8 美鈴から見た聖吾
という訳で、学校を出た俺と姉ちゃんと美鈴は、俺が自転車を押し、三人で歩いてバス停に行く事になった。
「あの、私、やっぱりお邪魔じゃないですか?せっかくの姉弟水入らずなのに」
美鈴は何とも居心地が悪そうな様子でそう言ったが、姉ちゃんはそんな美鈴の肩をポンポンと叩きながらこう返す。
「そんな事ないわよ。私はもっと美鈴ちゃんと仲良くなりたいと思ってるんだから。
ねえねえ、美鈴ちゃんから見た聖吾ってどんな感じ?」
「私から見た稲橋君、ですか・・・・・・?」
そう言われた美鈴は、じーっと俺の顔を眺めた。
そして深いため息をつき、こう言った。
「いつもエッチな事ばかり考えてます」
「うぉい⁉」
俺は反射的に声を上げる。
確かに強く否定はできんが、そんなしょっちゅうエッチな事ばかり考えてる訳じゃないぞ!
と、心の中で抗議していると、美鈴は地面に視線を落としてこう続けた。
「後は、よく分りません」
「そっかぁ」
姉ちゃんはそう言って頷くとそれ以上この話題には触れず、
後は俺をからかったり、過去の恥ずかしい話を暴露する事に専念した(頼むからやめてくれ!)。




