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週末だけ冒険者のおっさん達  作者: 小雅 たかみ
第三章
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第48話 仮面の裏側

「本当に分からんな。こんな事は最初に誰からでも聞けるだろ?」


「違うんだ。イド。コイツらは何も聞かされていない。

なぁ、クロード。お前達は最初から今のメンバーだっただろ?」


「はい。それが問題だったのですか?」


「確かにそれが始まりだろう。だが、そうなるように仕向けられたんだ。

恐らく『生ゴミ』達なら分かるんじゃないか?」


 ノリスは本当に珍しく『生ゴミ』達へ問う。

 生ゴミと言われてムッとする女性達だったが、やはり心当たりがあるのか、暫く考えてからポツリと正解を呟く。


「私達に聞くってことは女性?…‥なのよね?…‥まさか!組合の……受付嬢?」


「えっ?」


「何っ?」


 女性達の中の誰が言ったか不明だったが、その答えにクロードとイドは驚きのあまり声が出ていた。そして、その答えをサウルがノリスへ通訳すると、ノリスは正解と言わんばかりに満足そうに頷く。


「そうだ!

ぶっちゃけて言うと組合の『生ゴミ』達はな、お前達みたいな構成のパーティは早く死んで欲しいのだ。

自分達でコントロール出来ない、なびかない奴らなど要らないと思っているんだ。

そんな風に見えないように、やたら表面的な笑顔だけは貼り付けてくるが、中身すらも『生ゴミ』だな。」


「そういう事ですか!流石は経験者ですね。」


「だから、コイツらは何も知らないままなのか。」


「ああ。お前達も酷いと思うか?

だが、今更何を言っても組合の『生ゴミ』達は、そもそも聞かれていないから答えなかったというスタンスを振る舞ってくるから、更にタチが悪いぞ?

男だけ、もしくは『生ゴミ』だけ、要するに自分達のおねだりを聞いてくれそうなパーティ構成なら、親身になって相談やアドバイスをしてくるけどな。」


「……そ……んな……。」


 クロードは今まで対応してくれた受付嬢を思い出し、素晴らしい笑顔で丁寧な対応をしてくれていたと思い込んでいた。彼女達の仮面の裏側には、まったくと言っていいほど気づいてもいなかった。


「だから、お前達はココに居るんだ。無駄に薦められてココへ来ただろう?おかしいと思わなかったのか?

この街のダンジョンは【オーク】しか出ない。だから更に上を目指すにはどうしても別の街にまた行かなければならないんだ。ココよりもっと深く、色んな魔物が出るダンジョンの街に行かせた方が上が目指しやすいのにだ。」


「そうして、今回みたく絡まれるように仕向けているのですね。あわよくばパーティが崩壊しないかと期待して……本当に生ゴミみたいで反吐が出ますね。」


「……色んな魔物が出るダンジョンなら最初に力を誇示すれば良いだけ。でもココで、更に次も、そのまた次も……可哀想に。」


 ノリスの説明を補足するように、サウルとエストが続き、二人共が最終的に彼らを同情していた。


「なら、色んな魔物が出るダンジョンに行けば良いだけじゃない!」


「そいつはどうかな?

ノリス。こう言ってるが、どう思う?」


 薄々感づいているイドが、ノリスに通訳して聞くと予想通りの答えが返ってきた。


「ああ。ムダだ。行っても街自体から追い出されるだけだな。

お前達はまだ経験が無いだろうが、街を出入り禁止にされている場合がある。

例えば、この街からソコへ無理矢理行こうとしても、『この街で何の成果も残していないから相応しくない』とか、それっぽい理由が付けられてな。」


 本当に酷い話である。

 しかし、それはこちら側から見た側面だけであり、組合側から見ればある意味で正しい。


 絡まれた時に周りの人々が一目見て思ったように、パーティ構成がそもそも歪なのだ。そんな危なかっしいパーティを難易度の高いダンジョンの街などに行かせる訳にはいかない。

 この街ですら、無事に揉め事を起こし、今回のように失態を演じた。

 難易度の高いダンジョンには有望な冒険者達が居る。急に向かわせて、そんな彼らの足を引っ張ったり、変に揉め事を起こされたら、冒険者を管理する組合としてはたまったものじゃない。

 だから管理するという名目の為に制限している。


 組合の受付嬢もまともな者なら事前にしっかり教えている。そうして冒険者達は次第に受付嬢がいなくてはならない存在になる。

 しかし、クロード達の場合はハーレムパーティだから、そうならない可能性が高いので、真面目に教えるのを放棄する。

 そして、住んでいる街を誇りに思っている『肉屋』が居るような街へ向かわせ、確実に絡まれるように仕向けて、彼らの教育を街に丸投げしているのだ。

 そこで成長すれば、向かわせた自分の手柄に……崩壊したら、気分がスッキリ……という具合だ。


 真相や理由はどうあれ、ある程度段階を踏んで、少しずつ成長を促そうとするのは至極真っ当な教育方針だった。


「なら、私達はどうすれば良いのよ!」


 投げやりに吐き捨てる一人の女性の声には、誰も答える事が出来ない。いや、唯一答えを知る人物には届いていなかった。

 本当にめんどくさいと誰もが思った。


「僕らはどうすれば良いのでしょうか?」


 再度同じセリフを今度はクロードが聞くと、ようやくノリスは応える。

 本当にめんどくさいと誰もが再度思った。


「んあ?まずはこの街で色々学べ。

組合の『生ゴミ』達は諦めろ。だが、この街の冒険者達とは親しくなれ。そして、彼らから送り出してもらえるように仕向ければ良い。

だから、そういう意味では先程のリベンジだな。絡まれてもしっかりと自分達の力を誇示すれば良いんだ。お前達がまとまってな。」


「なるほど。横の繋がりで打開していくのか。」


「確かにある程度広がれば組合も無視できなくなりますね。」


「……今のキミ達には厳しそうだ。」


 ノリスの提示した道にイドとサウルは納得し、エストは彼らの心をえぐる。


「うっ!」


「し、仕方ないじゃない!」


「絡まれてばかりで、全然親しい知り合いが……」


 クロード達は図星を突かれてしどろもどろになっていた。


「良いか?クロード。お前達が上を目指すのは好きにすればいいが、それはどういう意味かちゃんと理解しろ。

確かに力をつけるのも必要なんだが、認めてくれる者達が絶対に必要なんだ。

それは一体、誰だ?まずは同じ冒険者だろ。

強い冒険者に憧れて冒険者になる。冒険者が強い冒険者を称える。一緒に冒険した冒険者達が自慢したりだな。お前達だってそうだろ?

だから、他の冒険者達と上手く付き合っていく方法が無ければ、どんなに強くなっても称えられる程有名にはならんぞ。」

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