8 実は逸材ぞろいのニューハーフ
ジルはニューハーフ特製デミグラスハンバーグセットを喜んで食べ、
季節のフルーツゼリーと食後のコーヒーも残さず平らげた。
「これは予想外にうまかった!うちの屋敷の料理人よりいい腕かもしれない!」
と、ジルは大層満足した様子だった。
ちなみにここのシェフは、岩山店長が昔執事として働いていた王本家の専属料理人をしていた人らしく、そこいらの高級レストランにも負けない腕前らしい。
そのシェフといい本坂先輩といい美鈴といい(美鈴も実は結構お客さんに人気があり、ここの集客に一役買っている)、このファミレスって何気に凄い人材がそろってるよな。
まあそんなこんなでニューハーフの食事に満足したジルは、
「また来るよ美咲」
と姉ちゃんに投げキッスをし(そして姉ちゃんはまた俺を盾にしてそれを防ぎ)、大人しく帰って行った。
そして御撫町のバス停に着くと、俺はまた一人自転車で先に帰らされ、
姉ちゃんと美鈴は二人で歩いて沢凪荘に帰って来た。
その間にどんな話をしたかは、やっぱり教えてもらえなかった。
ま、いいけどね。
こうして今日も何とか、一日無事(?)に終える事ができたのだった。




