EX2(第1.5章).で、結局ハーレム作るって何だよ?
本日はお日柄もよく。
なんつーか、とても良い天気だ。
ルーリー討伐(封印?)の謝礼として、天界側から莫大な金貨をいただいたこともあり、しばらくはのんびり暮らせるなぁと考える。……変なのが沸かない限りだが。
それよりも。
とりあえずはっきりとさせなければならないことがある。
今日こそはと息巻いて、俺はメアの部屋をノックした。
「オウ、入っていいぜ?」
「……本当だろうな? 昨日みたいに、全裸とかじゃない?」
「チッ、学習しやがって豚が!」
危なかった。
仲間内から行われるハニートラップとはこれいかに。
昨日は全裸で仁王立ちという、とてつもない格好でお出迎えされたからな。たまたま逆光で、ナゾの光によって局部がはっきりと見えなかったから良かったものの。
「オラ、履いたぜ? 開けろ」
……基本的に、デレ期がきても口調はそのまんまなんだね、メアさんや。
もうちょっと優しくしてほしいものである。
「入るぞー……、ってうおわ! やっぱ全裸じゃねえかっ!」
「よく見やがれ師匠。ニーハイは履いている」
「履いたってそういう意味かよっ! マニアック度上げてどうすんだ!」
良いから何かを纏えと言って、再び外へ出る。
「あーもう、面倒くせえなー! 分かった分かった。いつもの格好するから、入って来いよー!」
あな恐ろしや。
何が恐ろしいって、このまま続けていれば簡単に手を出してしまいそうになる自制心である。そんなに複雑に出来てない。ムラっと来たら我慢しない・出来ないという、シンプル・イズ・ベストな思考回路なのです。
なので、マジでやめてほしい。そういう振りではなく。
「お……、き、着たな。
ふー……、お前なぁ。本当に、やめろよマジで」
「ギャギャ、可愛かったぜ師匠。モノにしたくなる」
ワイルドだぁ……。
こいつ基本的に、粗暴だったり粗野だったりするけど、根幹がどこか男前なんだよなぁ。
俺の中に女の子スイッチが作られて、それが作動しそうになるときがある。
「だいたい、ノックいらねえよ。勝手に入ってくればいいんだ」
「いやぁ、流石にできねえだろ……。お前だって一応、女の子なんだしさ」
そんな俺の言葉を聞くと、口をちょっとだけすぼめて嬉しそうに片眉を上げるメア。
……人間扱いだったり女の子扱いされることに慣れていないのは仕方が無いのだが、こちらが普通にしていることに対してまで嬉しそうにされると、逆に反応に困る。
ま、まぁいいや。
話を切り替えて、と。
「えーとな、メア。それで、質問があるんだよ」
「あぁ? 何だよ」
ヤンキーのような乱雑な口調も、どことなく当たりが柔らかいのは気のせいではないだろう。大分受ける印象が違う。
「その……、この間から話題に上がってる、『ハーレム』とかの件についてなんだが……」
「あぁ、またその話かよ。
説明してンだろーが。師匠のために、ハーレムを作るんだよ」
どかっとベッドに座り、腕組みをして答えるメア。
いや、物理的な話は分かるぞ。分かるんだが……、
「そのな? その件の、心根の部分の話なんだよメア」
「心根ェ?」
怪訝そうな片眉を上げる。
「えーっと、整理するぞ? ……メアはそのー、ありがたいことにというか、気恥ずかしいことにというか、あの、俺のことが、好っ、す、好き……? なん、だよ、な?」
「おう、好きだぜ師匠。ギアスのせいで名前を呼べないのが心苦しいくらいだ」
「うぐぉッ!」
ド直球すぎるっ! あと言い回しが男らしいっ!
