9 ジルとの紳士対決 第二回戦 社交性
ないよ、社交性。
そんなもん俺にある訳ないでしょうが。
見ず知らずの人に話しかけるなんて度胸はまったくない。
俺と同じような庶民的な雰囲気の人ならまだしも、ここに居るのは色んな業界で有名な大物ばかり。
そんな相手に
「ヘイ兄弟、調子はどうだい?」
なんて気安く話しかけられる訳ないじゃないの?
なので俺はホールの片隅で縮こまり、誰にも声をかける事が出来ずにオドオドしていた。
それに対してジルはさんさんと輝く太陽のように爽やかな笑顔を浮かべ、
色んな業界の大物であろうゲスト達と対等に語らい、楽しそうに過ごしている。
ちなみにうちの姉ちゃんも知り合いの教授であろう年配の老人に付き添い、様々な人に紹介されては、あっさりとその人達と打ち解けている。
更には矢代先輩も、その愛らしい笑顔と名家のお姫様のような着物姿に魅了された人達に次々に話しかけられ、彩咲綾音に負けないくらいの人だかりができていた。
す、すげぇな皆。
なんでそんなに堂々としていられるんだよ?
これじゃあさっきと同じく、まるで決闘にもならねぇじゃねぇか。
むしろ姉ちゃん自身がジルと決闘すりゃあよかったんじゃねぇか?
とか思っていると、審査員の沙穂さんが俺の肩に手を置き、ニコニコしながら言った。
「聖吾君失格♪」
あかんがな!




