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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た4  作者: 椎家 友妻
第五話 美鈴の行方とパーティーの結末
59/62

5 そしてついに二人は・・・・・・

 という物凄い音とともに、俺の背中を物凄い衝撃(しょうげき)が襲い、辺り一面に物凄い水しぶきが上がった。

そして鼻と口の中に急激に水が流れ込んできた!

ここは、水の中⁉

一瞬パニックになりかけたが何とか気を持ち直し、俺は失神した美鈴(みすず)を抱え、何とか地面のある所まで泳ぎ着いた。

周りを見回すと、ここはホテルのプールだった。

っていう事は、俺達助かったんだな?

 そう思ったら、急に体中の力が抜け、俺はプールサイドに大の字に寝転んだ。

何とか命は助かったけど、しばらく動けそうにはなかった。

するとすぐに気がついた美鈴はガバッと身を起こし、俺の顔を(のぞ)き込む。

どうやら美鈴は俺が死んでしまったと思っているらしく、目から大粒の涙をあふれさせて叫んだ。

 「うわぁあああん!バカバカバカ!

どうして私なんかを助けるために死んじゃうのよ⁉稲橋(いなはし)君のバカ!」

 結局俺って、死んでもこいつにバカ(あつか)いされるんだな。

そう思うと何だか笑えて、思わず吹き出してしまった。

 「プッ、クハハハ。死人に対してそりゃあないだろう?

どうせなら、もっと優しい言葉をかけてくれよ」

 「え?い、稲橋君?ぶ、無事なの?生きて、いるの?」

 目を満月のように丸くして(たず)ねる美鈴に、俺はニカッと笑ってこう返す。

 「ああ、生きてるよぉ。こんな事くらいで死んだりしねぇから安心しろよ」

 ホントは間違いなく死んだと思ったけどな。

と思っていると、美鈴はガバッと俺に抱きついてきた。

 「うぉわわあああっ⁉ちょっと美鈴さん⁉どどどどうしたんですかい⁉」

 あまりに大胆(だいたん)な美鈴の行動に俺の心臓は超新星(ちょうしんせい)爆発(ばくはつ)を起こしそうなくらいに高鳴った。

しかし美鈴はそんな事には構わず、泣きじゃくりながらこう続けた。

 「バカ、心配させないでよ。稲橋君が死んじゃったら、私、私・・・・・・」

 「美鈴・・・・・・」

 俺と美鈴はそのまま黙って見つめ合った。

美鈴はプールに飛び込んでメイクも髪もぐちゃぐちゃになっちまったけど、

その姿は今まで見た美鈴の中でもっとも綺麗で、可愛かった。

 そして美鈴は目を閉じ、ゆっくりとその(くちびる)を、俺の唇へと近付けてくる。

 そして、そして・・・・・・。

 誰かに見られているような気がした俺と美鈴はハッと我に返り、同時にその視線の方へ顔を向けた。

するとそこに、いつの間にか現れた姉ちゃんとジルと矢代(やよ)先輩と()()さんと理奈(りな)の姿があった。



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