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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た4  作者: 椎家 友妻
第五話 美鈴の行方とパーティーの結末
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4 決死のダイブ

 美鈴(みすず)は部屋の奥のバルコニーの(さく)側に立ち、おびえた顔で立ちすくんでいる。

そしてその正面に立ちふさがるように、こちらに背を向けてバスローブを着た大柄な男の姿があった。

 「美鈴!」

 俺は考えるより先に叫んだ。

その声にバスローブの男が振り返る。

男は酔っ払っているのか、真っ赤な顔をして、酒臭(くさ)い息を吐き、怒りに満ちた目で言った。

 「なんだぁお前は?せっかくこれからお楽しみだってのに、邪魔(じゃま)するんじゃねぇよ!」

 その言葉にカチンときた俺は、後先考えずにこう叫んだ。

 「その子は俺の女だ!今すぐ返しやがれ!」

 しかし男はいやらしい笑みを浮かべてこう返す。

 「はあ?知らねぇなぁ。大体こちらのお嬢さんが俺の部屋に来たんだから、双方(そうほう)合意(ごうい)の上って事だろうが?」

 「違う!私、お酒に酔って、意識がもうろうとしながら廊下を歩いてて・・・・・・

気がついたらここに連れ込まれていたの!」

 「なんだとう⁉廊下に倒れていたお前を介抱してやった恩人に何だその言い草は⁉」

 男は怒りに任せてそう言い、乱暴に美鈴の手首をつかむ。

 「きゃあっ!」

 美鈴の悲鳴を聞いた俺は、頭の線がプツンと切れた。

そして一直線に男に(なぐ)りかかった。

 「てんめぇっ!」

 「ああっ⁉やんのかこの野郎!」

 男は美鈴の腕を払い、俺の方に向き直った。


と、その時、美鈴が後ろによろめき、(さく)を越えてバルコニーから落下した。


 「え?」

 声を上げる美鈴。

気がつくと、俺も美鈴と一緒にバルコニーの柵を飛び越えていた。

反射的に美鈴を助けようとしたのか。

よし、ナイス判断だ、俺の条件反射。

 「うぉああああっ!」

 俺は必死に美鈴を抱きよせ、気合で美鈴の下にもぐりこんだ!

これで少しはクッションになるだろ!ていうかここって何階だっけ?

十階?

ああ、死ぬな俺。

こんな事ならちゃんと告白しとけばよかったなぁ。

 バルコニーから顔を出す姉ちゃんの姿が、ものすごいスピードで遠ざかって行くのが見えた。

姉ちゃん、決闘に勝てなくて、ごめんな・・・・・・。


 ドッボーン!



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