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捕縛

「もう逃げられませんよ」


 声に振り返ると、黒ずくめの男と数人の野盗達が居た。挟み撃ちのリスクは考えていたが、狙撃のリスクは失念していた。失敗した。


 向かって行くと見せかけてUターンし、馬車の陰に身を潜めた。

 逃げるとは思っていなかったのか、やはり反応が遅れた奴等はバラバラに私の後を追ってきた。そして先頭きって来たハゲの腹をまだ有ったナイフで一突きし、そのまま後ろの奴等に向かって蹴り倒した。

 ハゲがぶつかって体勢が崩れた後ろの奴をレイピアで一突き。また2人殺られたのを見て後ろの奴等は怖じ気付いたのか近寄ってこなかった。


 しかし、コイツらどれだけ根性無いんだ?人を襲って拐おうとして反撃にあうとは想定していなかったのだろうか?

 其れともサクサク殺りすぎかな?もうちょっと斬り合いとかした方が良かった?

 でも先手必勝一撃必殺じゃないと不利だしね。こっちも必死ですから手段は選んでいられない。


 何しろ前世は約30年で強制リタイア。今世ここでコイツらに捕まって売られでもしようもんなら14年でバッドエンドですよ?冗談じゃない。


 さて、ここからどうするか?そう考えた時だった。

 視界の端で何かが光った。其方に目を向けると矢が迫っていた。咄嗟にレイピアで弾く。が、更にもう一矢放たれていたらしく、慌てて身を捻ったがかわしきれずに左腕を掠めてしまった。大した傷ではないが血が滲んでいる。


 そして挟み撃ちにされてしまった。流石にこうなってくると潮時か。少しでも時間を稼ぐために馬車に籠城でもするか?


 そう考えた時。黒ずくめが近付いてきた。


 牽制の為にレイピアを向ける。


 つもりだったのに。


 腕が、上がらなかった。


 驚きが表情に出たかは分からない。何故なら麻痺していたからだ。表情も動いていないかもしれない。


 失敗した。さっきの矢に毒が仕込まれていたのだろう。


 最早立っている感覚も無い。せめてもと近付いて来る黒ずくめを睨み付ける。


 捕まるのか…。ごめん。セルゲイ、ロッドさん。どうか父上に責められません様に…。


 売られるのかな…。せめて少しでもマシな人に売られます様に…。まぁ、無理だろうけど…。


 黒ずくめが目の前まで来たと同時に、私の意識は途絶えた…。









 ここからロッド視点です。


「リランド様!」


 現場がギリギリ見える位置の林の中に潜んで暫く。リランド様が馬車の陰に入ってしまい見えなくなってしまった。

 そしてまた暫く。馬車の陰から野盗達が出て来た。うち1人がリランド様を担いでいた。


 奴等は私の潜む林に入って行く。位置は離れていたので気付かれる事は無い。

 恐らく林の中に馬を隠しているのだろう。それで逃走する筈だ。

 そっと後を追う。馬に乗られては追い付けない。だが馬で追う訳には行かない。

 最悪馬に乗る前に襲撃するしかない。林の中でならある程度各個撃破してリランド様を奪還し、馬を奪って逃げる事が出来るだろう。


 暫く進むとやはり馬が数頭繋がれていた。


 だが馬の数が足りない。馬に乗ろうとする奴等以外はそのまま別の方向に歩いていく。

 リランド様は担いでいた男がそのまま抱えて馬に乗る。


 襲撃するなら今しかない。リランド様を乗せた馬をそのまま奪えれば理想的だ。


 だが、奴等の目的や規模も調べたい所だ。

 只の人買いとは思えない用意周到さ。狙いがリランド様であったという事。

 もしかしたらリランド様だけでなく騎士団長や伯爵家に何か怨恨でも抱いている輩の差し金かもしれない。


 この林を抜ければ確かダラスマニ領のハルセルの街がある。もう日が暮れ始めている。恐らくコイツらは街に寄るだろう。

 馬数頭で走れば痕跡が残る。夜通し走るなんて真似をしなければ後は追えるだろう。


 別方向に歩いて行った奴等は負傷者が居るようで歩みは遅く、血痕も残っている。追うのは容易いだろう。


 取り敢えずセルゲイ様と合流して追った方が良さそうだ。


 申し訳ありません、リランド様。必ずお助けしますので、もう暫しお待ち下さい…!


 俺はセルゲイ様と合流すべく来た道を戻った。




 





















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