受け入れがたい未来
そう。問題は、あのまま死んでしまった事によりあの調子こいた初心者マーク野郎に何もしてやれなかったということだ‼
あぁぁ腹立つ‼轢かれただけでも腹立つのに死んだとか‼
なんで前世の私幽霊になって祟ってやらなかった⁉
七代先位まで祟ってやりたかった‼
…いや、違った。これはこれで問題だけど。
とりあえず今の私の問題は…。
ここが、ギャルゲーの世界だということだ。
さらに自分が攻略対象であるということだ…。
「中世騎士物語~令嬢達との恋模様~」
まんまか⁉とツッコミを入れてしまうタイトルだが、それがこの世界のゲームのタイトルだ。
騎士を目指す主人公が、騎士候補生が学ぶ学園(男子校)に入学し、卒業までの3年間で任意の対象を落とすゲームである。
舞台男子校なのにギャルゲーとして成立するのかというと、上手く出来ていて2年以降になると夜会等の警備に成績優秀者は実践訓練として配置される。
そこで各攻略対象令嬢と出会う。
もしくは学園内で親しい友人を作り、家に招かれその姉妹と出会う。
そんな感じだ。
この学園だが、通うのは貴族や大きな商家の3男4男。令嬢と出会う気になれば出会えるのだ。
ちなみに主人公は騎士に憧れる商家の3男坊だ。
そして私も14歳になったらその学園に入学する。
そう。私は唯一学園内で出会える攻略対象なのだ!
そしてこのゲーム、攻略対象が令嬢なので、男性が喜ぶお色気シーンがほとんど無い‼
水着も無ければ入浴シーンもない!
だがしかし、リラ・グライエルにはそれがあるのだ。
そもそも男として出会うのに、なんで攻略対象になるのか。
見られてしまうのだ、着替えシーンを。
それがきっかけで女とバレ、秘密を守りつつ親しくなり、最終的には落とされる…。
その過程でちょいちょいお色気シーンがあるのだ!
ゲーム本編で唯一のお色気担当とされた攻略対象!それが私!
なんでそんなのに転生した!?
あと4年後にはお色気担当の未来が待っている!
………。
「嫌じゃあぁぁ‼」
「リラ様!どうなさいました⁉」
思わず大声で叫ぶと、私付きのメイドさんが慌てて部屋に飛び込んできた。
「あ、アザレごめん。ちょっと夢見が悪くて。」
本当に悪かったわ。思い出すと腹が立つ。
「左様でございましたか…。では本日のお茶は、心が落ち着く香りのものをご用意致します。」
「ありがとう」
「用意して参りますので、しばしお待ち下さい。もう起きられますか?まだご朝食にはお時間がありますが…」
「もうちょっと横になってる。お茶の用意が出来たら起こして」
「承知致しました」
アザレはお辞儀すると部屋を出ていった。
4年後のお色気担当の未来をなんとしてでも回避せねば…!
決意して、再びベッドに横になった。