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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た4  作者: 椎家 友妻
第五話 美鈴の行方とパーティーの結末
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2 彼女の本音

最後の望みをかけて屋上へ出てみたが、くまなく探してみても、美鈴(みすず)は見つからなかった。

 「見つからないわねぇ、一人でホールに戻ったのかしら?」

 ありこちかけまわり、すっかり疲れた様子の姉ちゃんは、水平線がよく見える屋上の(さく)にもたれかかって言った。

が、美鈴はまだ戻っていないという内容のメールを矢代先輩にもらっていた俺は、

 「ホールにもまだ戻ってないみたいだよ」

 と、自分の携帯をしまいながら言った。

 「そっか」

 と姉ちゃんは言い、月の映る海を遠い目で見つめた。

 「ねぇ(せい)()。あんた、ジルの事どう思う?」

 「え?まあ、ちょっとキザでナルシストなところはあるけど、本気で姉ちゃんの事が好きなんだなぁとは思うよ。

姉ちゃんが考えた無茶な勝負に乗ってくれたし、全力で俺を打ち負かして、姉ちゃんに思いを伝えようとしてるもんな。

うわべだけで言い寄って来てたなら、途中でバカバカしくなって、こんな勝負投げ出してるんじゃないか?」

 「そうなのかなぁ・・・・・・」

 姉ちゃんはそう言って両腕に顔をうずめると、俺の方に向き直ってこう続けた。

 「ねぇ、人を好きになるってどんな感じなの?

もちろんlikeじゃなくてloveの方よ?

小説や漫画だと、好きな相手を見るだけで胸がキュンとなったり、顔が赤くなったりするじゃない?

でも私、そういうのを経験した事ないし、いまいちよく分らないのよね。

ジルに対しても全然そういう気持ちにならないしさ、

そんなんでジルの申し出を受けて恋人になって婚約とかしても、それって逆にジルに失礼だと思う訳よ。

そうでしょう?」

 「う~ん、まあ、そうなるのかな?」

 「ねぇ、あんたは好きな人居る?

居るでしょう?

居るわよね?

それとも、自分の気持ちに気付いてない?

私が気付かせてあげようか?」

 「何だよいきなり⁉今は姉ちゃんの話だろうが!」

 「そうね、でもまあ私は、そういう訳でジルの申し出を素直に受ける気になれないのよ。

あいつのためにも、ね」

 「そっか」

 いつも強引で大ざっぱな姉ちゃんだけど、そういう事はちゃんと考えてたんだな。

とシミジミ思っていると、姉ちゃんは頭をかきながら言った。

 「さて、無駄話はこれくらいにして、聖吾が大好きな美鈴ちゃんを探しに行きますか」

 「ちょっとちょっと⁉そんな事は一言も言ってませんけど⁉」

 俺は慌ててそう叫んだが、


 「あーっ!」


 と、俺以上に姉ちゃんがでかい叫び声を上げた。


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