3 サワコレの勝者は?
「まさに壮観ですね」
浜野さんがシミジミした口調で言った。
それに対し、俺も心から同意してこう返す。
「まったく、普段地味で平凡な沢凪荘がこんな華やかになるなんて、まるで夢の中の出来事みたいですよ」
するとそんな俺の背中を姉ちゃんがバシンと叩き、ズイッと顔を近づけて言った。
「で、聖吾、あんたはこの中で誰が一番綺麗だと思う?」
「え?えぇ?」
その言葉に食堂が一転して静まり返り、皆の視線が俺に集中する。
矢代先輩は
『もちろんウチやんな?な?な?』
という目で俺を見つめ、理奈は
『ま、あんたに綺麗と言われても何も嬉しくはないけど、この中で一番綺麗なのが私だという事実はわかるでしょう?』
という目で俺を見つめ、姉ちゃんは
『当然私でしょう?私以外に誰が考えられるの?さあ私と言いなさい!』
という目で見つめ、美鈴は
『できることならこの場から消え去ってしまいたい・・・・・・』
という様子で俺から顔をそむけている。
う~~~~~~~~~~む・・・・・・
何と困った質問をしやがるんだこの姉ちゃんは。
そんなの誰が一番と答えたところで、どこかしらカドが立つじゃねぇか。
そりゃあ本音を言えば、一番綺麗なのは、み・・・・・いや!
えーと!
俺はヤケクソでこう叫んだ!
「皆世界一、いや、宇宙一綺麗だよ!皆に勝てる美女なんて他に存在しねぇよ!」
「え~?ずるい答えやなぁ」と矢代先輩。
「まったく、見る目がまるでないわね」と理奈。
「ホント、なっちゃいないわねぇ」と姉ちゃん。
美鈴は顔をそむけたまま何も言わなかった。
まあ、これでいいんだよ。
実際こんな美女達に甲乙つけるなんてとてもできない。
本当は、みす・・・・・何でもありません!




