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イベント?

大変間が空いてしまいました。申し訳ありませんm(__)m

「ねぇリランド。これはどうかしら?」

「あぁ。似合うよ」


 楽しそうにアクセサリーを取っ替え引っ替え合わせているフリジアに笑顔でそう答える。


「もう!リランドは何を見せても似合うとしか言わないんだから!ねぇカナリー様?」


 リアクションが悪かったのか口を尖らせるフリジア。


「え、いえ、実際どれもフリジア様に良くお似合いですし…」


 話を振られたカナリーは困った様にフリジアに答えた。

 そうなんだよな。フリジア素材が良すぎて何でも似合うから「似合う」以外答えようがないんだよな。もうちょっと素材に何かしら欠点があれば色々言い様があるんだけど。


「それは嬉しいけれど…。どれを選んで良いか決められないわ」


 今度はフリジアが困った顔で目の前のアクセサリーを眺める。今目の前にある分を買い占める位の財力は余裕である筈だが、フリジアは余り必要のない買い物はしない。意外と倹約家で良いことだ。


「ではこちらなどは如何ですか?」


 そう言ってダークブラウンの髪と目の青年が箱を取り出し、開けてみせる。

 中にはプラチナの台座に紅玉と翠玉があしらわれたネックレスが入っていた。


「へぇ。色の組み合わせが珍しいですね」


 大きめの紅玉に小さい翠玉がアクセントとしてあしらわれている。

 前世じゃ組み合わせが完全にクリスマスカラーだが、品の良いデザインに落ち着いていた。


「素敵だわ!合わせてみても?」

「えぇ。勿論」


 食い付いたフリジアに箱からネックレスを取り出し渡す青年。

 受け取ったフリジアは早速今着けているネックレスと交換した。


「どうかしら?」


 嬉々として問うフリジア。お前絶対似合ってるって分かってんだろ。


「あぁ。とても良く似合っているよ」


 最早お決まりの台詞となりつつある感想を返す。

 しかしまぁ、石の色の組み合わせがクリスマスカラーにしか見えないが、確実にこれ私とフリジアの瞳の色意識してるよな。となると…。


「フリジア、そのまま着けて帰るかい?」

「え?」


 私の言葉にフリジアは表情を輝かせた。


「手持ちで足りるかな?足りなかったら小切手を切らせて貰います」


 そうダークブラウンの髪の青年に声をかける。青年は商人らしい営業スマイルを浮かべると、フリジア達から離れる様に手招きした。

 金額の話をプレゼントされる人間の前で話すのは如何なものだよな。フリジアとカナリーに聞こえない距離まで移動する。


「失礼致します」


 そう前置きをして、青年はそっと私に耳打ちをした。


「お代は結構です。我が家の愚弟が御無礼を致しました慰謝料代わりに御納め下さい」


 それだけ言うと、青年はサッと顔を離した。その顔に目を向けると、にこやかに微笑んでいた。公爵家の狸達を見慣れている私でも裏があるとは思えない笑顔。

 なるほど、我が家の愚弟。ね…。


 視線を走らせると、少し離れた所に見慣れた少年が立っていた。青年と同じダークブラウンの髪と目の少年。


 カナン・クーゲルだ。


 そう。今クリゾンテーム家で商品を広げているのはクーゲル商会なのだ。

 クリゾンテーム家が贔屓にしている商会はクーゲル商会で、今日男爵の商談ついでにカナリー達子供達にも何か見せてやってくれとの男爵のご厚意で今カナリーとフリジアと…そう、子供達なので、ライラとナタリエの双子とアクセサリー等の小物を見せて貰っていたのだ。

 そう言えば母上が怪我の件でクーゲル家が謝罪に来たが必要ないと帰したと言っていたな。今なら私に直接謝罪出来ると踏んだか。しかしなぁ…。


「婚約者へのプレゼントを慰謝料で済ますわけにはいきません。お支払いします」

「しかし、何かお詫びをさせて頂かないとこちらも気が済みません」


 やんわり断ったが、尚食い下がってくるクーゲル兄。

 これ、何かしらの形で慰謝料受け取らないとしつこそうだなぁ。商売人だけあって、後に何かで付け入られる事になる様な要因はキッチリ片付けておきたいんだろうな。

 かと言ってこっちも家で母上が断ってるのに勝手に慰謝料とか貰うわけにもいかないし。


「でしたら、今度クーゲル商会の万年筆を1本頂けますか?先日弟君から頂いたのですが、とても使いやすかったので」


 しつこくされるのも面倒だし、あんまり高額な物貰ったりしても困るし、値段はそれほど高くないが人気で品薄だと言うオリジナルの万年筆ならクーゲル商会でしか手に入らない物だしお互い折り合いをつけるには丁度良いのではないだろうか?


「そんな物でよろしいので?」

「あれは事故ですし、人気で入手困難だと言う万年筆が手に入るなら充分過ぎますよ」


 もうこれで納得してくれ。あんまり長くこそこそ話してるとご令嬢達の視線が痛いんだ。値切り交渉してるとか思われても私の株が下がるし。


「…畏まりました。今は在庫がないので準備出来次第お届け致します」

「ありがとうございます。では、ネックレスの支払いをお願いします」


 早く支払いを済ませたい一心でクーゲル兄にばかり意識を向けていた私は、この時この場に居た他の面子の様子が分からなかった。

 フリジアとカナリーがはしゃいでいる声は聞こえていたが、ライラがどんな表情で誰を見ていたのか。クーゲルが誰に注意を向けていたのか。

 そしてカナリールートへのフラグを立てる絶好の機会を逃していた事に気付いたのは、帰宅した後だった…。













読んで下さる皆様ありがとうございますm(__)m

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