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128  こたつむりの白狐

白狐(びゃっこ)は北の山を越えた先にあるところにある一番大きい木に住んでる。実体のあるお前らは本来入れないから、特別に入れるようにしといてやる」

「ありがとうございます」


 金狐に続き、食事のストックをかなり消費したな……。

 外に出て鳥居の並ぶ回廊を抜けて神社に戻った。


 帰り道の最初は高原の花畑で、きれいだねーなんてのん気に言っていたら、そのあと干からびそうな砂漠と蒸し暑いジャングルを通らされた。


「おもしろかったねー」


 たしかに珍しくはあったけどさ……。

 非常に興味深いのは認めるんだけど……。


「きつかったー……」

「また通るのかと思うと気が重いですね」


 あっさりと暑さに適応して汗一つかいていない無能術師のチアだけは一人楽しそうだ。


「おお、お戻りになられましたか! では早速お話を……」


 ああ、これもあったか……。

 霧を抜けて元の山に戻ると、神主さんたちが待ち構えていた。


 天狐の外見なんかの話をすると、記録と照らし合わせて興奮していた。

 まあ気持ちはわかる。

 日国に来てから三人目で、次々と会っているので半分感覚がマヒしているが、直接神に会って話をするなんて普通にはありえないことなのだ。


 白狐の名前を出すと、地図や神社の場所などを事細かに教えてくれた。


 次の日、まだまだ雪の残る山を越えて北に向かう。


 チアは風精霊の靴を使って、雪を吹き飛ばしながら楽しそうに山を走り回っている。

 案の定というか、チアが雪崩を起こして、それをストラミネアが吹き飛ばしてくれた。


 おりんは横でさっきから寒いを連発している。


「ネコになったら服の下に入れてあげるけど?」

「本気で揺らぎますからやめてください」


 北の山を抜けて、そのまま教えてもらった村を目指す。

 大きな町は他にあるそうだが、村にある神社が今回の目的地だ。

 まだ村にも雪が残っている。


「あの大きい木がご神木だね」


 神社の外からもひときわ大きな巨木が見てとれた。


 村には人影はいない。

 寒いし、雪も残っているから農作業もまだだからだろう。


 遊んでいた子供が二人、物陰からこちらを見ている。

 男の子と女の子だ。兄妹かな。


 チアが元気よく手をあげた。


「こんにちはー!」

「こ、こんにちは」


 外から来た人だから警戒していたみたいだけど、こっちも子供だ。

 大丈夫だと思ったらしい。返事が返ってきた。


「ちょっと神社にお参りさせてもらうね」

「お姉ちゃんたち、どこから来たの?」

「天柱神社からだよ」

「じゃあ、山を越えてきたの!?」

「すごい!」

「お稲荷様を起こしに来たんだよ」

「白さま起きるの? もう春になる?」

「すぐに起きてくれるといいんだけどねえ……」


 そのまま遊んでいた子供たちと別れて、神社に向かい大木の前に行く。


 近付くとますます大きい。

 千年? 二千年? それとも、もっと?

 どれだけ昔からここにあるんだろう。


「どうやって入るんでしょうかね」

「わー、おっきいおっきい」


 さっきから周りをぐるぐる回っていたチアが木に手をかけると、そのままするっと木の中に入って見えなくなる。


「あ、チア」


 慌ててあとに続いた。


「あら、こういう感じなんだ」


 木に憑依してたりするんじゃないんだ。

 本当に部屋があってそこに住んでいるのか……


 中は古民家っぽい畳敷きの部屋で、真ん中にあるコタツに真っ白な長い髪の女の人が首まで入って眠りこけていた。

 狐耳がはえているので、このお姉さんが白狐だろう。


 一度外に出ればちゃんと起きるから、どうやってでもいいから外に出せと天狐には言われている。


「この机、なんですか?」

「コタツだね。中が暖かくなる暖房器具だよ」


 とりあえず揺すってみよう。


「白狐様、起きてくださーい」


 まったく反応がない。まあわざわざ起こすのを頼まれるくらいだもんね。

 これくらいは想定の範囲内だ。 


「じゃあ、チアお願い」


 力づくならチアだろう。


「はーい」


 チアが脇の下に腕を入れて引きずると、コタツごと白狐が移動した。


 ……一体化してる?

 このままだと入り口でつっかえてしまう。


「チア、ストップ。おりん、わたしたちでコタツおさえとこう」


 二人でコタツを動かないように持っておく。

 今度は白狐が少しずつコタツの中から出てきた。


 ゆるっと着ている和服系の部屋着が引きずられているせいでズレていく。

 胸の部分がはだけてきた。大きなふくらみがだんだんとこぼれそうになってきている。


 このままだと本当に服が脱げる、というところで今度はおりんがストップをかけた。


「チアちゃん、放してください!」


 チアが手を放すと、白狐はもぞもぞと再びコタツにもぐっていった。


「ロロ様……ちょっとまじまじ見すぎじゃないですか?」

「脱げちゃったら怒られるかなって思ってただけですけど」

「なんで敬語なんですか?」


 一応、興味ありませんアピールをしておく。


 あんまり大きいので、つい目がいってしまった。

 おりんより大きいよね、なんて口が裂けても言えない。


「そもそも、なんでコタツとくっついてるんだろ」


 コタツの布団をめくると、(すそ)もはだけていて、太ももの方まで肌があらわになっている。

 胸だけじゃなく、お尻も大きい。

 ものすごく肉感的で色っぽいお姉さんだ。


 そして、コタツが離れない理由はと言うと、尻尾がコタツの足に巻き付いていたせいだった。


 横から伸びたおりんの手が、めくった布団を勢いよく元に戻す。


「ロロ様、今どこ見てました?」

「尻尾がコタツの足に巻き付いていましたね」

「目をそらしていないで、怒らないから言ってください」


 それ、絶対に怒るやつだよね。

 無遠慮にめくったのは悪かったけど、わざとじゃないよ。


 めくられて寒かったらしく、白狐は少し丸まった感じになって、むにゃむにゃ言っていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] チアの「適応」はどの程度まで可能なのかな 暑い寒いの対応からすると常人が生存可能な範囲なら負荷感じなさそう あとは水中で呼吸とか人をはみ出るところはどうだろう
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