイト、弓使いのメリル、僧侶のエマ。そして、一時離脱中の槍使いのアンジェ。

 合流してから、この前出来なかった自己紹介も済ませていた。


 メリルとエマも、ケイトの発言に頷いていたので、パーティの雰囲気は暗くないのだろう。


 しかし、イドは抜けた一人よりもクロードの言葉が気になった。


「ほぅ。『俺』か。どうやら、そこから矯正されているのだな。」


「元々そういう性格ではないですから、中々に難しくて困っています。

だけど、皆から言われて少しずつですが、変えていかないと……。」


「フフッ。無理してるのも可愛い。」


「まだちょっと違和感がありますもんね。」


 クロードの愚痴をメリルとエマが笑う。


「……でも、見栄も大事。」


「そうですね。その構成ですと「俺の女に手を出すんじゃねぇ!」ぐらいが丁度良いのかもしれませんね。」


 クロードの変化にエストとサウルも応援した。


「なるほど。やはり街を代表する組織は素晴らしいな。

お前らも実感しただろ?どうだった?」


 イドはクロードを変えさせた『肉屋』を絶賛し、今までの道のりを聞きたくなったので質問した。


「最初の一ヶ月は本当に大変でした……。

喋り方もそうですが、仕草もダメ出しされましたし。」


「剣を握る日なんて、数える程しかなかったわ。」


「色んな所に連れまわされて、何度も挫けそうだった。」


「美味しくないご飯や何度も野宿させられたりもしましたねぇ。」


 クロード達は苦笑いと共に遠い目をしながら達観した。しかし、すぐに復活し、逆に勇敢な目でイドを見据えて、言葉を紡ぐ。


「だけど、本来ならこれが普通なんですね。アレは俺達がすっ飛ばしてきた過程だったんだ。」


「そうだな。だが、別に早い遅いは無いから安心しろよ?学ぶ機会があったなら、それはお前らにとって今後の糧になるだろう。」


「そうね。本当に色々経験させてもらったわ。

それに一ヶ月経ってからは世界が変わったわね。」


「聞いて下さい!他の女性の冒険者を紹介してもらって、親しくなったんです!」


「女性だけのパーティと合同でダンジョンにも行けた。」


「ジャンさんが頑張っていた俺達への報酬として、なるべく女性の多いパーティを度々紹介してくれて、繋がりが一気に増えましたね。」


「ほほぅ。それはお前らにとっては良かったじゃないか!」


「当然よ!同性の先輩方の話はとても貴重だったわ。」


 年頃の女性が冒険者として、ダンジョンへ潜ったり、組合の依頼を受けたりする。絶対に男性とは違う問題が色々出てくる。

 そんな問題を今まで経験してきた先輩から聞けるのだ。女性特有の問題を解決する方法や、あの問題はあの店のこの道具で解決するなどの知識……彼女達からすれば、大金より何よりも貴重な褒美だっただろう。


 代表してクロードはイド達へ感謝を述べた。


「本当に『週末』の皆様、ありがとうございました。」


「おいおい。全ては『肉屋』のお陰だろ?俺らは何もしていない。

寧ろ横から無駄にしゃしゃり出てしまっただけだ。俺らが居なくても、彼らはお前らを助けただろう。」


「それは分かりません。ジャンさんはあの時、俺達を街から追い払おうと思ったそうです。

その後で対峙した時も、何も無ければ良い顔はされなかったでしょう。全てはノリスさんが……」


 クロードはノリスが渡したお金のお礼を言おうとしたので、サウルが止めた。


「クロード君。それは内緒ですよ?」


「……もう一人、おせっかいなおっさんが居ただけ。」


「フッ。バレバレだったがな。

だが、ノリスのアレがあったとしても、今こうしているのはお前らが決めたのだ。やはり俺らのお陰じゃない。

クロードはもう少し自分に自信を持った方が良いぞ?」


「あっ!それは私も思ってた!」


「それも可愛かったから、良かったけどね。」


「ウフフッ。メリル。あまりクロードをからかっちゃダメですよ。」


 イドがまたおっさん臭を出しながらクロードを窘めると、その内容にケイトやメリルが乗ってきた。


「皆、ここで言わないでくれよ。勘弁してくれ……。」


 ガックリと肩を落とすクロード。それを見てケラケラと笑うケイト達。


 元々そうだったのか?それとも変わってこうなったのか?付き合いが長い訳じゃないので分からないが、今のクロード達は良い関係を築いているようで何よりだとイド達も思い、ケイト達と同じように笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