イベント?・2
全く更新出来ず申し訳ありません…m(__)m
「今年は何事もなくグライエル領までお送り致します!」
「あ、はい。今年も宜しくお願い致します」
気合い入りまくりのロッドさんにお辞儀をする。なんだこれ新年の挨拶か。
今年も領地に勉強に行くのだが、去年のリベンジとばかりにロッドさんが護衛に立候補したらしい。
まぁ、今年は梟もついてるしダラスマニは夏休みに入って直ぐグライエル領に送られてるし、聞いた話じゃ騎士団の見廻りも強化されてるらしいし、そんなに気合い入れなくても大丈夫だと思うが。
「では、向かいますか」
そうセルゲイに声を掛けられ、私達は領地へと向け出発した。
「良く来たわねリランド。今年は無事に着いたのね」
伯母様に出迎えと同時に攻撃された!すみませんね!去年は誘拐されて!伯母様の後ろに控えてるダラスマニとザックの目が泳ぐ。嫌味言う為にわざわざこの2人控えさせたなこの人。性格悪っ!
「はい。お陰様で今年は何事もなく順調な旅路でした」
私の言葉に再び目を泳がせる娼館コンビ。去年の事は忘れてねぇし無かった事にもしてやらんからな。大丈夫だとは思うが一応釘を刺して置かんと。
しかし今年はホントに何事もなくスムーズに領地に着いた。まぁ、これが普通なんだろうけど。
「なら良かったわ。荷物は運んで置くから夕食にしましょう。セルゲイとロッドも疲れたしょう。一緒にどうぞ」
「いえ、私は使用人ですので。ロッド様だけどうぞ」
伯母様の誘いを断り、セルゲイはザックとダラスマニと荷物を運び始めた。正確には私の荷物を運び始めた。信用されてないな娼館コンビ。
「折角ですが、私もご遠慮させて頂きます」
「セルゲイは兎も角アンタは貴族でしょ。気にしないで一緒に来なさい」
セルゲイを手伝おうとしたロッドさんの襟元を掴んで引きずるように食堂に連行していく伯母様。弟の部下とはいえ扱い雑だな。
「セルゲイ。疲れてるところすまないがあとは頼んだよ」
荷物を運んでいるセルゲイに声を掛ける。ザックは兎も角ダラスマニはまだ信用ならんからな。言うまでもなくセルゲイはわかってるだろうが、私の荷物とか部屋には関わらせるなよと言外に告げる。
「畏まりました」
セルゲイの頼もしい返事を聞いて、私は伯母様を追って食堂に向かった。
「フリジア嬢は着いてこなかったのね。あの娘はリランドが大好きだから着いてくると思ってたけど」
伯母様の言葉に内心首を傾げる。
フリジアは私が男だと世間を騙す為に婚約しただけだからなぁ。そんなに私が好きかな?実際今はクリゾンテーム家に通い詰める位カナリーに入れ込んでるしなぁ。
「フリジアは婚約者と言っても従姉妹ですから。今までも親交はありましたし、そんなに常に一緒に居ないですよ」
「あら。そんなもの?」
首を傾げる伯母様。そんなおかしな事ではない筈だけど。
「フリジア様はリランド様の事をとても好いている様に見えますが…。お互いを尊重されているのですね」
ロッドさんの言葉に今度は私が首を傾げる。
確かにフリジアは私に良く懐いてるけど、端から見るとそんな風に見えるのか。公爵令嬢フリジアの演技力の賜物か?
外で一緒に居る時以外は今まで通りお互い自由にしてるんだけどな?
「そうですね。まだ私もフリジアも子供ですが、これから先もお互いを尊重していける夫婦になりたいと思います」
勘違いでも取り敢えず乗っておこう。割りと身近なロッドさんを騙すのもちょっと心苦しいが、敵を欺くにはまず味方から。誰が敵に回るか分からない貴族社会で男として生きていくには身近な人ですら油断してはならない。
「そういえばフリジア嬢はクリゾンテーム家に入り浸ってるらしいじゃない?」
「クリゾンテーム家ですか?」
伯母様の発言にロッドさんが食い付いた。てか、流石だな伯母様。去年のダラスマニの事といい、私と関係ある人物の身辺調査に余念がないな。
「失礼ですが、クリゾンテーム家と言えばライラ嬢がリランド様に懸想していたと聞き及んでいますが…」
ライラの話はどこまで噂になってんだ…。確かに他の令嬢よりもアプローチもしつこかったけど。
「まぁ、フリジア嬢は公爵令嬢としての教育を受けてるからライラ嬢なんて相手にならないだろうけれど」
「ですが、あまり近付かない方が良いのでは?」
他人から見てもやっぱりそうなるか…。カナリーと仲良くなりたいみたいだし、クーゲルをカナリールートに入れる為にフリジアがクリゾンテーム家に出入りしてくれるのは助かるんだけど…。帰ったらちょっと話してみるか。
この時、考えているよりももっと速く事態が進んでいた事に、私は全然気付いていなかった…。
読んで下さる皆様ありがとうございます。
必ず完結はさせますのでよろしければこれからもお付き合い下さいm(__)m