3 辿り着いた場所
木造二階建てのごく普通の家。というのが現在身に起きている不可解な現象により辿り着いた場所の印象だ。
見知らぬ部屋に警戒していた私は最初の部屋から連れ出されリビングに通されていた。抵抗すれば命はないかもしれないと投降姿勢をとっていたがなんだか空気がおかしい。
「我々は貴女に危害を加えるつもりはありません」
リーダー格に見える一人が話し始める。
対面で座るよう促されソファに身を委ねた。緊張で手汗が凄い。
友好的に見えるが気絶させてこんな服に着替えさせてる時点で怪しくないわけがない。海外に売り飛ばされたりするのかと身構える。
「貴女に転生頂いたのはこの国を救っていただきたいのです」
「……は?」
どこかで聞いたような台詞にうっかり間抜けな返事を返してしまったが思い当たる可能性として素人を騙すドッキリではと推測する。さすがに某番組のようにお茶の間に私の慌てふためく様は流したくない。早くネタバラシにするにはどうすべきか。流石に転生場所設定にもう少し良い場所がなかったのか。
少しずつ落ち着いてきた頭で考える。
ここは抜け出す方法のセオリーでどうだ。
「と、トイレ。トイレ行きたいです」
「ご案内しろ」
すんなり了承され拍子抜けしたが成功だ。あとは窓が大きい事を祈るだけだ。抜け出すか、中に立てこもってギブアップさせる作戦だ。
案内をうけたトイレの中には一般的な洋式トイレが鎮座している。その奥に窓があるがとても外に出られるような大きさではなかった。
落胆してひとまずトイレの鍵を閉めて窓を開ける。
青い空には1メートルくらいの小さい龍が無数に泳いでいる。はたして龍に泳ぐという言葉を使うのが正しいかはわからないが、決して鯉のぼりの見間違いではない。
ずっと意識から遠ざけてきた可能性を突きつけられる。
龍が窓の間近を泳ぎ去り、強い風がセミロングだったはずの私の長い髪を揺らす。見たくないと思う気持ちと知りたい気持ちが入り混じり、ずっと視界の端に映っていたそれへと目をやる。
「……転生?」
そこには私ではない少女がこちらを見ている。そう、鏡の向こうに。
髪を引っ張っても頬をつねっても痛みを伴い同じように鏡の中の少女が動いた。
あの時自分は死んでしまったということなのか。目の前の少女がぐにゃりと歪み泣いていることに気づく。私は唇を震わせてただただ立ちすくんだ。




