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第2話

ブーッ

1日目スタートを告げる冷たいブザーが響き渡る。

ゴゴゴ、という音で壁がしまい込まれて…。

これから実際に人が死ぬのだと思うと恐怖が湧き出てくる。そんな中早速事態が動いた。

「霊能co」

凛とした親友の声が響き渡ったのだ。瑠璃は固くなっていた体がほぐれるのを感じた。

親友が進行位置であることと同じ陣営であったことに対する喜びが溢れた。しかし霊能coの直後に

「占いco」

「占いco」

ほぼ同時に2人の声が聞こえて瑠璃の体はまたも硬直した。

その2人のどちらかに人外がいるのは確定でありそのうちの1人は壮馬だ。もう1人は美羽。

壮馬が真占いでありますように、と祈ることしか出来ない。

会場は一瞬静かになったがすぐに優が進行を始めた。

「2人が占いね。なら私がせーのって言ったら占った人を指差して。ただし占った人が狼なら手で狐を作ってそれ以外なら手で銃を作って指さしてね。いい?じゃあ、せーの」

壮馬はミナトを銃で、美羽はミナトを狐で指差した。これでミナトを吊ることは避けられない。

ミナトの顔に絶望が広がった。

「俺は狼じゃない!浅野が偽占いだ!!信じてくれ!!死にたくない!!」

優の顔も苦しげに歪んでいる。

ここはミナト吊りしかないのをわかっているがその手で仲間を指定するのを躊躇っているのだろう。

重い重い沈黙が場を支配しかけた時

「ね、猫又co!」

唐突に結奈が震え声でcoした。瑠璃も他の皆も同じように怪訝そうな顔をしている。

猫が今出る必要は全くもってないのだから。

「対抗猫又co」

混乱していると追い打ちをかけるようにだるそうな声がした。

「ほんとは出るつもり無かったんだけど偽が出たから仕方なくねー。なんで今炙るのか謎。黒出されたわけでもないのに」

対抗coしたゆかりがだるそうな声で続ける。

「だって…もうここでミナトさんが死ぬのは確定したじゃないですか!!私は…私は死にたくない!!猫だから噛まれたら狼を1人道連れにするから狼は私を噛めない!!だからcoしたの」

すすり泣くような声で結奈が説明をするが正直瑠璃は自己中だと思った。

そんなことを言ったら誰も死にたくない。とにかくこの場を整理しなければいけない。

瑠璃は乾ききった口の中を湿らせた。

「じゃあ今2-1-2で、パンダが1人いる。だからまずは猫放置でミナトさん色味しか盤面的にはありえない。次に欠けに関してだけど初日に追うのは人外目なんて言う。だけど今日は事情が違うから言っちゃうね。霊能に関しては真で見てる。理由は霊能が欠けてるかどうかもわからずに飛び出せる人外はいないと思うから。もし霊能2人になったら霊ロラが待ち受けてるのは皆わかるでしょう?だから朝イチにcoした優は真で見る。占いに関しては明日の霊能結果でわかるから霊能抜かれたくない」

自分の考えを少し早口で告げる。

ミナト吊りをはっきりと宣言したからか優は少し目を見開いてこちらを見ている。

「ふざけるな!!僕は狼じゃない!!吊るなら浅野だ!!桜庭は霊能護衛させようってのか!?冗談じゃない!!真抜ききたらどうするんだ!!奈倉を守れ!!それに吊りは浅野だ!!」

ミナトが目を血走らせ口角泡を飛ばしながら言ってくるが瑠璃はその目をしっかり見返して反論した。

「それはミナトさん視点の話で村にはどちらが真占いかわからないです」

「なら!!お前は僕を殺すんだな!!そうなんだな!!」

直接的な言葉に怯みそうになるがどうしようもできない。

残酷だとわかっているのにミナトを見捨てるしか道がない。

そこで今まで黙っていた真也が律儀に手を上げた。

和んだのか優雅がかすかに微笑みながら指名するように手を真也に手を向けた。

「ミナトさん吊りに異存はないしそれ以外の道がないのも見えてる。だから僕は猫についての意見を少しだけ。勿論猫は最終日でいいけど。もし白石さんが真猫じゃなかったら…そう例えば狼とか狂だったらあそこまで悪目立ちして出て来る意味はない。人が死ぬというこの環境においてあの出方は真っぽい。対抗のゆかりは猫coをした人外がいたから出てきたといのは実に自然な動きだと思う。ただ、その後ゆかりが『いま出る必要はない』と言っていたのがそれがどうにも気になる。生存意欲の問題から考えても真目差は今のところ白石さん>ゆかりで見てる。で、内訳なんだけど今占いの内訳が真狼だったら狼がでたら露出がすぎる。占いが真狼なら猫は真狂。占いが真狂なら当たり前だけど猫は真狼。うん、それだけ」

確かに、と頷いてる人もいる。

瑠璃も自分の中の違和感が文にされたような感じがして思わず唸ってしまった。

もうミナトは俯いたまま何も言わなくなっている。逆にそれが心配だが今は何も言えない。

今生の別れとなるかもしれないのに声一つかけられない状況に胸がキリキリと痛む。

パンパンと優が手を鳴らして自分に注目させると悔しそうに

「ミナトさん吊りを指定するね。もしこれが冤罪なら許せないしそういうゲームと思っても割り切れないところがあるから絶対に私を護衛して」

と言った。霊能である優の決定事項でありミナトは黙っていたが顔をあげた。

「ここで吊るのはもう盤面的に仕方ないことだと割り切る。死ぬのは怖いし嫌だけど僕を吊るからには絶対に村勝てよ。最後に…瑠璃さん」

突然呼びかけられ瑠璃は戸惑いながらミナトを見た。

「貴方が好きでした。付き合ったと聞いても好きが消せなくて研究会にも来てしまった。この別れが運命だとしたら神は随分残酷なのだと思う…けど貴方といられて幸せでした。貴方のいるところで死ねるなら自己満足ではありますが大丈夫な気がします」

突然の告白になんと返したら良いかわからず瑠璃は黙ってしまう。

ブーッ

「投票の時間だよん。いやー初日から面白いね!!あっはは」

GMの声に全員が一斉に端末を手に取り投票を始める。

祈るように投票する人、目をつぶって投票する人、様々だが皆一様に暗い顔をしている。

「はーい全員の投票が終わりましたー。五十嵐ミナトを除いた全員が五十嵐ミナト投票。五十嵐ミナトは浅野美羽投票ですね。ではでは五十嵐ミナト君さよーならー」

その声が終わった瞬間ミナト強引に何かを飲まされ苦しんだ後動かなくなり椅子ごとドアに飲み込まれた。

瑠璃は目を瞑りたくなる気持ちを抑えてすべてを見届けた。

「は〜い処刑完了!!恐ろしい夜がやってきました〜。壁出現!!あ、ヘッドホンしてなかったら役職関係なく殺すから。んじゃどーぞ」

元々薄暗かったが淡い光を出していたシャンデリアの電気が消え真っ暗になり隣と自分を遮る壁の中に閉じ込められる

。指定されたとおりヘッドホンをつけるとこんな状況や瑠璃の気持ちなどお構いなしにポップなミュージックが流れている。

そっと手を伸ばし端末に触れる。

正直霊能護衛が鉄板だがミナトのあの潔さを見ると壮馬が真占いで抜かれるのでは…と思ってしまう。

恋人だからだろうか。恋人か親友か。真確定ではない占いか霊能か。

迷った末に瑠璃は決定ボタンを押して端末を机の上に戻した。


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