第6話
ブーッ
「はい、あっさでーす。昨日の犠牲者は…いません。なにこの予定調和みたいな茶番劇は。君たちってエンターテイメントをつまらなくする才能でもあるの?まじで人選ミスだよね?そうだよね?ほらもっと殺し合いしろよ。まだ5人もいるんだよ!!」
しばらく誰も口を開かない。瑠璃にもわかった。この状況で占いが生きている=ほぼ狼の詰みなのだ。
猫が真狼だった場合のみまだ勝機がないとは言えないが、
もし真也が狼だったら…つまり灰にlwがいたのなら…昨日の護衛GJが占いであったことは必然である。
灰は2人、すなわち瑠璃と真也しかいないのだから。壮馬がスッと顔を上げた。
声に出したくないのか狐マークをずいっと真也に向けて突きつけた。
勿論円卓なので突きつけたと言っても距離は遠いのだが。
真也は無表情でこちらを眺めていたが特に何かを感じた風もなく口を開いた。
「あー。何、瑠璃が狩人だったんだ?ハッ…気づかなかったわ…。そりゃ壮馬で2GJも頷ける。そうだよな…恋人は守るものなのに…僕は殺した。これも報いかな…」
自嘲気味に呟くと何かを決意したように深く息を吐き右手を上げた。
「コミット」
真也以外の全員が息を飲んだ。
「これ以降は話すこともないしもういいよ。僕も狼の皆も直接人を殺す恐怖と罪悪感から開放されてある意味幸せだったんじゃなかろうか。このまま生き残っても、もうどうにもならない罪を背負ってしまったんだから。僕が一番幸せかもしれないね…優と…同じ日に死ねるんだから…」
つっと静かに伝った涙は誰にも見られることなく消えてやがて全員が右手を上げた。
「「「「コミット」」」」
一瞬の沈黙のうちあの諸悪の根源の声がした。
「あはっ、終わりかな?さー、投票をどうぞ?最後くらい発狂か何かあると思ったけど皆心閉ざしちゃったのかな〜?も、ありえないね。人選ミス。いいや、ほら早くしなよ」
瑠璃も2猫も投票を終わらせてぎゅっと目をつぶっていたがいつまでも死の気配がなくてそっと目を開けると真也の目線はただ1人、まだ投票を終わらせてない壮馬に向けられていた。
その目からは涙が流れ手が震えている。今は敵対し殺し合う立場でも元は無二の親友である。
殺せないのだろう。当たり前だ。瑠璃だって親友を失う痛みを知っている。
「壮馬」
静かな声が響く。GMは面白がっているのか口を挟まない。
「瑠璃に優しくしろよ。僕はあの世で優にボコボコにされた後2人でお前らを見てるから。だから、」
「真也!!」
遮ったのは涙声の壮馬。
「俺とおまえはいつでも親友だからな…」
「馬鹿だな、当たり前だろ。壮馬。俺たちは親友だ。ほら、もう泣くなよ」
こんな暗い場面で笑いあえる2人に瑠璃の頬にも涙が伝う。
「泣いてねーよ」
「ほら、投票終わらせろよ。いつかまた会えるから」
ついに壮馬の手が動き全投票が終了した。
「やーっと終わった?茶番だね。さよーなら、藤崎真也君」
毒殺された真也はすぐに引きずり込まれてしまった。
「はーい生き残った皆さんお疲れー。いやー刺激的だったよね?まさにドラマのようだった!!非日常って素敵だよね!!」
どこまでもふざけた声に殺意が湧き上がる。がちゃっという音がして縛り付けられていた鎖が外れた。
「そーいえば、投票やら発言やらログにしといたからその端末に送ってあげるー。もう二度と会わないだろうね、生き残ったんだから命を大事にしなよ?ふふっ。じゃあね。あーっと。1つ言い忘れてたよ。お前たちは自分たちで仲間を殺したんだよ。あっははははははははは」
高笑いは残響を残しそれ以降GMの声は聞こえてこなくなった。
生き残った安堵と親友を、仲間を失った悲しみで涙がこみ上げてくる。俯き泣きながら震える瑠璃の背中を同じく涙を浮かべた壮馬の手がゆっくりとさすった。
涙に濡れたキスはこれまでしたどのキスよりもしょっぱくて切なくて、悲しかった。




