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夜会・1

 梟の協力も取り付け、後は夜会当日カナリーとクーゲルを会わせる事が私の目標となった。


「夜会だりぃー!」

「そう言うな。仕方無いだろう」


 机に突っ伏し駄々をこねるアドニスを宥める。

 ラーシュ夫妻からハッキリと社交界デビューを言い付けられてアドニスは面倒な事になっていた。


「社交界デビューしたって何も変わらねぇよー!」

「分からないだろう。良いご令嬢との巡り合わせがあるかもしれない」

「…それ、本気で言ってるのか?」


 アドニスの目が鋭く細められる。あ、しまった。今のは失敗した。

 だが、ここは学園だ。アドニスはどれだけ腐ってもTPOをわきまえている。


「侯爵家の優秀な次男として正式に社交の場に出れば、周りも自分も、モノの見方が変わるだろう?」

「まぁ、な。でも兄上はそれに関しては未だにぶれてないけどな」


 アドニスは意地悪く笑ってみせた。それを言うな。だからラーシュ夫妻もせめてどっちかは片付けようと必死なんじゃないか?


「お前はぶれても良いんだぞ?」

「どうかな?」


 ニヤニヤしながらはぐらかされる。頼むよ。私がラーシュ夫妻に顔向け出来なくなるだろ。

 せめてもの抗議に露骨にため息を吐いてみせると、アドニスは苦笑いを浮かべて隣に座っていたダラスマニに向き直った。


「ダラスマニは夜会に出ないのか?」


 逃げやがったなコイツ。

 いきなり話を振られたダラスマニは、アドニスと同様苦笑いを浮かべ、こちらに向き直る。


「私は母の身分も低いですし、跡継ぎには兄が居ますし、騎士となって家を出るつもりでいますから、社交界には出ませんね」

「そうか。俺も兄上が継ぐなら社交界に出なくても良いんじゃないかと思うんだけど、駄目ですよね分かってますすみません」


 私の吐いたこれ見よがしに盛大なため息に急にアドニスが平謝りする。分かってんなら諦めろい!


「ならダラスマニは警備研修に入るんだな。よろしくな」

「グライエル様も警備に入られるんですか?」

「あぁ。その為に去年出たからな」

「俺も警備で…すみませんもうホントに言いません」


 往生際の悪いアドニスを再びため息で黙らせた。















「明日から休暇に入るが、夜会の警備に入る君達は夜会までは寮に留まってもらう」


 今、2年3年の警備実習に入るメンバーだけ集められ、ブラッド先生から説明を受けている。


「当日は俺が引率して王城に入る。そこから担当場所毎に2人ずつ担当の騎士と共に警備についてもらう。現場で何かあればまず各々の担当騎士に報告するように」


 担当騎士がつくのか。カナリーに接触させたいがあまり自由には動けないだろうか?だがステータスが十分なら出会いのイベントは複数でも発生する。クーゲルの主人公補正にかけるしかないか。


「では今日は解散だ。夜会は1週間後だ。全貴族の集まる場だからな、国王陛下、王家の方々は勿論、客人に失礼のないように礼儀作法はしっかりな。当日までセイラン先生が来て夜会での立ち居振舞いを教えて下さるから、しっかり習っておくように」


 もともと貴族の面子は大丈夫だろうが、平民出の面子は全貴族の集まる夜会なんて普通だったら生涯出ることはない。ちらと視線を走らせると、表情が強張っているのが何人か。平民出の子達だろう。まぁ、警備に選出される位優秀な面子だから大丈夫だろうけど。

 去年経験したであろう3年生の中にも表情が強張っているのが居るのは何かやらかしたんだろうか?でもまた選出されるならそれ程深刻な事では無さそうだが。


 兎に角、あと1週間後。クーゲルをカナリーに引き合わせる。そしてバッドエンドに突き落としてやる…!









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