俺も学生時代に、好きな人にここまでズバッと言えていたら……、何かが違ったのだろうか。……いや、虚しくなるから、今はそれを考えるのはやめておこう。
「う、うん……。ありが、とうな。
それで、な? お前は俺のことが好き……なのに、更に他の女の人を俺に近づけようとしているワケだな」
「おう。そうなるな」
「それってどういうこと?」
「どういうこと、だァ?」
あ、いや。だってさ。
そこが一番分からないんだもんよ。
メアが日ごろ俺に色仕掛け(?)のようなものを仕掛けてくるのは分かる。あわよくば俺の理性を崩壊させ、えー……、既成事実なり何なりを作りたいんだろう。もしくはそれ以前に、俺とエロい……、エロいことを、したいのかもしれない。
まぁだけど、そこは性欲だ。俺にもあるから、メカニズムも気持ちも理解できる。
けど、ハーレムを作るとなると話が変わってくるだろう。
「メア……。もしもハーレムが完成したら、なんだけどさ。
お前が俺の一番にはならないかもしれないんだぞ?」
「はぁ。まぁそうだな」
「それって、その……、良いのか?」
「良いんじゃねーのか? それでも、好きにはなってくれるんだろ? 喜んでくれるんだろ?」
「よ、喜ばしいかどうかで言えば……、まぁ、女の子に囲まれること自体は喜ばしいことだけどさ……」
「だったらそれでいいぜ? ただし褒美として、十五歳になったら抱いてくれ」
腕組みをしたまま、牙をむき出して笑う。
幼女の屈託の無い笑み。
不思議と、いつもの狂気じみたものを感じなかった。……相当ズレたこと言ってるのになぁ。
俺が困惑していると、メアはちょっとだけ考えて口を開いた。
「……まぁそうだなー。ハーレムって言ってもよぉ、誰でも良いってわけじゃあねーんだよ」
「え? そうなのか?」
「そりゃそうだろ。
まず第一に、師匠が気に入ったオンナじゃないと、意味がねえ」
ふむ。
それはまぁ……、そうか。
作る作らないは置いておき、一旦ハーレムの完成予定図を聞いてみよう。
メアの精神構造が、何か分かるかもしれない。
「第二に、ある程度自衛ができる、『強さ』を持ったオンナしか駄目だ」
「強さ……?」
俺の言葉にメアは「そうさ」と頷く。
「旅はまだまだ続くんだろ? そうすると、その旅について来なけりゃいけない。
まだまだこの世に蔓延る強敵らから、いちいち守ってられねえからなァ」
「な、なるほど……?」
でもまぁ確かに。
どこかに定住して家を構えるわけでもなし。ハーレム要員という人物ができたとして、その人物も一緒に旅をすることになるのか……。そこまで考えていなかった。
「そして最後に。……コレが、一番重要だ」
「最後の条件……」
真剣な表情で言うメアを見て、俺はごくりと固唾を飲む。
目つきが尖る。
「それは――――」
「そ、それは……?」
メアの口が開かれる。
「複数プレイを容認できるオンナだッ!!」
飲み物を。
口に含んでいなくてホントに良かった。
お前は何を言っているんだ。
お前は何を言っているんだ!
「お前は何を、言ってンだよ!?」
外で話してなくて本当に良かったよ!
幼女の外見で何言ってるワケ? どっからそんな知識仕入れてくるんだ!
「ハァ!? 真面目な話だぞ豚ァ! そんなんだから師匠は豚なんだ!」
「言ってる意味がわからねえし! そ、それに最近は結構大変だったから、そこまで豚体型でもねえよ! ちょっとした子豚くらいだよ!」
つーか論点そこじゃねえし!
ふ、複数プレイ……、だぁ?
「良いから落ち着け師匠。ブーブー鳴いたって、何も話せねーだろうが」
「……ッ!」
と、とりあえず落ち着こう。
テーブルに置いてあった水を注ぎ、一気に飲み干す。……うん、一息は、つけた。
「で……、何だよ? ふ、複数プレイ?」
「そうだ。……ルーリーと戦い終わった後、ちょっと思うところがあったんだ」
「ルーリーと戦った、後……?」
突然何だ?
戦った後ってもしかして。
最終的にはルーリーが、神としても人としても扱われなくなって封印されたことに、何かしら思うところがあったのだろうか。
絶大なチカラを持っていたという点において。
俺も、メアも、ルーリーも。
変わらないから。
……俺は与えられた力だから、一概には同じとは言えないけれども。
「メア……、もしかしてルーリーのことを……」
最後の最後は憎からず思っていたのか?
俺がそう思うと、メアは苦虫を噛み潰したような表情になりうつむいた。
「あぁ……ッ!」
拳を強く握り、メアはその想いを口に出した。
「アイツを攻めようとしたとき、めっちゃ楽しかったッ!」
……あ?
「そしてワタシは思ったんだ! どうして師匠も、一緒になって攻めないのかとッ!」
「……おう、どうした、メア?」
「あんなにも楽しい空間を! 淫らにしかなりようがない空間を! どうして師匠は止めるのかと!!」
「メアさんや……?」
「ワタシは師匠が好きだ! 好きなヤツにはとことんまでに、気持ちよさを味わってもらいたいんだッ! だから――――師匠も交じれば、もっと、絶対的に楽しいと思ったんだよ!」
以上。
アールメイア・エトワールさんの演説でした。
忘れてるかもしれないんですが、こいつが勇者です。
強すぎると一周回って、良くわかんない考え方になるのかもねー。俺も気をつけよう……。
「っていうかソレ……」
メアの考え方を、根っこのところで要約する。
「結局お前のためなんじゃねえかっ!」
ハーレム作成問題。
本日の成果。
一進一退。アンドぼんやりと開始。
そして結果として、
メアの精神構造は理解できませんでしたとさ。
勇者のしつけも大変です! 第一章終了
みなさまはじめまして! おふなじろーと申します! このたびは連載作品、『勇者のしつけも大変です!』をお読みいただきましてありがとうございました!
少しでも楽しんでいただけましたら、作者冥利に尽きます。ちょっとおかしくなるくらい喜ぶと思います。何なら既にちょっとおかしいです。
オッサンと幼女のコンビ。
この凸凹コンビを、これからも温かく見守っていただけますと幸いです。
それでは最後に謝辞を。
日ごろ応援いただいている方々、評価を押していただいている皆様、読んでくださる読者のあなた様、本当にありがとうございます!
読者あっての作り手なので、アクセスあるだけでありがたいのです! 励みになります!
また見かけたら読んでやってくださいませ。
それでは、また第二章でお会いしましょう!




