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試験終了

1ヶ月空いてしまいました。

そして進みません。申し訳ありませんm(__)m

「あれほど言ったのに、これですかー」

「すみませんでした」


 赤く腫れた左腕を軽くぺしぺし叩きながら笑顔を浮かべる校医。軽くでも叩かれると響くんだけど。痛いんだけど。でも何も言えず謝るしかない。悪いのは言う事聞かなかった私だし。先生笑顔だけど目、笑ってないし。確実に怒ってるし。


「折れてはいない様ですね。今度こそ絶対安静ですよ」

「はい」


 流石に何も反論出来ず、素直に頷く。

 まぁ、もう優勝したし。クーゲルに完勝したし。もう完治するまで大人しくしてますよ。


「その腕で優勝したのは大したものだが、無理はしないと言っていただろう。そんなに優勝したかったのか?優勝せずともお前の実力は皆認めている。何故そこまでした?」


 約束を破りする必要の無い無理をした理由をブラッド先生が追及してくる。言えねぇ。ギャルゲーの自分ルートのフラグを折る為に無理をしたなんて言えねぇ。


「申し訳ありません…」


 頭を下げ謝罪する。理由が言えないから謝るしかない。そんな私の態度に先生は1つはため息を吐いた。


「……無理をして将来を潰すような真似は2度とするな。誓えるか」

「誓います」


 先生の言葉に顔を上げる。真顔。低い声。目が怖い。

 ブラッド先生の有無を言わさぬ迫力に、咄嗟に頷いてしまった。

 私が頷いたのを確認して、先生は再びため息を吐いた。


「万が一お前の腕が使い物にならなくなったりしたら、俺はルーベンスに殺される…」


 自分の心配ですか!?でも、まぁ確かにあの親バカ父上は只じゃ済まさないだろうな。


「まぁ、折れてはいませんし、今度こそ絶対安静を守って頂ければ問題無く治ります。大丈夫でしょう。絶対安静で居てくれれば」

「はい…」


 絶対安静を繰り返す校医。ネチネチと嫌味くさいが、無理をした手前何も言い返せない。大丈夫です今度こそ大人しくしてますから。いやホントに。


 先生2人の厳しい視線に私はただ身を縮こませていった…。








「何なさってるんですか貴女は」

「すみません」


 寮に帰ると梟が呆れた顔で(いや目しか見えてないけど)待ち構えていた。


「言いたい事は色々ありますが、まぁほぼ副団長様と同じ事なので言いません。が、もっとご自分を、ご自分の将来を大切にして下さい。私がマリアテーゼ様に殺されます」


 どいつもこいつも最終的には自分の心配かい!!まぁ、仕方無いか。人間だもの。と言うか医務室に居たんだな梟。全然気付かなかった。ブラッド先生も気付いてなかったのかな?

 てか、自分の将来の為に優勝したんだけどな。


「皆私の将来を心配してくれてるんだな。私はそれだけ騎士になることを望まれてるのか」


 改めて嫡男の重要性を実感させられるな。


「望まれてはいるでしょうね。ですが、貴女の価値はそれだけでは無いでしょう」

「価値?」

「貴女が騎士にならずご令嬢に戻れば、喜び勇んで妻にと望む方々もいるでしょう?」

「あぁ…」


 思い浮かぶ面子に頭が痛くなる。王家も公爵家も侯爵家も嫁ぎ先としては申し分無いが絶対面倒くさいな。


「騎士にならずとも貴女の価値は落ちることはありません。もっとご自分の価値を理解して下さい」


 真剣な表情(多分)で梟が言う。

 そう言われてもなー。彼奴等が私の事好きなのって、ギャルゲーのヒロインとしての設定のせいなんじゃないかと思うんだよね。じゃなきゃこんなに男らしい女に一途に惚れ込まないでしょ。


 ならばそれは私自身の真の価値ではないだろう。


「他者からの好意など、移ろいやすい物。私は私の価値はこの己の剣の腕と知識にしか付かないものだと思っているよ」


 そう。人の心など変わるものだ。まして恋愛感情等。

 それで私の価値を計る等、失礼ではないか。


 そう言外に告げたのを察したのか、梟は困った表情(多分)をした。


「失礼しました。ですが、それでもやはり貴女は自分の価値を計り損ねています。もっとご自分を大切にして下さい。どうかお願い致します」


 梟はそう言って頭を下げた。まさかの真摯な態度に面食らった。


「…わかった。今後気を付ける」


 そう応えると、梟は顔を上げて、優しく微笑んだ…。









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