5 そしてついに二人は・・・・・・
という物凄い音とともに、俺の背中を物凄い衝撃が襲い、辺り一面に物凄い水しぶきが上がった。
そして鼻と口の中に急激に水が流れ込んできた!
ここは、水の中⁉
一瞬パニックになりかけたが何とか気を持ち直し、俺は失神した美鈴を抱え、何とか地面のある所まで泳ぎ着いた。
周りを見回すと、ここはホテルのプールだった。
っていう事は、俺達助かったんだな?
そう思ったら、急に体中の力が抜け、俺はプールサイドに大の字に寝転んだ。
何とか命は助かったけど、しばらく動けそうにはなかった。
するとすぐに気がついた美鈴はガバッと身を起こし、俺の顔を覗き込む。
どうやら美鈴は俺が死んでしまったと思っているらしく、目から大粒の涙をあふれさせて叫んだ。
「うわぁあああん!バカバカバカ!
どうして私なんかを助けるために死んじゃうのよ⁉稲橋君のバカ!」
結局俺って、死んでもこいつにバカ扱いされるんだな。
そう思うと何だか笑えて、思わず吹き出してしまった。
「プッ、クハハハ。死人に対してそりゃあないだろう?
どうせなら、もっと優しい言葉をかけてくれよ」
「え?い、稲橋君?ぶ、無事なの?生きて、いるの?」
目を満月のように丸くして尋ねる美鈴に、俺はニカッと笑ってこう返す。
「ああ、生きてるよぉ。こんな事くらいで死んだりしねぇから安心しろよ」
ホントは間違いなく死んだと思ったけどな。
と思っていると、美鈴はガバッと俺に抱きついてきた。
「うぉわわあああっ⁉ちょっと美鈴さん⁉どどどどうしたんですかい⁉」
あまりに大胆な美鈴の行動に俺の心臓は超新星爆発を起こしそうなくらいに高鳴った。
しかし美鈴はそんな事には構わず、泣きじゃくりながらこう続けた。
「バカ、心配させないでよ。稲橋君が死んじゃったら、私、私・・・・・・」
「美鈴・・・・・・」
俺と美鈴はそのまま黙って見つめ合った。
美鈴はプールに飛び込んでメイクも髪もぐちゃぐちゃになっちまったけど、
その姿は今まで見た美鈴の中でもっとも綺麗で、可愛かった。
そして美鈴は目を閉じ、ゆっくりとその唇を、俺の唇へと近付けてくる。
そして、そして・・・・・・。
誰かに見られているような気がした俺と美鈴はハッと我に返り、同時にその視線の方へ顔を向けた。
するとそこに、いつの間にか現れた姉ちゃんとジルと矢代先輩と沙穂さんと理奈の姿があった。




