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続・親の心子知らず

また間が空いてしまい申し訳ありません…m(__)m

「今日ルーベンスが来るから」

「は?」


 朝食の席で伯母様が唐突に言った。

 無事(?)にダラスマニ男爵との話もまとまり、本来の目的グライエル領の視察やら何やらをしてもう5日程経ち、明日は王都へと帰る日となっていた。

 エリーゼお姉様は3日前にもうカーディナル家に帰っている。なんとお義兄様直々に迎えに来られた。ラブラブな様子で何よりだった。


「急ですね」

「元々迎えには旦那様が来て下さると言っていたのよ。でも来るのは明日の朝だと思っていましたわ」

「仕事が片付いて余裕が出来たから、1日早く来るそうよ」


 共に食卓を囲んでいた母上の言葉に伯母様が答える。

 ちなみにダラスマニとザックは使用人達と共に過ごしているらしく、あまり顔を合わせていない。食事も私達とは別だ。

 まぁ、彼奴らのやった事と立場を考えたら丁重に扱ってやる事もないしな。でも勿論悪い扱いはしていないから文句も無いらしいし。


「来たら出迎えるわよ。ダラスマニとザックも一緒にね」

「は?2人もですか?」

「うちで世話になるんだから、当主に挨拶するのは当たり前でしょう?」

「そうですね…」


 て言うか、2人が誘拐の主犯なのは父上も当然知ってるだろうし、挨拶だけですむのかなぁ…?伯母様が説得は任せろと言っていたし、話はついてるだろうけど…。


 なんか、不安しかないなぁ…。










「お帰りなさい。ルーベンス」


 父上が到着したと報せを受け母上と玄関に向かうと、既に伯母様が出迎えていた。その後ろにはダラスマニとザックが控えている。


「只今戻りました…と言える程この屋敷には久しく帰っておりませんでしたが、出迎えありがとうございます姉上」


 そう言って伯母様に軽く頭を下げると、後ろに立つ2人に視線を向けた。


「其奴等ですか…リランドを拐ったのは」


 その眼は、今まで見た事が無い程に冷たかった。


「ダラスマニ家の次男坊か。2度程稽古をつけたな…」


 そう言って2人の前に立つ。


「お前の命はリランドの情けで救われた…だが、私はお前を許さない」


 ゾッとする程低い声だった。あんな声は聞いた事が無い。あんな父上は見た事が無い。


「私からリランドを奪おうとした事。殺しても足りない位だ」


 父上に見下ろされたダラスマニは微動だにしない。恐らく出来ないのだろう。呼吸が出来ているかも怪しい位顔色が悪い。

 ザックは無表情だが、やはり微動だにしない。恐らく父上の気迫にやられている。


「だが、リランドがお前達を拾った。姉上…グライエル領主もお前達を上手く使うと言っている。だから今は見逃してやる。…だが」


 次の瞬間。いつの間に抜いたのかダラスマニの喉元に短刀が突き付けられていた。


「次は無い」


 私と同じ筈の父上の紅い眼が、全く違うモノに見えた…。











 ※ここからマリアテーゼ視点になります。


「やりすぎじゃない?リラ引いてたわよ?」


 お出迎えも終わり、先程の脅迫について注意しようとルーベンスを執務室に呼びつけた。


「姉上。私は姉上に謝らなければならない」


 そう言う愚弟の表情は未だ固い。怒りを抑えているのが良くわかった。


「我が子を奪われるとはどんな事か…私はあの時分かっていなかった。今なら分かる。私は姉上を止めるべきではなかった」


 謝るとはその事か。先程の脅迫を悪いとは微塵も思っていないなコイツ。

 まぁ、私も悪いとは思っていないけれど。


「それなら謝罪は必要無いわ。あの時止めて貰わなかったら、今の私は無いわ」


 無意識に腹に手をやる。


「お前も、子供達と、国民、王に誇れる自分を失わない様にしなさい」

「…姉上」

「私はせめて最期まで、誰にも誇れる自分で在るつもりよ。そう在れるのはお前のおかげよ。だから、私もお前を止めるわ」


 失ったモノはもう戻らない。ならば、私はこれ以上失わない。

 その為に力を得たのだから。


「私はもう、大事なモノは何も奪わせないわ」


 私の言葉にルーベンスは漸く表情を崩した…。












































伯母様も色々ありました。

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